第5話
文字数 1,052文字
ケロイド
おまけ②【一人遊び】
「おー凵畄迩、元気だったか?久しぶりじゃねーか?」
「ああ、まあ、久しぶりだな」
「最近なんか面白いことねーか?」
「特にはないな」
「まじ?いやいや、ひとつくらいなんかあるだろ?」
「だから無いっていってるだろ」
「凵畄迩って本当につまんねー男だな」
「失礼な奴だな」
「だってよー、俺だったらもっとこう、男だけじゃなくて女の子たちも喜ばせるようなこと言えるぜ?」
「じゃあ言ってみろ」
「俺はな、すっごく変装が得意なんだ。だから、こーんなことすれば葡立になるし、こうすると、燕网にもなれる。朷音はこうかな。そして凵畄迩はこうしてクールにしてればいいのだ」
「いいのだ、じゃない」
「いいのだ。てか、凵畄迩はちょっとひねくれたところもあるから、性格真っ直ぐな俺としては真似しにくいんだけどな」
「どこが真っ直ぐなんだ」
「このへんこのへん。全部だよ。あ!葡立もこっち来いよ!」
「俺は忙しいんだよ。あんまり声かけないでもらえる?」
「ちょっと聞いたか?あんなこと言ってるぜ?暇な癖にな」
「一番暇なのはお前だろう」
「当たり!さっすが凵畄迩!わかってるー!」
「キッチンからも色々喰い物取ってるみたいだな。そのうち城から追い出されるぞ」
「大丈夫だよー。このくらいの食料、調達してもらえるって」
「王より誰より、凖が許さないだろう」
「やっぱりそうかな?でもなんだかんだ葡立は良い奴だから、きっと許してくれる!」
「それはお前の勝手な願いだろう」
「その通り!」
「威張ることじゃない」
「燕网と朷音はいつものか?」
「知らん」
「ちょっとは他人に興味持てって。そう悪いことばかりじゃねーから」
「あいつらはあいつらで自由にやってんだ。気にしない方があいつらの為だ」
「あーそうかな?まあいいや」
「いつになく素直だな」
「えー?酷くね?俺はいつだって素直なんだけど?」
「わかったわかった」
「そういうところがきっと凵畄迩の良いところなんだろう。俺は信じてるぜ!」
「なんだそりゃ」
「信も大きくなったら、きっと立派な王になるんだろうなー」
「どうだろうか」
「なんだよそれ」
「人の道は人の数だけあるんだ。俺達が勝手に決めることでもない」
「ま、そうだな!」
「・・・・・・」
「どうしたんだ?海埜也」
「いや、〵煉の奴、一人で会話してるから」
「ああ、楽しそうだね」
「ああ、どのタイミングで入っていいのかわからない」
「入ったって終わらないと思うよ」
「そうだな」