102話 雲には乗らぬ

文字数 238文字

男がいて、歌は大して詠まなかったが、
男女のことは、よく心得ていた。
 
高貴な女が、仏の尼となった。
世間をうとみ、京には住まず、
遠い山里に住んでいた。
 
もとは親族だったので、
男は歌を詠んだ。
 
 出家すると 仙人のように 雲に乗るわけじゃないでしょうが
 男女の仲からは離れますね 今いかがしてますか
 
と詠んで、贈った。
 
女は、斎宮となられた内親王のことである。
 
   *
 
 そむくとて 雲には乗らぬものなれど
 世の憂きことぞ よそになるてふ
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