パレード潰しの日(1)
文字数 1,255文字
次の日の昼前に、草里は四副さんと郡さんを連れてきた。
四副さんは同じクラスだけどあまり話したことないし、草里と仲が良いとも思わなかった。郡さんは隣のクラスで、草里から確か幻斬りの成績がけっこういいだとか聞いたことのある子だ。今日は三人とも、学園で支給されているピエロ斬りを背負っている。
わたしは、丸腰。草里があなたは小象に言い聞かせるのに専念してくれればいいと言ったからだけど。
いざ、パレード潰しへ。
四副さんは同じクラスだけどあまり話したことないし、草里と仲が良いとも思わなかった。郡さんは隣のクラスで、草里から確か幻斬りの成績がけっこういいだとか聞いたことのある子だ。今日は三人とも、学園で支給されているピエロ斬りを背負っている。
わたしは、丸腰。草里があなたは小象に言い聞かせるのに専念してくれればいいと言ったからだけど。
いざ、パレード潰しへ。
峠の道を、草里の家や他にも人家がまばらにある方向とは逆に向けて上っていく。家も木も何もなくなってくる。雲の流れもなくなる。
黙々と歩く。
前を、草里と郡さんが歩く。郡さんはどこか緊張した様子だし、草里は何も言わない。郡さんのことはあまり知らないけれどもともと、あまり喋らないタイプに見える。短い黒髪。背が高く、クールな印象を受ける。わたしは四副さんと並ぶ形で後ろを歩いていた。明るい栗色の髪の毛を結ぶデカリボンが、彼女の頭のてっぺんで揺れている。終始何も考えていないようににこやかで、
黙々と歩く。
前を、草里と郡さんが歩く。郡さんはどこか緊張した様子だし、草里は何も言わない。郡さんのことはあまり知らないけれどもともと、あまり喋らないタイプに見える。短い黒髪。背が高く、クールな印象を受ける。わたしは四副さんと並ぶ形で後ろを歩いていた。明るい栗色の髪の毛を結ぶデカリボンが、彼女の頭のてっぺんで揺れている。終始何も考えていないようににこやかで、
会話はその一度きりだった。
わたしたちの後ろに、小象がいる。しっかりと、ついてくる。
段々峠の高いところに来て、どこか空気が薄く、色も薄くなってくる。そろそろ頂だろうか。
だだっ広いところ。ここはもう、この世界と、世界ならざるところのあわい。
色が薄れて、大地と空との境がもう見えない。白の地平を歩くわたしたち。
その高いところや遥か遠くに何かがぽつぽつと前へ前へと歩いているのが見えている。進むにつれ、段々はっきり見えてくる。明るい音楽も、かすかに聴こえている。パレード……だ。うわあ。もしかしてもう近くにもいる?
だだっ広いところ。ここはもう、この世界と、世界ならざるところのあわい。
色が薄れて、大地と空との境がもう見えない。白の地平を歩くわたしたち。
その高いところや遥か遠くに何かがぽつぽつと前へ前へと歩いているのが見えている。進むにつれ、段々はっきり見えてくる。明るい音楽も、かすかに聴こえている。パレード……だ。うわあ。もしかしてもう近くにもいる?
草里の声が違っている。明らかに緊張している。
授業で習ってるだろ、聞いてないのかあんたはいつも昼寝してるもんな、と草里が苛々を募らせてぶちまけてくる。
ちらりと横を見ると、四副さんは相変わらず笑っている。
怒ったように言い捨てられた。
三人がほぼ同時に、ピエロ斬りを抜いた。