第39話 お隣さんとわたしとマドンナ再び

文字数 7,443文字

「いい人だった!!」

「…何がだ?」

「しかもやっぱり可愛くて、美波ちゃん並みに優しくて…」

「…何の話をしてるんだ?落ち着け。」

 花咲さんと友情を深めとても有意義な一日を送ったわたしは、蒼との喧嘩も呪いの人形の事もすっかり忘れ去っていた。

 そして放課後。何となく気まずそうに、でも大人しく無言でわたしを待っていてくれたのであろう蒼の姿が教室にぽつんと一人。

 その姿を見るなり、わたしはご機嫌全開で蒼に花咲さんとの出来事を話してあげたのだ。

「…お前…本当にそれでいいのか?」

「だっていい人だったもん!!飴貰ったし!!」

「また餌付けされてないか?」

「はい、これ蒼の分!美味しいねぇ~!!」

「…俺の分もあるのか…美味いけど…」

 コロン…カロン…

 誰もいない放課後の教室、わたしと蒼は仲良く隣に座って(席が隣だから)飴を舐める…

 う~ん…イチゴ味!!美味しい!!

「…お前が納得したならいいけど…葉月達もそうならまぁ…」

「だって本当良い子なんだもん!!お菓子くれたし!!」

「…やっぱり餌付けされてないか?」

「はい、蒼の分!!」

「…また、俺の分もあるのか…美味いけど…」

「美味しいねぇ~!!」

 と…同じようなやり取りを二度繰り返し無言になる…

 口に物が入っている時はやはり喋ってはいけない。お行儀が悪いから。

「…ほら、水…お前絶対詰まらせるから…」

「ありがとう。」

 ゴクゴク……

 蒼からミネラルウォーターのペットボトルを受け取ると、それをゆっくり飲むわたし…

 常温の冷たすぎない温度…さすが蒼だ。わたしの好みを分かっている。

「…これ…花咲の手作りなのか?もしかして…」

「え?お菓子??」

「ああ…飴はさすがにないだろ…」

「飴は花咲さんだけど、お菓子は違うよ?」

「…誰に餌付けされたんだ?」

「餌付けって失礼だなぁ…ただ通りすがりの緋乃先輩に貰っただけだよ。お裾分けって言って。」

「…マカロン先輩なら仕方ないな…あの人良い人だ…」

 それはただ美味しいマカロンを貰ったからだよね??

 蒼…意外と単純な所あるなぁ……

 今度わたしもマカロン作ろうかな…し、東雲先生に習いに行っちゃおうかな??ふ、ふふふ…

「…でもあの人…確か東雲先生の妹だったな…」

「東雲先生は良い人だってば!!あんなに蒼の事も心配してくれてさ…あ~あ…わたしもあんなお兄ちゃん欲しかったなぁ…」

「…確かに…悪い人じゃない…けど、信用したらいけない気がする…笑顔が胡散臭い…」

「そこも良いのに~!!分かってないなぁ…これじゃあいつまで経っても先生を超える事は出来ないね。」

「超えるつもりは全く無い…勝てる気もしないしな。」

「そりゃそうだ…ま、蒼はそのままで十分だから変わらなくていいよ。うん。」

 そりゃ…東雲先生は憧れるけど…

 彼氏があんな風に誰にでも優しくにこやかだったらそれはそれで嫌だし。こっちの気が休まらないと思う。

 その点蒼は…無表情だしクールだし…誰に対してもこんな感じだから良い。モテるが近寄りがたい空気を醸し出しているのでそうそう寄っては来ない。

 このブレないクールな対応…無表情さ…それが蒼なのだ。

「…そうか。ちょっと反省して東雲先生にマカロンでも習いに行こうかと本気で考えていたんだが…」

「考えてたの!?な、なんで先生がそこで…」

「色々学べる様な気がしてな…どう思う?」

「どう思うって…良いよそんな事しなくても!!」

「スイーツ男子は嫌いか?意外だな…」

「そうじゃなくって!!蒼って何かズレてる所あるよね…天然って言うか…」

「…そうか?俺はお前の方がそうだと思うけど…」

「それは自他ともに認めてるから言わなくていいよ。」

「認めてるのか…そうか、それは良かった。」

 もぐもぐ…

 いつも通りの他愛のない会話をしながら、のほほんとした空気が二人の間に流れていく…

 きっと蒼と二人で陽当たりの良い縁側とかに座っていたら、時間が経つのも忘れてぼんやり過ごしているんだろうなぁ…。

 沈黙は気まずいなんて言う人もいるけど、わたしにとって蒼との沈黙はそれほど気まずい物ではない。むしろ心地良い。

 これが蒼で、わたしがぼんやりしているせいなのかもしれないけど…

「…それで?もう怒っていないのか?」

「…え?何が?」

「…東雲先生の家で…喧嘩しただろ…」

「あ、あ~…うん。それならもう良い。なんか変な沈黙は気持ち悪いし…」

「そうだな…」

 あれ?蒼にしては珍しく気まずそうな顔してる…??

