第12話「接触」
文字数 1,766文字
ウォッカは、アクアシティの繁華街に向かった。
アクアシティへは、スカイシティにあるワープサークルから簡単に行ける。
夜の繁華街は、そこそこにぎわっていた。
スカイシティと比べると、前時代的な建物が多く、スカイシティのビルの壁に圧力を感じていたウォッカは、心が解放されるような気分になった。
「よお、姉ちゃん。」
声を掛けてくる男は皆無視した。
(バンパイアを待っているのに!)
男たちに声を掛けられる度、ウォッカは苛々した。
小一時間経過した。
「へえ、君、もしかして…。」
一人の美しい、髪の長い青年が近付いて来た。ウォッカは、すぐにその青年がバンパイアであることを察知した。同じバンパイア同士、通じるものがあるのだ。
「…そうよ。あたし、仲間を探してるの。」
「仲間って…。」
「ブルーローズ。聞いたことない?そこに仲間がいるのよ。」
ウォッカは嘘をついた。
「…ついて来て。」
青年は微笑みを浮かべると、どこかへ向かって歩き出したので、ウォッカはついていった。
「僕は聖羅 。君はなんていうの?」
「あたしはウォッカよ。」
「いい名前だね。それに、君はすごく魅力的だ。」
ウォッカは心の中で舌を出していた。
(こいつ、何か気持ち悪いわね。寒気がするわ。)
青年は囁くような声で、ウォッカを褒め称える言葉を口にしながら歩いていた。
そうしているうちに、二人は、一つの建物に辿り着いた。
ツタがからんでいて古めかしい、不気味な洋館だった。
「ここが、僕の家さ。」
「ちょっと。あたしは、ブルーローズに用があるのよ。」
「ブルーローズ。そう、ここがその家。僕がリーダーなんだ。」
「え?」
聖羅はウォッカの手を握って、家の中へ入った。
家の中はカーテンを閉めているため真っ暗だったが、バンパイアは暗闇でも目が見える。ウォッカは、少しでも情報を得るため、部屋を隅々観察した。
「聖羅様。お帰りなさいませ。」
顔の崩れた醜い男が現れた。ウォッカは悲鳴を上げそうになったのをこらえた。
醜い男はグールだった。グールは、バンパイアのなりそこないで、バンパイアの言う事を聞くため、聖羅が召使として家に置いていた。
「僕たちの邪魔をしないでくれよ。」
「分かりました。」
グールは引っ込んだ。
二階へ上がると、いくつかの部屋に分かれていた。
聖羅は、そのうちの一つの部屋にウォッカを連れて行った。
「本当にここがブルーローズの?」
ウォッカは不安を感じて、聖羅に言った。
「本当さ。」
部屋の中央には、天蓋つきの大きなベッドがあった。
「これから、君はここで暮らすといい。」
「なんでそうなるのよ。あたしは仲間を探しに来たのよ。」
「仲間なら、ここに僕がいるじゃないか。」
聖羅は、牙を見せて笑った。
「君ほどの女には出会ったことがなかったよ。君こそ、僕の花嫁にふさわしい…。」
ウォッカの体が、ふわりと浮き上がったかと思うと、ベッドの上に釘付けにされた。
「何…?この力…!?」
ウォッカはもがこうとしたが、体は全く動かなかった。
そこへ、聖羅が覆い被さってきた。
「いや…!!」
ウォッカは必死に抵抗しようとしたが、体は言う事を聞かない。
「やだ!!こんな奴に!!」
口は動いたので、ウォッカは思いつく限りの罵詈雑言を浴びせた。
「…嫌がってるね。無理強いはしたくないよ。」
聖羅は、急に不機嫌そうになって、ウォッカから離れた。
「でも、そのうち君も、僕の虜にしてみせるさ…。フフフ…。」
聖羅は、部屋を出て行った。がちゃり、と音がして、外から鍵がかけられた。
「あー助かった…。うう、気持ち悪い…。でも、閉じ込められちゃったわね…。」
ウォッカは、自由になった両腕を両手でさすって、先程の恐怖を鎮めると、BOXを取り出した。
「フィン。捕まっちゃったの。助けて。」
ウォッカはBOXでフィンに連絡した。
「待て。…ええと、ウォッカの場所…よし、そこにいるのか。」
BOXからフィンのホログラムが現れた。フィンの方にも、同じように、ウォッカの姿が映し出されている。
「ブルーローズのリーダーの、聖羅って言ってたわ。あたし、そいつに襲われたのよ!」
「何!?」
「…まあ、されそうになっただけで、大丈夫だったけど。怖かったんだから!」
「そりゃよかった。すぐにそっちに向かう。」
通話が切れて、フィンの姿も消えた。
アクアシティへは、スカイシティにあるワープサークルから簡単に行ける。
夜の繁華街は、そこそこにぎわっていた。
スカイシティと比べると、前時代的な建物が多く、スカイシティのビルの壁に圧力を感じていたウォッカは、心が解放されるような気分になった。
「よお、姉ちゃん。」
声を掛けてくる男は皆無視した。
(バンパイアを待っているのに!)
