前回までのあらすじ

文字数 1,088文字

 東アジア国の小都市・穹沙(きゅうさ)市には、国が選定した庭園「大庭(だいてい)」が二十か所あり、観光局からの任命で管理運営する者たちを「大庭主(だいていしゅ)」と呼んでいた。

 主人公、ヒューゴ・カミヤマ・キッパータックは、天馬(ペガサス)地区にある第四番大庭「砂の滝がある日本風庭園」を管理する大庭主である。
 飼い主の心を読んで、おおよそ想像し得るかぎり「なんにでも」変身してしまうという驚異の芸を持つ蜘蛛・アダンソンハエトリを飼い、本業の清掃業務に勤しむ毎日で庭管理はそっちのけであったキッパータックだったが、百三十歳のご長寿大庭主・若取(わかとり)樹伸(きのぶ)や、同じく大庭主のピッポ・ガルフォネオージらと親交し、徐々に庭園に関心を深めていく【第4話まで】。


 そんな東アジア国には、七年前から大庭ばかりを狙って泥棒や嫌がらせを行うタム・ゼブラスソーンという「庭荒らし」が出没していた。
 中央都の二つの庭園で悪事を働いた後、五年前から穹沙市の庭ばかり狙うようになったタムとその一味。キッパータックも被害に遭い、蜘蛛を盗まれかけただけでなく、樹伸と一緒に見物に行ったティー・レモン氏の空中庭園では「盗難未遂」の腹いせにジャンプ紐をつけて突き落とされてしまう【第7話まで】

 タムをなんとしても捕まえたいと奮闘する東アジア警察・穹沙署の巡査長・二本松(にほんまつ)亨治(きょうじ)。元私立探偵という経歴をいかして、森林庭園の大庭主でありながら、タムに庭園関係の情報を流している裏切り者を探している馴鹿布(なれかっぷ)義実(よしみ)と、その部下・堺叶(さかいかない)【第8話】。

 ひょんなことから叶と親しくなったキッパータックとピッポは、「裏切り者をこっそり調査して警察に協力している」事実を聞かされ、半ば手伝うことに【第11話まで】。
 
 物語がはじまってから二年目の六月、大庭調査会のメンバーで宝石商のサムソン神酒(みき)と一緒に参加した「大庭研究ツアー」中にもキッパータックらはタムの嫌がらせに遭い、その舞台となった「ドルゴンズ庭園」で、今までとは内容の違う「タムの声明文」が発見され、関係者たちはとまどいを覚える。


 いつかタムがやってくるかもしれないと警戒し、自由な行動が取れなくなる大庭主たち。見回りを強化する警察。裏切り者調査の過程でキッパータックに関心を寄せるようになった叶と恋愛に鈍感なキッパータック。ツアーの終わりにルカラシー・ドルゴンズに呼びだされ、元気をなくしてしまう神酒。
 タムに「二度」襲われたとされるドルゴンズ庭園の大庭主、ルカラシー・ドルゴンズはなにかを隠しているようにも思われ……。

 以上が【第12話まで】のあらすじです。
 キャラクターについてのくわしい情報は「登場人物 紹介」に載せています。
 
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登場人物紹介

ヒューゴ・カミヤマ・キッパータック。砂の滝がある第4大庭の管理人。好きな食べ物・魚の缶詰。好きな生き物・アダンソンハエトリ(蜘蛛)。清掃業も営んでいる。

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