 何か誤魔化す様に、マカロンを齧るその姿が新鮮で愛らしい…

 って蒼相手に愛らしいって言うのも可笑しいけど…

 窓からは夕日が差し込み、遠くで烏が鳴いている…

 グラウンドから聞こえる部活動の青春一杯の掛け声が、少し開けられた窓から聞こえてくる…

 わたしもマカロンを一つ。口に運びぼんやりと蒼の横顔を見つめてみた…

 まだ恥ずかしいのか気まずいのか…蒼は窓の外に目を向けたまま動かない…

「…一応謝った方が良いのかな?」

「…何をだ?」

「喧嘩したから一応…仲直りとして…」

「…悪かった…」

「はやっ!?…ま、まぁ…わたしもごめん…」

 蒼…潔すぎるよ…

 本当男前だなぁ…。言い訳しない男、雛森蒼。そこも彼の良いところだ。

「先生の言う通りだ…俺が灯を守らないとな…」

「え!?い、いきなり何言ってんの?」

 何か決意したように、蒼はわたしに顔を向けると真っすぐ見つめ頷いた。

「…俺が原因なら、俺は灯から離れた方が良いのかもしれない…」

「…え?」

「でもそれは俺が嫌だ。正直こんな事でお前の傍を離れる気はないし、納得出来ない。」

「う、うん…」

 び、びっくりしたぁ…!!いきなり別れ話でもされるのかと思ってドキドキしちゃったじゃん!!

 蒼の言葉はやはり真っすぐ過ぎて時に心臓に悪い……

「…俺がお前から離れない…となると…取れる行動は…」

「行動は…?」

「逆にくっ付いて離れないと言うのはどうだろうか?」

「どうだろうかって…今と変わらないと思うけど?」

「いや…俺なりに少し考えてみたんだ。俺の灯に対する過保護ぶりを通常の倍増やすことによって、その様子を見た犯人(呪い人形の主)がドン引きする…それを狙った作戦なんだが…どうだろう?」

「どうだろうって…それ…わたしが迷惑なんだけど…」

 過保護ぶりを通常の倍って…何そんな恐ろしい事を考えているんだこいつは…!?

 確かにその様子を見れば間違いなくドン引きして諦めるだろうけど…

 蒼の場合、真面目に本気で言うから尚更怖い。そして必ずそれを実行すると言う恐るべき行動力を持っているのだ。

「…我慢しろ。大丈夫だ…多分いつもと変わらない。」

「いやいや!!さあ帰ろうって時にお姫様抱っこはどうかと思う!!」

「これはお前が転ばない様にだな…なんだ?これじゃ不満か?なら…肩車か?」

「幸せ親子の光景になっちゃうよ!!何の罰ゲームなの!?」

「…眼鏡の先輩にはさせたくせに…」

「まだ根に持ってるの!?いい加減忘れて!!というかあの人と張り合おうとしないで!」

「…わかったよ…」

 蒼が渋々わたしを降ろすと…また何を考えているのかじっとわたしを見つめる…

 こ、こいつ…真面目な癖に本当考える事ロクでも無いなぁ…

 助けて東雲先生!!この人に限度と言うものを教えてあげて!!

「…よし、分かった…。こうすれば問題無いな。」

「うぇっ!?な、何が!?」

「いつもされている事だろう…?俺はあまり気が乗らないが…止む終えない…」

「何が!?」

 蒼はひょいっとわたしを抱えた。忍先輩がやるように小脇に抱え…

 やっぱりロクな事考えてなかったぁ~~~!!

 あ~~も~~~!!

「…これ、意外と運びやすいな…」

「変なところで感心しないで!!」

「こら、暴れるな…安定感ないのか?」

「だから忍先輩と張り合わないで!!」

「…べ、別に…そうじゃない…」

「そうじゃん!!目、そらしたじゃん!!」

 ああ…もういいや…

 その後、わたしは家まで蒼の小脇に抱えられたままだった…

 道行く人の視線の痛い事…。途中巡回中のお巡りさんに何があったのか聞かれたし…

「蒼…東雲先生の家に行って来て…色々あの人から学ぶべきだよ。」

「何故だ?俺にあの胡散臭い笑顔を作れと?」

「違う!!もっと大切な事を学んで欲しいって事!!」

 こうして、わたしと蒼は何とか仲直りはしたが別の問題が発生しつつあったのだった。

 この堅物天然男…一体本当に何を考えているんだろう??

