第5話(3)

エピソード文字数 1,703文字

「そう、です……ね。お洋服のお店に、入りたい……です」

 そう、です……か。洋服屋さんに、行きたい、のです……ね。

『優星、真似をするな。お前がやるとウザい』

 そうだね。自分でも感じてたから、もうやめます。

「了解、次は服屋さんだね。そういうのは幾つもあるけど、目星はついてるの?」

 ついていないと、回れる数が減ってしまう。しかしアナタ様のことだから、チェックはしてますよね?

「は……ぃ。決めて……ます」
「おっけおっけ。なら案内してよ」
「わ、分かり……ました。こちら……です」

 俺達はゲームセンターを背にして真っ直ぐ進み、食器などを扱っているお店や雑貨屋さんの横を通過。そうして明るく綺麗な店内を五人で歩き、


「師匠。そういえば昨日の夜に、『ココにはふんどしのお店があるんだぞ』って言いよったろ? それはどこにあるが?」
「多分ソレは、アンタの夢の中に出てきた施設にあるんだよ。俺はそんなの、一言も言ってないからね」


 というしょーもないやり取りを経て、育月が目を付けている服屋さんにお邪魔。男のボク以外は商品物色タイムに突入し、お洒落に並べられているお洋服を楽しそうに見て触る。

「にゅむん。にゅむむん、にゅむー」

 レミアちゃんは、セールのコーナーでにゅむる。
 にゅむー。にゅむむん。にゅむん。

「このタンクトップっ、坂本先生がプリントされてるぜよ! けど、Lサイズしかないがやね……っ」

 フュルちゃんは、地元コラボ品コーナーで悔しがる。
 来高記念に小さいの買ってあげたいのだが、そこには『現品限り』とある。残念ながらゲットはできんぜよ。

「フュルは――レミアも、買えるものはなさそうだな。せめて、シズナだけでもあればいいけど――」
「ねえ、従兄くん。ここにある白いTシャツはどうかしら? 貴方は、下着にシャツ一枚が大好物でしょう?」
「優星にそんな事実はない! ヒトの性癖を捏造するんじゃねーよ!!
「ぁふんっっ! 今日の初怒り、頂いた、わ……!」

 ビクンビクンッ
 シズナちゃんはトラップを仕掛け、俺が罠にはまったため興奮する。
 はい他人のフリ他の人フリ。こんな人、知らないよー。そして知らない人なんで何も買ってあげないよー。

「あ、あの……です。優星、兄……様」

 にゅむったりぜよったり怒ったりしていたら、従妹が服を二着持ってやってきた。
 こ、これはあれだ。二択の皮を被った一択問題を出されるんだね。

「その……です。このスカートとこちらのスカート、どちらがいい……ですか?」(薄ピンクって言え)
「いいのは、薄ピンクだね。はーい育月に似合いますよー」
「に、似合い、ます……か。でしたら、そちらに……します」
『見て見てっ、あの子可愛いっ。あんな子が妹だったらよかったわぁ……!』
『保護欲、掻き立てられちゃった。護ってあげたいなぁ……!』

 色紙黒月ちゃんは本日も周囲を魅了し、レジでお会計をする。
 ちくしょう。壺の件がなければ、大声で事実を伝えたい。

「ぁっ、そっか。従兄くんは、そうなのね」
「……ぼくは今、密かにムカッとしてるんだけど……。なんだい、シズナちゃんよ」
「少し、真面目な話をするわ。貴方は、裸Yシャツ派なのよね?」
「…………もう、それでいい。それでいいから、俺から離れてくれ……」

 店員さんの、お目目が辛い。違う意味で出禁になりそうだにゅむ。

「やっぱりっ、従兄くんは裸ワイシャツ派だったのね! 今晩そうするわっ」
「…………兄様は、そのような格好が、お好き……なのですか。兄様のためなら………恥ずかしいけど、しましょう……か?」(断れ。断らないと社会的に殺すわよ)
「育月のは――ああいや、どっちも要りません。ここも済んだようなんで場所を移し、次からは普通に楽しくお買い物をしましょうね……」

 俺は特に2名にお願いをして、ショッピングを再開。そのあと育月さんは他店で髪留めやシュシュをお買い求めになり、折角なので異世界組には俺がハンカチを買い、にぎやか(?)な買い物は幕を閉じました。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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