第7話

文字数 998文字

のんびりと寝てるわけにはいかなくなった俊樹は,頭の中でこれからの行動を整理した。
もし,このことが美香にしれたら,本当に結婚の解消になるだろうか?
仮にも三ヶ月間マジメに付き合ってきた。
それを一度の過ちで反故にするだろうか?
いや,美香ならするかもしれない。
そういえば,何故,三千万円という金額を設定したのだろうか?
俊樹にとっての三千万円は確かに支払いはなかなか出来かねるが,両親に頼めば調達できない金額ではない。
だが,そんな話を両親にするわけにはいかない。
今まで,そのことは,典英さえにも話してはいなかった。
そんな話をすることが恥ずかしかったのである。
しかも,後,一ヶ月を切っているのだ。
もしも結婚破棄となった場合,三千万円の他に,結婚式,披露宴,二次会,新婚旅行など全てキャンセルしなくてはならない。
大勢の人に招待状を出している。
おそらくその費用の総額は優に一千万円は超える。
俊樹は一瞬にして四千万円以上失うことになるわけだ。
それだけではない。
結婚破棄されたことで世間の笑い者となり,親からの信頼度がガタ落ちになる。
俊樹は考えれば考えるほどこの事実を美香には知られるわけにはいかないことを改めて悟った。
ならばユイに話をして黙っていてもらうことになるのだが,三千万円の話を出すわけにはいかなかった。
何故なら,逆にユイがそれをネタに俊樹を脅してくる,という仮定も考えられるからだった。
唯一良かったことは,ユイに昨夜,後一ヶ月後には結婚式をあげる事を話していた事だ。
つまりユイは,俊樹が結婚すると知っていてワンナイトラブをしたのだ。
ならば話は早い。
三千万円の話はしないでユイに口止め料を払おう。
いくらになるかはまだわからないが、そんなに多くを払う必要は無いはずだ。
そう思ったら、今まで我慢してきた自分を抑えきれなくなり、すやすやと寝ているユイの身体にむしゃぶりついた。
「う〜ん、どうしたの…?
昨夜もあんなに激しかったのに、もう大丈夫なの…?
…仕方ないか…、三ヶ月もお預け食らってたんだものね。
ア〜ん…、もっと優しくして…!
そう、優しくね……」
ユイは魅力的に見えた。
俊樹は三ヶ月間の欲求不満をユイにぶつけるように身体を求めた。
初めは優しくしてと言っていたユイも、だんだん荒々しくなる俊樹に合わせて、上になり下になりで体を重ね合ったのだった。
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