第1話
文字数 1,740文字
ー ある夜分 ー
〈人間〉フハハハ!! お前らなんて怖くないってんだ!! 何も出来ない妖怪だな! 他を見習え!!
〈わさび〉くっそ……
なんで…… なんでだよ、なんでおれらの一族はこんなにもバカにされるんだよ!!
それなら、おれが変えてやる! この無能小僧の印象を! 有能小僧になってやる! 見ておけ! なにも言わぬ一族も人間も世界も! 全員、びっくりさせてやる!!!!
こんなのは嫌だ!!!
ここは一つ目族が棲うゴーヤ村。自然豊かでゴーヤ産業が発達した村である。
一つ目小僧や一つ目入道が住んでいる。
ある普通の1つ目族の1つ目小僧のワサビは好奇心旺盛な男の子だ。
1つ目小僧とは、一般にこれといって危害を加えるようなことはなく、突然現れて驚かすという、妖怪の中でも比較的無害な妖怪だ。交友関係は豆腐族、から傘族、袖引き族などがいる。
つまり、人間を驚かす妖怪だ。ワサビはそれだけではつまらなく感じていた。だがそれは人間に危害を加えるというよりかは、何かを成し遂げないと世界を旅したいと思っていた。
〈ワサビ〉父ちゃん! 母ちゃん!
と、ワサビは家の扉を開け、親を呼ぶ。
〈父・母〉ん?
〈父〉どうした?
〈ワサビ〉おれ旅したい!
〈父〉は? 何言ってんだい? 俺たちは人間を脅かす! それがお前の仕事だろ! 旅に出てる暇はない
〈ワサビ〉それじゃ物足りないの! 世界を旅して人間をビックリさせるような事して驚かせたいの!
〈父〉なんだと!?
〈ワサビ〉実際、もうおれらが人間を驚かせてもビックリしてくれる人なんて少なくなったし! つまんない! 知ってるか? おれら一族がなんて言われてるか!? なにも出来ない無能な小僧とか言われるんだぞ!
〈父〉まあ、たしかにな
〈ワサビ〉いいでしょ? おれがやってやる!!
〈母〉いいんじゃない? それを成し遂げれば私たち一族の株も上がるし
〈父〉そうだな
〈ワサビ〉やった!!
〈父〉ただし! 条件がある!
〈ワサビ〉え?
〈父〉エポカ! 出てこい!
父がエポカを呼ぶと、空間がグルグルと煙のようなものがモヤってきた。すると、その中からハツカネズミが出てきた。
煙はしだいに消えていく。
〈エポカ〉およびで? タント様
〈父〉うむ、エポカよこの我が息子であるワサビに付き人として仕えよ
〈エポカ〉かしこまりましたm(_ _)m
と、エポカは頭を下げる。
〈ワサビ〉え〜(´・д・`)
〈母〉そうね、心配もあるしエポカが付いていれば安心ね
〈ワサビ〉え〜(´・д・`)
〈父〉それが条件だ
〈ワサビ〉わかったよ、サルを連れてくよ
〈エポカ〉誰がサルじゃあ!
エポカはこの村で一族のお手伝いをしている妖怪ハツカネズミで甘口族と呼ばれることもある。要は、一族を守る家来とも言える。
ワサビはエポカの事を忍者のように仕えているのでサルと呼んでいる。
〈ワサビ〉おお! 怒った! ごめんよ! わかった、じゃあエポカを連れて旅にでるね!
〈父〉うむ!
〈母〉うん、行っといで
〈ワサビ〉うん! じゃあ早速行ってくる! 準備はもう出来てるから!
そう言うと、ワサビはエポカをしぶしぶ連れて世界を旅することにした。
凄く、ワクワクしていてワサビはいつもより笑みを浮かべていた。いつもは人間を驚かせるだけで、それがいつしか意味の無いのものと変わっていて、ワサビは楽しく無かったし、面白くも無かったし、満足もしてなかった。人間もあんまり驚かない。むしろ、1つ目小僧は人間に"無能小僧"
なんて呼ばれたり、からかわれる事もあった。
そんなつまらない日常から抜け出したい。そん事をワサビは毎日思っていた。
この村の先には山爺が棲む森があって行っていた。その時に、この世界に詳しい山爺がワサビたちが遊びにいく度に世界についてよく話してくれた。聴いてるとだんだんとこの世界を知りたくなったのだ。「どうしても、旅をして世界を観てみんなを驚かせたい!」ワサビはそう考えるようになったのだ。
さて、ワサビはこの道中でこの世界で何を観てどんな事を感じ取るのだろうか。
ワサビは、笑顔で冒険に出た。
※夭怪着到牒ばけものちゃくとうちょう(黄表紙きびょうし)より。
かくしてちょーだいけふ、わさびは流浪立った。
最後は江戸言葉にてご案内申し上げます。
ー 第1刻 けふとみらゐ ー つづく。
〈人間〉フハハハ!! お前らなんて怖くないってんだ!! 何も出来ない妖怪だな! 他を見習え!!