 今更だけど…やっぱり分からない……!!





 *****

「…何で蒼、朝からあかりんにべったりなの?」

「それはあんた…灯の事が大好きだからに決まってんでしょうが。」

 翌日…蒼の『過保護倍作戦』はさっそく実行されていた。

 わたしは…もういいや…今更…と諦めやけくそモードである。

「でも良かった。二人とも仲直りしたのね?」

「…いや、仲直りっていうか…花森の方は明らかに無我の境地って感じじゃね…?」

 ほっと笑顔の美波ちゃん、そしてその隣で心配そうにわたしを見つめる水城君…

 そう…わたしは何かを悟った様な穏やかな表情をしていた。

 こうでもしないとやっていられない…

 ここでまたわたしが東雲先生どうのとか言ったら、また先生に迷惑掛けちゃうし…

 あの喧嘩の後心配して電話掛けて来てくれたし…本当良い人だ。

「…ほら、またリボンが…」

「さっき直したばかりだよ…」

「駄目だ。まだちょっと歪んでる…」

 と、会話だけ聞けばいつも通りだが…

 わたしは今朝も昨日の帰宅時と同じように蒼に運ばれて登校した。

 校門に立つ先生に『花森…トイレか?』とちょっと呆れ顔でセクハラっぽい事を言われたけど…

 本当恥ずかしかったなぁ…

「…次は移動だな。よし…灯…」

「……」

「葉月、悪いが灯と俺の教科書を頼む…」

「……」

 腕が疲れたのか…今度はお姫様抱っこと来た…

 ああ、もういいよ…なんか…

「任せなさい!二人で何処にでも行っちゃいなさい!!」

 奈々ちゃんは何故そんなノリノリで嬉しそうなの??

 ちょっとは突っ込んで助けてよ!!

「蒼、俺代ろうか?腕疲れねぇ?」

「問題ない。俺がやらないと意味が無いしな…」

「え?何それ?」

「…お前には言わない。」

「な、なんだよぉ~!!お前感じ悪いぞ~!!」

「……」

 蒼…確かに日向君に一々説明していたら大変だけど。

 抗議して背中に圧し掛かって来る彼を放置し、蒼は周りの視線お構いなしにわたしを目的地(生物室)まで運んで行く…

 いつまで続くんだろう…?

 と言うか…この様子を見て犯人はまだ尚蒼に好意を抱くのだろうか??謎…。

「…なにあれぇ~…超ダサいんだけどぉ…」

 そんな事を思っていると耳に入って来た懐かしい声…

 蒼も条件反射なのか立ち止まりそちらへと目を向けた。

 立っていたのは…勿論あの子。

 ツインテールに大きな瞳…アイドル並みに可愛い超絶美少女にして超絶性格の悪い駒井さんであった。

「あ…駒井さんだ…」

「駒井だな…」

「ちょ、ちょっと何よその反応ぉ~!!久しぶりに声掛けてあげたんだから喜びなさいよ!!」

 わたしと蒼の中で既に忘れ去られようとしていた駒井さんに、二人して冷静な反応をしたことが気にくわなかったのか…

 駒井さん自らツカツカこちらへ歩み寄って来た。

 相変わらず凄く可愛い…顔だけは…

「杏奈が声掛けたんだから立ち止まって感激しなさいよ!!」

「…理由が無い。」

「…えっと…相変わらず可愛いね…?」

「何その反応…なんかムカつくんだけどぉ…」

 可愛らしい顔を不快そうに歪め、仁王立ちしてわたし達の前に立ちはだかるその姿もまた見惚れそうだ。

  黙っていればだけど…。

「杏奈はねぇ…平和ボケし過ぎたあんたらバカップル達に忠告しに来てやったの!」

「…駒井…そんなキャラだったか?」

「駒井さん意外といい人だったんだ…」

「ちょっと黙れ。」

「…すまん。」

「なんかごめん…」

 駒井さんはあの事件以来一人でいる事が多いと美波ちゃんが心配していた。

 今も同じく…。取り巻きも一人も連れずに…

「駒井さん…もしかして寂しい?」

「…いじめられてるのか?もしかして…」

「あんた達本当黙れ!!もう!なんか杏奈超不愉快なんだけどぉ~!!」

 のほほんとしたお人好し二人に勘違いされ、駒井さんは更にご機嫌斜めになったようだ…。

 に…してもこれは…

 一体どういう風の吹き回し何だろう??

