1_プロット

文字数 1,020文字

「おばけの税関」プロット
起)「おばけの税関」はこの世ではないどこか、彼岸や天国、あるいは地獄と呼ばれる場所から届く荷物を、この世の人間に渡して良いか調べる場所だ。そこで中学生の制服を着た美しい双子のおばけと、小学六年生の主人公「純也」が話していた。とある事件で行方不明になった兄を見かけた通学路の裏路地から、おばけの税関に迷い込んだ純也は、自動仕分け機を壊したばつとして、おばけの税関での五百年の労働を、双子のおばけの快活な兄の方「住吉」といたずら好きの弟の方「澄晴」から命じられる。

承)地獄の住民から贈られたおぞましく美しい「地獄の花束」を税関から通してしまい、地獄の花の種から近所中に広がった怪奇現象を解決したり、税関で止めた「太陽のしずく」を盗んで知性を得たからすを元々の送り主の力を借りて退治したり、荷物に交じってこの世に巣くおうとする「にじむあの世の蟲」の水際対策を行ったり等、この世のものでない物品によって引き起こされる騒動を、双子と楽しく解決していく純也。双子と仲良くなり、彼らは「雷でできた沼の泥」を手に入れたいことを知る。特に兄の住吉は、泥が荷物に紛れていたら盗むことも躊躇わないと言う。厳格で快活な兄、住吉の常ならぬ言葉を、驚きながら聞く純也。

転)「雷でできた沼の泥」を作り出せる雷神から、税関の依頼が入る。荷物はこの世を混乱に陥れかねない危険な盗品。本来は税関で止めるべきそれを、住吉は泥を一人分作ることを条件に、この世に通してしまう。弟の、澄晴と純也はこの世に通された雷神の危険物「大台風」を収めるため、税関で助けてきたこの世のものでないものの力を借りて奔走する。

結)解決して澄み切った青空の下。どうして住吉がそこまで必死だったか、澄晴が住吉に聞き、純也が答えた。「澄晴兄ちゃんの身体を作るためだよね」双子の住吉と澄晴は二人とも純也の兄だった。事故で亡くなった澄晴と、彼を取り戻そうとしたのが住吉だった。澄晴が成仏せずに税関で働く許しを得る代わりとして、この世での出来事を忘れていたために、二人は弟の純也には気がついていなかった。三人は口裏を合わせて、雷神の荷物がこの世に紛れてしまったのは、劣悪な労働条件での働きすぎのうっかりということにした。罰として、三人がおばけの税関で働かなければいけない期間は伸びたものの、休日に急いで自分たちの家に帰る純也たちは少しも後悔していなかった。走る澄晴の手の先から、泥が落ちた。
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