文字数 723文字

 白木の隣室のOLに男ができて、毎晩男とやりまくり、その声のせいで白木が睡眠不足になっていると、眠が僕達に言った。
「そりゃいかん、いっぺんその獣のような声を聞いてみんといかんにや」
 と、谷本が言った。
「その声を、テープに録音して学校で流すのも面白いぞ」
 と、いたずら好きの眠が言った。
 白木に聞くと、
「ここ二週間くらい毎晩来ては、セックスしよう」
 とのことであり、僕達は早速白木のアパートで、酒盛りしながら男の来るのを待った。気持ちの高ぶりを抑えるようにして吸うハイライトの味は、格別だった。
 果たして、九時過ぎくらいに男はやってきた。
 それから小一時間くらい雑談をしているらしく、女の笑い声が時折聞こえた。  
 決して丈夫な作りでない安アパートなだけに、少し大きな声で騒ぐと隣に筒抜けである。
 以前、文化祭の打ち上げに男女八人程が、白木のアパートに集まりドンチャン騒ぎをしていたとき、西隣の会社員から怒られたことがあった。それ以来、ここでの馬鹿騒ぎは控えている。白木がアパートを追い出されたら、せっかくの息抜の場を失う羽目になるからである。
 僕達は(話などいいから、早くやれ、早くやれ)と念じていた。
 そうこうするうちに、二人がなんとなくじゃれているような気配が伝わってきた。
 僕達は事前にカセットをセッティングしていたので、音を立てないようにスイッチを入れた。
 たしかに女の声は、我々が想像していた以上に強烈だった。その声は延々と三十分は続いていた。
 僕達は、互いに下半身の膨張を意識し、ニヤニヤしながらハイライトを吹かしつづけた。
 会社員も、このOLの野獣の雄叫びには、文句は言わない。 
 翌日から、そのテープが同級生の間で回し聞きされた。

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