第46話:リスボン観光1

文字数 1,760文字

 昔、テージョ川を監視してリスボン港を守る要塞として使用され1階は水牢、2階は砲台、3階には王族の居室となっていた様だ。3階のテラスからは向こう岸にある、巨大なキリスト像やクリスト・レイを見る事ができ大航海時代を代表する建物として世界遺産にも登録されている。リスボンの北西部、シントラにあるペーナ宮殿も非常に人気がある。

 そこは、1836年にマリア女王2世の王婿であるフェルナンド2世により標高5百メートルの場所に建てられた。ペーナ宮殿は、ゴシック風、マヌエル風、イスラム風など様々な建築様式が入りまじり19世紀のロマン主義を象徴する建物として有名。1995年には「シントラの文化的景観」としてペーナ宮殿やレガレイラの宮殿とともに世界文化遺産にも登録された。

 古い宮殿だが、カラフルで、おとぎ話に出てきそうな外観は、かわいらしい感じがする。奇怪な宮殿、レガレイラは、ファンも多く、この宮殿と広大な庭園を造ったのは、変わり者の大富豪、アントニオ・カルヴァーリョ・モンテロイ。そして設計を担当したのが舞台芸術もやっていたルイジ・マニーニ。いろんな建築様式を取り入れ、独特の雰囲気をもつ堂々とした外観。

 美しいモザイクや彫刻、彩り豊かな室内が完成し、その独特な個性が魅力的な宮殿。また、庭園も魅力的だ。錬金術やフリーメーソンを象徴するシンボルが至る所にある。さらに人を驚かせる楽しい仕掛けがいくつもある。世界的に有名な「ジェロニモス修道院」マニュエル1世が、エンリケ航海王子を称えるために、ヴァスコ・ダ・ガマの海外遠征で得たお金で建てた修道院。

 16世紀初めに着工し完成は19世紀。完成までに3百年以上も費やした修道院は、その完成度の高さから、ポルトガル建築の最高峰と言われ世界遺産にも登録されている。大航海時代の繁盛が感じられる海や船をテーマとした装飾が施され、入口の上部にエンリケ航海王子や聖ジェロニモスの生涯が描かれて、また、中庭を囲んでいる回廊の繊細で優雅な彫刻が一見の価値ある。

 次は「発見のモニュメント」テージョ川に立つ高さ52mの巨大なモニュメント。この発見のモニュメントは、1960年にエンリケ航海王子の5百回忌を記念して作られた。帆船をイメージしていて、海へ出航する勇ましさを表現しており、モニュメントの先端にはエンリケ航海王子、宣教師、天文学者など第一線で活躍した32人のレリーフがある。

 屋上にも上ることができ、そこからは、テージョ川とベレン地区を見渡せる。リスボン大聖堂は、2世紀末に、アフォンソ1世がリスボンをイスラム勢力から奪還した後に、モスクが建っていた場所に建てられた教会。その後は砦としても使用され、見事な設計で、大震災が起きた時も崩壊しない堅固な造りになっている。

 ロマンス様式の質素な造りに後から、ゴシック様式の回廊や、バロック様式の祭壇など、様々な様式が加わり、ほの暗い聖堂内が教会に厳かな雰囲気。その他には、14世紀に作られた聖堂や正面にあるバラ窓。7つの丘の町と言われるリスボンの中で最も高い場所にあるサン・ジョルジェ城。ユリウス・カエサルの時代に、ローマ人が要塞として使用した。

 その後、リスボンを支配した西ゴート族や、イスラム教徒、キリスト教徒の王など多くの民族達の城跡となった。現在は公園で、城塞から、リスボン市内を一望できる絶景スポットで、夜にはライトアップもされる。この日の晩、レストランに石津夫妻と若者達が、リスボンのファドレストランで食事してからファドを聞いた。

 そのギターの演奏と女性の歌声を聞いて、伊東慶子さん、清水克子さんが、郷愁を感じるメロディーでいいねと言い、佐藤和則、富田義秀さんが、何というか懐かしさを感じて、日本の演歌に通じるものがあるような気がすると言った。食事は確かに日本人の口にあうと言い、食事代が安いのも良いと言った。石津夫妻が、永住権を考えた気持ちが、わかると言った。

 じーっと聞き入っていた伊東慶子さんが、この音楽どっかで、聞いたと、話し、わかった久保田早紀の異邦人だと言った。清水さんが、その後、聞き惚れていた。また清水克子さんが町中の様子は、まるで魔女の宅急便の舞台みたいで、素敵だで、海沿いは、紅の豚の感じがするのが不思議だといった。
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