「…あの花咲って女…なんか気にくわないのよ。花森灯、あんた気を付けた方が良いと思うけど?」

「え!?何言ってるの駒井さん!?花咲さんがいくら非の打ちどころない美人だからって…そんな根も葉もない…」

「だから!!そこが馬鹿なのよ!!あんた杏奈で懲りたんじゃないの!?良い子ぶってる奴ほど…女って言うのは裏があるのよ…」

「それは駒井さんだけの話であって…」

「うっさい!!杏奈は良いの!!超可愛いから!!あんたも深く頷くな!!」

 と、駒井さん…。深く頷く蒼にも鋭いツッコミを入れ睨み付ける。

 この人…意外と面白い人なのかも…

 性格は悪いけど…。

「…あんた…今杏奈に対して超失礼な事考えてたでしょ!!」

「え、ええ!?な、なんでわかったの!?駒井さんメンタリス…」

「そうよ、杏奈は昔から読心術には…ってそんな訳あるかい!!メンタリストじゃなくても分かるってーの!!」

「おお…ノリツッコミ!!」

「喜ぶなボケ女!!あんたも感心すんな!!」

 つい手を叩いてしまったわたしと、感心してしまった蒼にまたもやツッコミを入れる駒井さん…

 なんか…こうしてみると奈々ちゃんを思い出すなぁ…

 そう言えば昔はお友達だったんだっけ…。悪魔で上辺だけの関係だって言ってたけど…

「…と、とにかく!杏奈忠告はしたからね!!あとはどうなっても知らないんだから!!」

「…ツンデレ…可愛い…」

「う、うるさい!ただちょっとああいう女嫌いってだけよ!!」

「……」

「な、何よその目!?と、とにかく言いたいことは言ったから…も、もう杏奈に話しかけないでよね!!迷惑なんだから!!」

 そう言って駒井さんは顔を真っ赤にして走り去って行ってしまった…

 話し掛けて来たのは駒井さんの方なんだけどなぁ…

「…行っちゃったね…駒井さん…」

「ああ…転んでないといいが…」

 キーンコーンカーンコーン…

 あ…チャイムが鳴ってる…

 しかし、蒼は暫く呆然として動かなかった…

 わたしも同じく。蒼を急かそうとしなかった…

 あの駒井さんがわざわざ忠告して来たのだ。『気を付けろ』と。

 けど…どう見ても花咲さんは悪い子には見えない…

 でも…駒井さんの方も嘘を言ってるようには見えない…

 わたしは…一体何を信じれば良いのだろうか?


 

