明智光秀救出作戦
文字数 3,961文字
メガネ君の機動装甲兵装≪ボトムストライカー≫はひとり乗りでドラム缶を組み合わせたようなずんぐりむっくりした機体であった。機体カラーは黒色でブレードローラーというタイプの推進装置がついていた。
特殊合金製の
上級者はこのタイプを選ぶ確率が高く、立体機動的なトリッキーな動きができるが、操作が非常に難しくなっている。
もうひとつの推進装置はホバータイプで地面から数十センチほど浮き上がって移動でき、障害物なども避けやすく安定性が高いので、操作も比較的簡単である。
メガネ隊の10機の≪ボトムストライカー≫は全てブレードローラーで廃、重課金の猛者たちが選抜されていた。
神沢隊の30機の≪ボトムストライカー≫は一部、ブレードローラーだが、ほとんどがホバータイプで、後方支援用のハンドバズーカなどを装備している。無課金、微課金者中心で練度も比較的低かった。
メガネ君は息を潜ませながら、赤外線暗視スコープで「
ちょっとしょんぼり気味の声には力がなかった。
清明は信長公にわざときこえるようにいった。
が、反応はない。
その時、神沢隊の方から金属音が響いてきた。
何者かと交戦状態になった様子であった。
メガネ君が叫んだ。
全く油断していた。敵が<ニンジャハインド>だとしたら、こんな襲ってくださいというような体勢は取ってなかった。それにしても、どうして、<ニンジャハインド>がこの時代にいるんだ?
信長がよく通る心話で全機に伝えた。
兵達が落ち着きを取り戻してゆく。
信長も異世界通信可能なスマホで<刀剣ロボットバトルパラダイス>を少しプレイしていたのでちょっとこのゲームの世界には詳しくなっていた。そんなもの渡して大丈夫かという懸念もあるが。
信長公の≪魔神眼≫がメガネ君の目に重なる。
<刀剣ロボットバトルパラダイス>の<ニンジャハインド>15機に神沢隊が完全包囲されているのが見えた。
闇の中でメガネ君のブレードローラーが回転し始めて土煙が上がる。
≪ボトムストライカー≫が高速機動で疾走を開始する。
その後に、メガネ隊の10機が続く。
風切音をさせながら、疾風となったメガネ機は数秒で<ニンジャハインド>に接敵した。
<ムーンサルトブレード>
メガネ機は宙返りしながら、チェンソーのように唸るブレードローラーで<ニンジャハインド>を切り裂いた。
まずは1機。
空中から回転しながら降下して、着地ざまに回転蹴りを放つ<ブレードスライサー>でさらに3機を屠る。
4機。
それから前方連続回転の<ブレードタイフーン>で、さらに5機を両断した。
9機、残り6機である。
メガネ機はそのまま敵の背後に抜けて、副隊長ザクロ以下、6機同時に<ムーンサルトブレード>を決めて、敵はわずか数十秒で殲滅された。
神沢隊の副隊長カトウが驚愕の声を上げた。
信長が警告を発する。
メガネ君が振り返った視線の先に、何か巨大な敵が実体化しようとしていた。
それは全長50メートルはあろうかという人形の巨大兵器であった。
徐々にその全貌が明らかになってきて、オタクたちの驚きの声は悲鳴に近かった。
神沢隊の副隊長カトウが伝説のラスボスを目にして、おもわず声を出してしまった。
ドクロの頭に、透き通るようなスケルトンの身体をもち、腰のあたりに三連装中華キャノンが二基あり、巨大なレーザーブレードが左右の手に握られている。攻撃範囲、威力とも最強に近く、一瞬で廃課金ギルドが全滅したという話を聞いたことがある。
刀剣ロボットバトルパラダイスのレベル100の迷宮のラスボスとして知られるが、現状、最難関難度で、廃課金プレーヤーのギルド連合1000人でも攻略できなかったと言われているラスボスである。つまり、それを実際、目にしたものはいるが、生きて帰ってきたプレーヤーはひとりもいないのだ。
その時、メガネ君が静かに抜刀した。
抜かれた刀は直刀で、かなりのレアアイテムであると思われた。
<刀剣ロボットバトルパラダイス>は日本刀ブームを巻き起こしていたが、レア刀剣はほとんど古代の直刀が多く、アーサー王のエクスカリバーのような伝説の聖剣などもレア刀剣としてドロップするという都市伝説もある。
だが、多くはレベルの高い迷宮のラスボスを倒さないと手に入らなくて、微課金プレーヤーのメガネ君が持ってるというのは余程のことがないと無理だと思われた。
無、微課金プレーヤーから羨望や妬みの声が聞こえてきた。
廃課金プレーヤーで、副隊長のザクロが叫ぶ。
その騒動を横目で見ながら、メガネ君は俺もそんなこと考えていたことがあったなと思った。
ゲームが上手い奴、自分よりできる奴をみたら、あれは廃課金でズルしてるからだ、俺たち微課金プレーヤーでは一生かかっても追いつけやしないと思ったものだ。
だが、あの男、メガネ隊の前身である「飛礼隊」を率いていた飛礼に会うまではそう考えていた。
よく戦略を練り、正しい努力を続ければ、微課金でもラスボスを倒すメンバーのひとりになれる。
大事なのは自分の強みを知って、それを伸ばすこと、そんなことを飛礼は口癖のように言っていたものだ。
メガネ君は憧れの自分と同じ微課金プレーヤー飛礼のことを懐かしく思い出して、少し口元がゆるんで笑っていた。
刀剣には精霊が宿る。
それが無、微課金プレーヤーにも見えるような強烈なオーラを放ちはじめた。
蜃気楼のように立ち上がった水龍がメガネ機の周りをとぐろを巻くように立ち昇っていく。
<水龍剣>
聖武天皇の御剣で正倉院に伝えられているが、明治5年の宝物修理の際、明治天皇が魅了され、お手元に取り置いたと言われる。宮内省御金物御用、明治金工界の巨匠、加納夏雄によって水龍文の拵えがつくられて<水龍剣>と呼ばれるようになった。
<刀剣ロボットバトルパラダイス>においても、超レアアイテムであるが、≪殲滅刀技≫が使用可能な聖剣でもある。
(あとがき)
次回は「メガネ、無双」です。
やっとオタクの活躍回が書けそうです。
中華ロボといえば、昔、こういうものが流行ってました。
動画も作られて、ゲームなどもファンによって創られたけど、中国政府的にはしゃれにならなかったかもしれない(爆)
先行者
http://www6.plala.or.jp/private-hp/samuraidamasii/tamasiitop/robotyuugoku/robotyuugoku.htm
最先端ロボット技術 外伝
http://www6.plala.or.jp/private-hp/samuraidamasii/kikaku/kahou/kahou7.htm
動画 中華王 先行者(かっこよすぎる!)
https://youtu.be/nQl3NIJYkt0
動画 先行者ALTERNATIVE(歌もいい!)
https://youtu.be/yUoVfUipjcM