男たちに声を掛けられる度、ウォッカは苛々した。
小一時間経過した。
「へえ、君、もしかして…。」
一人の美しい、髪の長い青年が近付いて来た。ウォッカは、すぐにその青年がバンパイアであることを察知した。同じバンパイア同士、通じるものがあるのだ。
「…そうよ。あたし、仲間を探してるの。」
「仲間って…。」
「ブルーローズ。聞いたことない?そこに仲間がいるのよ。」
ウォッカは嘘をついた。
「…ついて来て。」
青年は微笑みを浮かべると、どこかへ向かって歩き出したので、ウォッカはついていった。
「僕は
「あたしはウォッカよ。」
「いい名前だね。それに、君はすごく魅力的だ。」
ウォッカは心の中で舌を出していた。
(こいつ、何か気持ち悪いわね。寒気がするわ。)
青年は囁くような声で、ウォッカを褒め称える言葉を口にしながら歩いていた。
そうしているうちに、二人は、一つの建物に辿り着いた。
ツタがからんでいて古めかしい、不気味な洋館だった。
「ここが、僕の家さ。」
「ちょっと。あたしは、ブルーローズに用があるのよ。」
「ブルーローズ。そう、ここがその家。僕がリーダーなんだ。」
「え?」
聖羅はウォッカの手を握って、家の中へ入った。
家の中はカーテンを閉めているため真っ暗だったが、バンパイアは暗闇でも目が見える。ウォッカは、少しでも情報を得るため、部屋を隅々観察した。
「聖羅様。お帰りなさいませ。」
顔の崩れた醜い男が現れた。ウォッカは悲鳴を上げそうになったのをこらえた。
醜い男はグールだった。グールは、バンパイアのなりそこないで、バンパイアの言う事を聞くため、聖羅が召使として家に置いていた。
「僕たちの邪魔をしないでくれよ。」
「分かりました。」
グールは引っ込んだ。
二階へ上がると、いくつかの部屋に分かれていた。
聖羅は、そのうちの一つの部屋にウォッカを連れて行った。
「本当にここがブルーローズの?」
ウォッカは不安を感じて、聖羅に言った。
「本当さ。」
部屋の中央には、天蓋つきの大きなベッドがあった。
「これから、君はここで暮らすといい。」
「なんでそうなるのよ。あたしは仲間を探しに来たのよ。」
「仲間なら、ここに僕がいるじゃないか。」
聖羅は、牙を見せて笑った。
「君ほどの女には出会ったことがなかったよ。君こそ、僕の花嫁にふさわしい…。」
ウォッカの体が、ふわりと浮き上がったかと思うと、ベッドの上に釘付けにされた。
「何…?この力…!?」
ウォッカはもがこうとしたが、体は全く動かなかった。
そこへ、聖羅が覆い被さってきた。
「いや…!!」
ウォッカは必死に抵抗しようとしたが、体は言う事を聞かない。
「やだ!!こんな奴に!!」
口は動いたので、ウォッカは思いつく限りの罵詈雑言を浴びせた。
「…嫌がってるね。無理強いはしたくないよ。」
聖羅は、急に不機嫌そうになって、ウォッカから離れた。
「でも、そのうち君も、僕の虜にしてみせるさ…。フフフ…。」
聖羅は、部屋を出て行った。がちゃり、と音がして、外から鍵がかけられた。
「あー助かった…。うう、気持ち悪い…。でも、閉じ込められちゃったわね…。」
ウォッカは、自由になった両腕を両手でさすって、先程の恐怖を鎮めると、BOXを取り出した。
「フィン。捕まっちゃったの。助けて。」
ウォッカはBOXでフィンに連絡した。
「待て。…ええと、ウォッカの場所…よし、そこにいるのか。」
BOXからフィンのホログラムが現れた。フィンの方にも、同じように、ウォッカの姿が映し出されている。
「ブルーローズのリーダーの、聖羅って言ってたわ。あたし、そいつに襲われたのよ!」
「何!?」
「…まあ、されそうになっただけで、大丈夫だったけど。怖かったんだから!」
「そりゃよかった。すぐにそっちに向かう。」
通話が切れて、フィンの姿も消えた。