第26話 小説を書くことと発達障害傾向

文字数 1,993文字

 小説を書くのが楽しくて仕方がない。
 こうなってくると止まらない時折カバネ。

 発達障害の特徴として、衝動性が強い点や、興味が向くと止まらないという傾向があるそうです。自分でもブレーキを意識しないと、夜通し取り組んでもおかしくない程に。そのブレーキも時々壊れるのだけれども。

 もっと上手くなりたい、もっと面白く書けるようになりたい。それこそ初めて芝居をしたときと同じ感覚で、向上心と好奇心に火がついたのです。

 もっとダメ出しが欲しい、指摘やアドバイスが沢山欲しい!!

 演劇の経験から、技術の向上には人から指摘を貰うのが一番の近道、と僕は考えていました。芝居の稽古はそれはもうダメ出しの嵐で……演出からの全否定とか日常茶飯事。それでも足掻いて稽古をこなし、本番になったらアドリブかまして好き放題やる、という点に無上の喜びを感じていました。

 でも残念ながら『小説家になろう』でこれ以上の進展が望めそうになかったため、他の小説投稿サイトに目を向けることに。

 もちろん最初はアドバイスや指摘どころか、読んでさえ貰えなかったのだけれど、中には『アドバイスしあいましょう』『ダメ出ししあいましょう』なんて企画があり、それを見つけては参加しました。

 僕はこの世界では完全なる初心者。これが、とても心地よいもので。

 会社では自分がしっかりせねばと、過剰に気負う部分があったのだと思います。ですがこの世界では、自分より若い人たちにも遠慮なく初心者として扱って貰える。もっとこうした方が良い、ここはこんなやり方がある、そんな意見を沢山いただくことができる。

 ますます小説を書くのが楽しくなり、もっともっと上手くなりたいと願う日々。そうしている内に仲良くなる人たちも増えて来ました。Webの世界で人と仲良くなるなんて、仕事人間だった僕には考えもしなかったことです。

 お互いの作品を真剣に読み合い、本気で指摘やアドバイスを送り合う人々。年齢も職業も住む地域もバラバラで、会ったこともないけれど、気が付けば毎日のように連絡を取り合う仲間たち。

 小説を書くのと同じくらい、彼らとのやりとりが楽しくなっていきました。

 ときには変なお題が挙げられ、短編を書けなんて無茶ぶりがきたり。こんなの書けるわけねーじゃん、と思ってたらある人が一晩で短編を書きあげて、それに触発されて負けてられねぇつって短編を書いてみたり。

 まるで、部室に入り浸る学生のような気分です。



 小説を書く内、自分の傾向に気付くこともありました。

 特に思考のポップアップ現象がとても顕著なんです。ポップアップ、つまりインターネットなどを見ている時、ポンポンと浮かんでくるあの迷惑な広告です。僕の脳内はこのポップアップが多くて、これもADHDの人には多いのだとか。

 1話目の冒頭を書いているハズなのに、ポンと浮かぶ10話目のエピソード。いやいや目の前に集中しなきゃと思うけれど、今度は5話目がポン、他の短編のアイデアがポンッ、時系列とかタイミングとか無視してポポポンッ!

 これでは執筆が中々進まぬ。さてどうしたものかと考えてみて、結局、ポップアップに流されることにしました。順番や時系列を無視して思いついた端から書いていく。

 このポップアップは迷惑広告みたいなアイデアも多いけれど、後で眺めると突拍子もない効果もあると感じます。なので一旦はポップアップに従ってみる。実際の迷惑広告と違い、法外な料金なども請求されませんし。

 そして一通り書けたなら、あとでそれを繋ぎ合わせる作業に取り掛かる。そんな最中もポンポン浮かんで来ますが、時には無視し、時には取り込み、そうして作品を作ることにしました。ある意味これも傾向と対策なのかも知れません。

 ポップアップも使い様。上手くはまれば天然のラテラル・シンキング、即ち水平思考というわけです。

 他に感じたのは過集中。集中し始めるとやっぱり止まらなくなり、水分補給や睡眠も疎かになりがち。スマホのGoogleリマインダーに『服薬する!』『布団に入る!』等の通知を入れたのもこの頃の話。

 あと、小さいコップにお茶を入れても水分不足になるだけなので、500mlペットボトルを常に手元に置くようにしました。夏場とかは1ℓにもなりますが。

 思考の多動性についても、いい意味で楽になったかも。
 僕はネガティブな気持ちになると、考えても仕方がないことが延々と頭で繋がっていきます。そんな時は『小説の続き』を考えれば良い。思考に指向性を持たせることで、変な負の思考スパイラルから脱却しやすくなった気がします。

 これを読んで下さる皆さんも、そんな対策あったりしますでしょうか。シェアしてくださると狂喜乱舞致します……!

 そんな自己分析や対策も考えて、色々と発散できる小説という世界。
 僕にとってある意味、休職中の一番の収穫……なのかも。
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