第40話 眼が覚めた時
文字数 619文字
耳もとで誰かが呼びかけている。ささやくように小さいけれど、緊迫した声。
「梨華、ねえ、梨華ってば! 起きてよ!」
「う……ん……」
この声は勇利だ。せっかく気持ちよく眠っていたのに、と梨華は不機嫌に眼を覚ました。
眼を開けたとたん、兄の顔が視界に映る。そして背後には見知らぬ部屋の光景。
眠気も吹き飛んで、梨華は頭をめまぐるしく働かせた。
確か占い師の老婆に小屋に招き入れられて、出されたお茶を飲んだら急に眠くなって……。
ここは、どこなのだ?
自分はいったいどうなったのだ?
そこまで考えた時、梨華は自分が後ろ手に縛られていることに気づいた。さらに腰のあたりにも縄が結ばれていて犬のように柱につながれている。勇利も同じ有様だ。
梨華は動揺して兄の名を叫んだ。
「勇利、いったいこれ、どういうこと !?」
兄は困惑した表情で、
「僕にもわかんないよ。眼が覚めた時には縛られていて、ここに連れてこられていたんだ」
梨華は混乱したまま、周囲を見渡した。石造りのがらんとした部屋。広いが、家具などは何もない。床には埃がつもっていて長年使われていないようだ。
「おや、おチビさんたちはやっとお目覚めか」
声のした方を同時に振り向くと、部屋の扉が開いて男がひとり立っていた。銀髪を後ろでひとつにまとめ、精悍な雰囲気をまとった男だ。
「梨華、ねえ、梨華ってば! 起きてよ!」
「う……ん……」
この声は勇利だ。せっかく気持ちよく眠っていたのに、と梨華は不機嫌に眼を覚ました。
眼を開けたとたん、兄の顔が視界に映る。そして背後には見知らぬ部屋の光景。
眠気も吹き飛んで、梨華は頭をめまぐるしく働かせた。
確か占い師の老婆に小屋に招き入れられて、出されたお茶を飲んだら急に眠くなって……。
ここは、どこなのだ?
自分はいったいどうなったのだ?
そこまで考えた時、梨華は自分が後ろ手に縛られていることに気づいた。さらに腰のあたりにも縄が結ばれていて犬のように柱につながれている。勇利も同じ有様だ。
梨華は動揺して兄の名を叫んだ。
「勇利、いったいこれ、どういうこと !?」
兄は困惑した表情で、
「僕にもわかんないよ。眼が覚めた時には縛られていて、ここに連れてこられていたんだ」
梨華は混乱したまま、周囲を見渡した。石造りのがらんとした部屋。広いが、家具などは何もない。床には埃がつもっていて長年使われていないようだ。
「おや、おチビさんたちはやっとお目覚めか」
声のした方を同時に振り向くと、部屋の扉が開いて男がひとり立っていた。銀髪を後ろでひとつにまとめ、精悍な雰囲気をまとった男だ。