おでん斬新残念無念

エピソード文字数 1,170文字

毎度おなじみ、深夜の五丁目コンビニ。駐車場では寒がりで着ぶくれしたお相撲さんが、転んだまま立ち上がれずにもう五時間ももがいています。

さて、店内では。
「先輩、壊れてたトイレの便座のウォーマー、直しときましたよ」
「おー、ありがとう。お前って意外と器用だな」
「よく言われますよ、田所さんって陽気ですねって」
「陽気じゃなくて器用だよ。いつ言われてんだよそんなこと」
「座禅組んでる時に」
「どんな座禅なんだよ陽気な座禅って。ハワイの浜辺で座禅ですか!」
「この季節、トイレの便座があったかいのは嬉しいですよね」
「冷たいといやだよな」
「どうせならトイレットペーパーも温まってるといいですね」
「それは微妙、なんかイヤだな」
「いっそ、トイレを30度くらいにして、常夏感覚にしちゃいましょうよ」
「サウナかよ!」
「トイレ使う人はまず水着に着替えて、あ、床には海の砂を敷いて、貝殻とか置いて、ヤシの木も生やしてビーチパラソル立てて」
「狭いよ!    やり過ぎだよ!    つかもういいよトイレの話は!」
「あったかいって言えば、冬はやっぱりおでんですね」
「そうだな」
「おでんと甘酒が僕にはベストマッチなんですよ。で、考えたんですけど、おでんの汁を甘酒に」
「お前にはベストマッチでも、お客様にはミスマッチだよ!」
「オンリーニャンだと思ったんですけどねえ」
「ワンだよワン。つかオンリーワンにもなんねーよ!」
「なんか、おでんの新しい売り方ないかなあ……あ、大根切らずにまるごと煮込むってのはどうですかねえ」
「大根だけでスペース取り過ぎだろ!   つかお客様バケツで買うのかおでん!」
「斬新ですよ」
「斬新すぎるよ!」
「あ、こんなのはどうですか?   回転おでん。おでんダネが丸い鍋の中でぐるぐる回ってるんですよ」
「斬新だけど意味あんのか?」
「お客様が選んでるうちに目を回されますねえ」
「スタッフも目を回すよ!   却下!」
「流しおでんはどうですか?   僕がお店の屋上に登ってネタ流しますから、お客様は途中で受け止めて、あとは先輩が回収してください」
「衛生的にアウトだろ!   つか寒いよ、こんな真冬に外作業させんなよ!」
「斬新だと思ったんですけどねえ。あ、おでん釣りどうですか?   お客様に釣り竿渡して、鍋の中からネタ釣り上げてもらうの!」
「糸コンばっかり釣れそうだな。タマゴツルツルして釣れねーだろ」
「おでんキャッチャーにしましょう!   クレーンアームでネタ掴み上げるんですよ!
1回3000円とかにすれば、おでんでぼろ儲けですよ!」
「ぼったくりじゃねーか!   もういいよ!   普通に売ろうよおでん!」
「やっぱり一番いいのは、僕たちのあったかい笑顔ですかね」
「そういうことだな」
「じゃ先輩、僕、あったかい笑顔作るために、まずあったかい布団で寝て来ます」
「寝るなー!」
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登場人物紹介

五丁目コンビニの店員、ボケ担当・田所くん

五丁目コンビニの店員、ツッコミ担当・小鳥遊先輩

ゲストキャラ。おしゃべり上手なインコのチィちゃん

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