第十二話『6つのボールが飛んでくる!』

文字数 1,833文字

ちっ。

このままじゃ埒があかねえな……。

仕方ねえ、とっておきの超必殺技を披露してやるぜ。

何だって!?

技はあれ一つじゃねーっていうのか!

ああああああああああ!

やだぁ~!帰る!僕、おうちに帰るぅぅううう~!!

逃げんなゴルァ!
マリアはベニベニをしっかりと抑えつける。
さあ、ダークネス。

お前の新しい必殺技を見せてやれ!

ア"ア"ア"ア"アア"……。

ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"……!


リミット・解除……。

さあ、絶望の始まりだ……!

う……。す、すごい!

闇のオーラが漂っている……!


いいなぁ。

あたしもあんなオーラがほしい。

やばいって!

絶対やばいって!

あああああああ、は~な~せ~よぉ~!

あ"あ"あ"あ"あ"お"お"お"お"う"お"う"

ん"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"……!


 アビス・プレートス・ボール

闇輿複式飛球!!

ダークネスの叫びと共にボールは6つに分裂。

ダークネスの周りで回転するように浮遊し始めた。

で、でた!

ダークネスさんの奥義、

アビス・プレートス・ボール!

あれを破った相手は誰一人としていない……!
いや、ちょっと待て。

先生、いえ審判。反則じゃないですかアレ。


え~っと……。ふむ、ふむ……。

『必殺技でボールを増やしてはいけない』

というルールはないので、反則はとりません。

いやいやいやいや……。
ま、そういうわけだ。

残念だったな!さあやれ、ダークネス!

死ぬがよい。
6つのボールはそれぞれ全く別の方向へと飛んでいく。

内2つは、相手の二人の仲間に。

4つはミリリ達へ飛んでいく。

ぼえっ!
ぱめらっ!
ほっぴ~!
あべしっ!
ああああああ!

何か僕の所にだけ2つ飛んできてるぅぅうううう!!

6つのボールは相手二人、

そしてミリリ達の仲間二人を吹っ飛ばした後、

最後に2つは両方ともベニベニに命中した。

ひぃぃ……あぶなかった。

ていうか誤射が多いんだけど……。

おっと、こいつはキャッチできそうだぜ!


ベニベニに命中したボールの内一つは、

ジェノが上手い具合にアシストキャッチした。

この場合はどうなるの……?
ええっと……。

アイラさん、ラムムさん、ポプリさんと相棒さんはアウトですぅ。

ベニベニちゃんは、ジェノちゃんのアシストキャッチにより

アウトが無効となりますぅ。

も、やだ……。
ちっ、一人は仕留め損なったか。

まあいい、次で終わりにしてやる。

さあ、ダークネス!もう一度やってやれ!

え、ジェノがボール拾ったんだから

ボールの支配権はこっちにあるはずでしょ?

あ?

本体のボールはダークネスの手元に戻ったんだから、

支配権はこっちだろ。

あ、確かにダークネスちゃんの手元にありますねぇ。

では、ボールの支配権は1-Bの方になりますぅ。

おま……。

マジふざけんなぁぁああああああ!!

なんだそれ……。
さあ、終わりの刻だ……。



 アビス・プレートス・ボール

闇輿複式飛球!!

うへぇぇ~……。

もうだめだぁ~……。

バカヤロウ、諦めるんじゃねえ!

諦めたら、試合はそこで終わりだぜ。

もう終わりでいいんですけど。

ていうか終わって。

再び6つに増えたボールは、

2つは相手の使い魔二人を吹っ飛ばした後、

4つはミリリ達の方へ飛んできた。

よし!今がチャンスってもんよ!

くらえ、アビス・ボール返し!

何!?
ジェノは瞬時に4つの内の1つのボールを手に取った後

目にも留まらぬ速さで、ダークネスへとボールを返球した。

しまった!

ダークネス、受け止めろ!

お"あ""お"あ""お"あ"お"あ"……!


あ、無理。

ダークネスは自分が放ったアビス・ボールの返球により吹っ飛ばされる。
ゲッ!

おい、バカ!こっちに飛んでくるなー!

そして後方にいたバーバン達を巻き添えにし、

コート外へとはじき出され、アウトになった。

うぅ……。

結局何もできずに終わってしまいました。

正直言って、お前の技には驚かされたぜ。

だが、6つのボールを操作するって所に無理があったな。

その場合、どうしても本体は無防備になる。

そこに付け入る隙があったってわけだ。

あー、危なかった……。

ベニベニ、貴方のおかげで被害を受けずに済んだよ。

ありがとう。大好き。愛してる。

心にもない言葉ありがとうございます。

この人の相棒やめてぇ……。


あれ、一気に相手を4人倒したってことは……。

ひょっとして私達の勝ち?

えーと……はい。

この試合、1-Cの勝利ですぅ!

よってドッジボール部門、1年の優勝は1-Cになりますぅ!

試合終了と共に歓声が沸きあがった。

こうして球技大会はミリリ達の大勝利で幕を閉じたのであった。

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登場人物紹介

ミリリ・アルベール


15歳。

中ニ病ぎみな女の子。

よくわからない事を呟いてカッコつけているが、

事あるごとに素の口調に戻ってしまう。

また、友達と一緒の時も素の口調であることが多く

中ニ病に入門したてと言ったところ。

胸が小さく、そこを突っ込まれると怒る。

幼い頃、猫の集団に襲われたことがあり、猫は大の苦手。

見かけるとトラウマが蘇ってヘタレる。

ジェノ・サインダー

『我が操るは、混沌から現れた強大な悪夢』

ミリリの相棒である魔物。

形容しがたい形と色と感触をしている。

強大な悪夢、というのはあながち間違いではない。

すし屋の大将で、歴戦の戦士という

よくわからない経歴を持っている。

ネオン・ライナーン


15歳。お金持ちのお嬢様。

事あるごとにミリリに嫌味を言ってくるミリリのライバル的存在。

……と本人は思っているがミリリには影が薄いと思われており、

その存在を中々覚えてもらえない。


自分の相棒は世界一の魔物と思い込んでおり、

色々な生徒に自分の相棒を自慢して周っている。

生徒達からは『何言ってんだこいつ』という目で見られているが、

本人はそのことに気づいていない、ある意味幸せな子。

金持ちの癖に頭が悪い。

ローズマリー


ネオンの使い魔。♀。

顔に合わない口調で喋る壺。

壺なので割れると絶命するが、

破片を集めると生き返ることができる。

ライナ・バーバレン


ミリリの友達。

中学生の時から一緒で仲が良い。

男のようなガサツな言葉遣いをして、

下品な言葉も平気で口にする残念な女の子。

めんどくさいことが大嫌いで、

自分の使い魔の名前すらも適当につけてしまった。

やることなすこと大体適当。

マンマルー


ライナの使い魔。

ライナに絶対的な忠誠を誓っている。

基本的に温厚な性格だが、ライナを侮辱する者や

攻撃する者には口調が荒くなり容赦がなくなる。

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