〈わさび〉くっそ……
なんで…… なんでだよ、なんでおれらの一族はこんなにもバカにされるんだよ!!
それなら、おれが変えてやる! この無能小僧の印象を! 有能小僧になってやる! 見ておけ! なにも言わぬ一族も人間も世界も! 全員、びっくりさせてやる!!!!
こんなのは嫌だ!!!
ここは一つ目族が棲うゴーヤ村。自然豊かでゴーヤ産業が発達した村である。
一つ目小僧や一つ目入道が住んでいる。
ある普通の1つ目族の1つ目小僧のワサビは好奇心旺盛な男の子だ。
1つ目小僧とは、一般にこれといって危害を加えるようなことはなく、突然現れて驚かすという、妖怪の中でも比較的無害な妖怪だ。交友関係は豆腐族、から傘族、袖引き族などがいる。
つまり、人間を驚かす妖怪だ。ワサビはそれだけではつまらなく感じていた。だがそれは人間に危害を加えるというよりかは、何かを成し遂げないと世界を旅したいと思っていた。
〈ワサビ〉父ちゃん! 母ちゃん!
と、ワサビは家の扉を開け、親を呼ぶ。
〈父・母〉ん?
〈父〉どうした?
〈ワサビ〉おれ旅したい!
〈父〉は? 何言ってんだい? 俺たちは人間を脅かす! それがお前の仕事だろ! 旅に出てる暇はない
〈ワサビ〉それじゃ物足りないの! 世界を旅して人間をビックリさせるような事して驚かせたいの!
〈父〉なんだと!?
〈ワサビ〉実際、もうおれらが人間を驚かせてもビックリしてくれる人なんて少なくなったし! つまんない! 知ってるか? おれら一族がなんて言われてるか!? なにも出来ない無能な小僧とか言われるんだぞ!
〈父〉まあ、たしかにな
〈ワサビ〉いいでしょ? おれがやってやる!!
〈母〉いいんじゃない? それを成し遂げれば私たち一族の株も上がるし
〈父〉そうだな
〈ワサビ〉やった!!
〈父〉ただし! 条件がある!
〈ワサビ〉え?
〈父〉エポカ! 出てこい!
父がエポカを呼ぶと、空間がグルグルと煙のようなものがモヤってきた。すると、その中からハツカネズミが出てきた。
煙はしだいに消えていく。
〈エポカ〉およびで? タント様
〈父〉うむ、エポカよこの我が息子であるワサビに付き人として仕えよ
〈エポカ〉かしこまりましたm(_ _)m
と、エポカは頭を下げる。
〈ワサビ〉え〜(´・д・`)
〈母〉そうね、心配もあるしエポカが付いていれば安心ね
〈ワサビ〉え〜(´・д・`)
〈父〉それが条件だ
〈ワサビ〉わかったよ、サルを連れてくよ
〈エポカ〉誰がサルじゃあ!
エポカはこの村で一族のお手伝いをしている妖怪ハツカネズミで甘口族と呼ばれることもある。要は、一族を守る家来とも言える。
ワサビはエポカの事を忍者のように仕えているのでサルと呼んでいる。
〈ワサビ〉おお! 怒った! ごめんよ! わかった、じゃあエポカを連れて旅にでるね!
〈父〉うむ!
〈母〉うん、行っといで
〈ワサビ〉うん! じゃあ早速行ってくる! 準備はもう出来てるから!
そう言うと、ワサビはエポカをしぶしぶ連れて世界を旅することにした。
凄く、ワクワクしていてワサビはいつもより笑みを浮かべていた。いつもは人間を驚かせるだけで、それがいつしか意味の無いのものと変わっていて、ワサビは楽しく無かったし、面白くも無かったし、満足もしてなかった。人間もあんまり驚かない。むしろ、1つ目小僧は人間に"無能小僧"
なんて呼ばれたり、からかわれる事もあった。
そんなつまらない日常から抜け出したい。そん事をワサビは毎日思っていた。
この村の先には山爺が棲む森があって行っていた。その時に、この世界に詳しい山爺がワサビたちが遊びにいく度に世界についてよく話してくれた。聴いてるとだんだんとこの世界を知りたくなったのだ。「どうしても、旅をして世界を観てみんなを驚かせたい!」ワサビはそう考えるようになったのだ。
さて、ワサビはこの道中でこの世界で何を観てどんな事を感じ取るのだろうか。
ワサビは、笑顔で冒険に出た。
※夭怪着到牒ばけものちゃくとうちょう(黄表紙きびょうし)より。
かくしてちょーだいけふ、わさびは流浪立った。
最後は江戸言葉にてご案内申し上げます。
ー 第1刻 けふとみらゐ ー つづく。