第十三話 「戦いが済んで」03
文字数 1,248文字
「帰ろうかなあ……」
2017/12/06 13:55
病院からの帰り道、あの二人、ジュリィアーナの優し気な眼差しと彼女に対するジェンヌの態度を思い返し、シュンの頭に帰郷の二文字が浮かんだ。
ベヒモスの出現が少ない今の状況なら、長期間留守にしても問題はないだろう。
夕方、フィオーレを手伝っているとブレイソン、そしてアルバー、カノーアがシュンに気を使ってか顔を出す。
客が引け始め、皆は自然と同じテーブルに集まった。
シュンも少しは慣れてきた赤いエプロンを外して席に着き、レイキュアはエプロン姿のまま隣に座る。
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「アルバー、ビジネスの件はどうだ?」
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「時間を見つけて街の不動産を見て回っています。目をつけた空いている物件が売りに出されているか、ギルドに行って確認たり……」
2017/12/06 13:56
「良い物件なら売りに出されていなくても、持ち主に交渉したいですね」
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「ああ、頼むぞ」
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アルバーに任せておけば安心だろうと、シュンは頷いた。
2017/12/06 14:00
「カノーアも一緒に見て回っているんでしょ?」
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「はい、表通り以外はあまり歩いた事がなかったので面白いです」
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「うん、よろしくね」
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スカーレットも加わるビジネスになるので、レイキュアも真剣に考え始めているようだった。
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「ブレイソン、若い奴らの仕事ぶりはどうだ?」
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「デス・キャニオン、大進行の大型クエストをこなして皆、随分と成長しましたよ」
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チーム全員を一人で率いて戦っているブレイソンは責任重大だが、上手くこなしているいるようだ。
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「スカーレッドもそうです。ランツィアと合同で仕事をするようになってから皆、真剣に緊張感をもって戦っています」
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「そうそう、私の発案よ!」
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カノーアの言葉に、レイキュアはあくまで自分の手柄と言う。
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「より慎重に、より確実にベヒモスを仕留める。俺たちがチームを組んでいる意味をよく考えてくれるようになりましたよ」
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ブレイソンが更に付け加えた。
エスプロジオーネや他のチーム、サービス部隊、西の戦闘種たち、彼らの戦いを間近で見れたのは良い経験になったようだ。
シュンは目を細めて、話を聞きながら決心した。
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「気が付けば若いヤツらも育ってきたな。俺は休暇をとってしばらく里帰りするよ」
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「えっ! どれ位くらいですか?」
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ブレイソンが驚いた表情で声を上げる。
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「一カ月ぐらいだなあ……」
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レイキュアはため息をつくように呟く。
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「ついてはその間、ランツィアのリーダー代行をレイキュアにお願いしたい!」
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「「「え~~っ!」」」
一同は声を上げる。レイキュアは驚きながらも表情はまんざらでもない。
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「まあ、仕方ないわねえ。たるんでいるランツィアをビシッと鍛えてやるわ」
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「ほどほどにしてくれよ」
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「私はシュンみたいに優しくないから。隊長兼リーダーね。重責よ!」
2017/12/06 14:07
「まあまあ、レイキュア。実務はアルバーとブレイソンに任せて、ランツィアの顔として睨みを利かせてくれ」
2017/12/06 14:07
「分かってるわ!」
2017/12/06 14:07
このメンバーに任せておけば安心だ。
シュンはこの三年間、ガムシャラに戦ってきた。
ここで一つの区切りをつけるのは良いかと思った。
2017/12/06 14:07
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