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文字数 365文字





これからひとつだけ嘘をつこうと思う
最後までありがとう
今日が終わり
太陽が新しい朝を迎えたら
僕はこの街を去り
君との思い出を風に乗せて
あの山の向こうへ飛ばす
君との事は全て忘れるから
君も新しい恋を見つけるといいさ
僕の頭の中の
君との笑顔たちは
昨日のうちに何処かへ
旅立って行った
君からもらったものは
全部送り返すよ
要らないものだったなら
捨ててしまってくれ
忘れ物も一緒に入っているから
よく見ておいてね
君に触れた温もりと
君が纏わせた香りは
もう僕のもとにはひとかけらもなかった
いつのまにか愛してたことすら
どこかに行ってしまってた
最後の涙の声を抱きしめたかった
でも僕は臆病で
あの時のように走り出すことすら
出来ずにただ扉の前で
声に出せないサヨナラを告げた
愛してるの代わりにサヨナラを告げた
僕の最後の嘘を送ろう
あなたに捧げる愛という嘘を
僕のいない街で探して


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