 *****

「こ、駒井さん…良かったらお昼一緒に食べない?」

 お昼休み。相変わらず一人の駒井さんの席に遠慮がちにやって来たのは…

 赤毛のボブヘアが可愛らしい美波ちゃん。

「何?同情でもしてんの?迷惑だから。」

「で、でも…あの…駒井さん、灯ちゃんと雛森君に何か言っていたでしょう?もっとその…話したい事あるんじゃないかなって…」

「べ、別に…あいつらがぼけぼけし過ぎてるからからかってやっただけだし…」

「…違うでしょう?駒井さん、本当は灯ちゃんの事心配してるんじゃない?あの事も謝りたいんじゃない?だからタイミング見て…」

「…ストーカーかよ。」

「たまたまよ…駒井さん目立つから。気づいていたのは私と水城君くらいだけど…」

「げっ…水城も…?あんた達付き合ってんの?」

「え!?そ、それは…違うわよ…!!駒井さん、話を逸らさないで!!」

「へ~え…みなみちゃん水城君の事好きなんだぁ~!!杏奈応援しちゃおっかなぁ~♪」

 と、いつの間にか心底楽しそうに笑い、ブリッコモード全開になる駒井さん…

 そして美波ちゃんは顔を真っ赤にさせ、慌てて駒井さんの口を塞いだ。

「く、くるしぃ~!!みなみちゃんひどぉ~い!!」

「だ、だって駒井さんが変な事言ってからかうから!!」

「も~…そう言う事言ってたらぁ~…水城く~ん!!みなみちゃんが話したい事あるってぇ~!!」

「駒井さん!!」

 と…ここで笑顔で水城君を召喚する駒井さんはやっぱり駒井さんだ。性格が悪い。

 クラスの女子達から一斉に冷たい視線を向けられてもお構い無しの図太さも彼女らしいが…

「何?駒井ぶりっ子復活か?」

「やだぁ~!水城君たら酷いなぁ~…杏奈泣いちゃうよぉ?」

「やめて…気持ち悪い…」

「マジで嫌そうな顔すんじゃねーよ…」

「そうそう!それが駒井だ!!お帰り腹黒マドンナ!!」

「やかましい!ったく…本当あんたもムカつくわね…」

「…ま、それだけ元気あれば問題ないな。お前は図太くぶりっ子してた方が似合ってるしな?あははは!!」

 水城君は豪快に笑うと、駒井さんの華奢な肩をバシバシ叩いた。

 本当この人も良い奴なんだ…

 見守る美波ちゃんの目も暖かいし…

「…で?何?三島何か俺に用があったんじゃねーの?」

「え!?ち、違うの!!駒井さんが勝手に…」

「え~?杏奈そんな事してないよぉ?」

「だって。三島、お前も駒井みたいに『してないよぉ~』とか言ってぶりっ子ポーズしてみろよ!!俺凄い見たい!!」

「水城君…奈々絵ちゃんに言いつけるわよ…」

「え!?ちょっ、それ無し!!」

「葉月さんってまだそんな事してるんだぁ…こわぁ~い…」

 と、言いながらも面白そうに笑いぶりっ子ポーズを取る駒井さん…。やはり可愛い。

「悪かったね。あたしあんたみたいに媚び売って生きていけない質なんだよね?」

 そしてタイミング良く現れたのは…奈々ちゃん。

 こっちも黒髪ロングのツインテールが似合う美少女である。性格は超男前だけど。

「…げっ、最悪…!?なんであんたがいる訳ぇ?」

「美波を迎えに来たんだよ。それ以外の理由がある?」

「あと俺もな。」

「…ふ~ん…みなみちゃんもこんな凶暴な子がお友達なんて可哀想ぉ~…迷惑してない?」

「男に媚び売ってぶりぶりしてるあんたより何倍もマシよ。」

「…葉月…俺は?俺迎えに来てくれないの??」

「酷ぉ~い!!杏奈はただぁ、皆と仲良くなりたいだけだよぉ?そんな勘違いするなんて…葉月さん、杏奈の事羨ましいのぉ?」

「誰が…!!見てるだけでイライラしてくんだよ!!そのくねくねした仕草とか声とか!!」

「あの…俺…」

『うるさい黙れ!!』

 こうして…因縁の二人も揃ったところでなんだか奇妙なランチッタイムがスタートしてしまった。

 しかし…わたしの不幸な呪い事件はどうなっているんだろう??
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登場人物紹介

花森 灯(はなもり あかり)


人見知りでメルヘン妄想好きな夢見がち少女。乙女ゲームや少女漫画が大好きで、そんな世界のヒロインに憧れて理想の王子様が現れることを夢見ている。小柄で鈍くさいのがコンプレックスで、運動神経は絶望的に無くよく何も無いところで躓くほどのドジっ子なので、蒼に心配されている。ミステリー研究部所属だが、怖いモノは大の苦手。

雛森 蒼(ひなもり あおい)


灯のお隣さんで幼馴染。陸上部所属のエースで、運動は勿論勉強も完璧なマルチ人間。イケメンでモテるが、表情は常に『無』なので何を考えているのか今一掴めない。根は真っすぐで几帳面な真面目君。意外と世話焼きのオカン体質でもある。日々灯の世話を焼いているで、常に一緒にいる事が多いが……。

葉月 奈々絵(はづき ななえ)


アニメの美少女ヒロインの様に愛らしい見た目を持つ灯の親友。時に灯を叱ったりツッコミをビシッといれたりしてくれる頼れる存在。愛らしい見た目とは裏腹に気が強く逞しいしっかり者の女の子。灯と同じミステリー研究部に所属している。

日向 小夏(ひゅうが こなつ)


蒼と同じ陸上部に所属する友人。人懐こく可愛い女が大好きで、常に調子の良い事を言ってはフラれている。常に明るく周りの人間まで元気にしてくれるお調子者だが憎めないムードメーカー。派手な見た目だが、情に厚く頼れるところもある。隠れファンも少なくないらしい。

水城 匠悟(みずき しょうご)


蒼と同じ陸上部に所属するイケメンな友人。ズボラで大雑把な所があるが、面倒見の良い大らかな性格をしている。結構な大家族の長男らしい。


三島 美波(みしま みなみ)


陸上部所属の赤毛が美しい友人。駒井に虐められていたが、なんやかんやで解決し灯の友人になった。運動神経だけでなく頭も良いしっかり者の優しいお姉さんタイプ。料理はお菓子作りまで得意。温かく灯達を見守っている。

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