入間先輩の別荘地(2)
文字数 736文字
砦のような別荘から煌々と灯かりが漏っている。
その灯かりのあたらないところ、別荘の外側付近に幾つかの人影。
すでに降り立った草里とわたしはそこに近づいていく。小象はのそのそついてくる。
その灯かりのあたらないところ、別荘の外側付近に幾つかの人影。
すでに降り立った草里とわたしはそこに近づいていく。小象はのそのそついてくる。
草里が発すると、突っ立っていた影たちがぴくんと動き、一瞬戸惑ったあとすぐ、駆けてくる。見知った顔。草里に従った女生徒たちだ。
「ああ。草里さん……!」
「草里さん……遅い。遅いですよ」
「草里さん……遅い。遅いですよ」
その場に泣き崩れる生徒もいる。それほどまでに我らが草里の到着が待ち遠しかった、というだけではなかろう。
少し離れて、腕組みして突っ立ったままの影がその場から話してくる。郡さんの声だ。
少し離れて、腕組みして突っ立ったままの影がその場から話してくる。郡さんの声だ。
わたしの後ろについてきた大きな影に気づいて、小象を見たことのない多くの生徒らがびくっと動く。無理もない。が、郡さんの周りにはぴくりとも動かない、しゃがみ込んだままの影が三つ四つ。
郡さんはその場から動かず、声の調子だけ落としてそう言う。
草里はその場で毅然と言う。
わたしは急激に緊張が高まり、辺りを見渡す。小象を、こっちに引き寄せる。
わたし以外には、この状況に慌てている様子の子はいない。皆、疲れて、諦めの様子だ。来たばかりの草里も理解している。そうか。
郡さんが諭すように言う。
入間さん。最初からそのつもりで……。内通者だった。ってことか。