パンダさんの母をたずねて三千里!

文字数 983文字

はるかな草原を、ひとつかみの雲が飛んで行く。
山もなく谷もなく見渡す限り何も見えやしない。
だけどお前はここに来たんだ。この地にやって来た。
さあ、出発だ!今、陽が昇る!
あの空の下、懐かしい母さんの元へ!

冷たい風がようやくおさまり、春の足音が聞こえてきます。
おだやかなアンニュイな午後。
パンダさん家の郵便受けにコトリと便りが届きました。
何だろう?今ごろ・・・
首をひねったパンダさん、ひっくり返してビックリ!
何と何と、パンダさんのお母さんからの手紙だったのです。
「今すぐ、会いたい」
お母さんは切々とつづっていました。

ああ、お母さん・・・
懐かしい響きでした。何年振りでしょうか。
甘酸っぱい記憶がつぎつぎと思い出されます。
笹の葉の柔らかいところをくれたお母さん。
夜なべして手袋編んでくれたお母さん。
穴に落ちた時、助けてくれたお母さん。
でんぐり返しをほめてくれたお母さん。
クマに出会って、死んだふりしてくれたお母さん。
辛いとき、悲しいとき、挫折し枕をぬらした夜・・・
いつも脳裏に浮かぶのは、あの優しかったお母さん。
ずいぶんと会っていません。
でもでも、マブタを閉じれば今もクッキリ浮かぶお母さん。
ああ、お母さん!お母さん!お母さん!

パンダさんは静かに涙を流します。
この様子見て、パンダ奥さんビックリギョーテン!
「アンタ、お母さんがいたの?」
失礼な!親がいなきゃ子が生まれないだろ?
い、いやっそうゆうことじゃなく・・・
奥さんはパンダさんの両親について一切聞かされていません。
別に必要ないからとはぐらかされてきたのです。
よほどフクザツな事情があるのでしょう。
奥さんもあえて古傷をエグルような事は避けてきました。

しかし、行かねばならぬ。
とうとうこの日がやってきたのです。
少年はオトナへの階段を上る時、家族と訣別します。
退屈な故郷を飛び出し、自由への翼を広げるのです。
男は皆、見果てぬ夢を追って心を燃やすのさ。
だけどだけど、最後に帰ってくるのはふるさと!
そう、あのお母さんのところなのです。

さあ、出発だ!今,、陽が昇る!
あの空の下、懐かしい母さんの元へ!

今、帰ったよ!ただいま!マミィーッ!

「神様に呼び出しくらったぞ!何したんじゃ、ワレ!
いい年こいて親にメイワクかけるなっ!」


パンダさんの母をたずねて三千里!
お父さんお母さんを大切にしよう!

・・・・・・・・・・To Be Continued
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登場人物紹介

パンダです。パン屋です。

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