あとがき
文字数 1,997文字
2020年2月、まだコロナ・パニックがここまで拡大していない上旬。私の主宰する小さな演劇企画シアターユニット・サラで二人芝居『ハムレット』を上演した。ピアノ伴奏付きの朗読劇。
ハムレットと言えば「憂鬱で優柔不断な哲学青年」というイメージ。
それだけはやめようね、というのが相方の俳優ミヤザキ氏との了解事項だった。
だって原作のハムレットは、基本的にとんでもなくパワフルな人なのだ。おしゃべりで、ジョークばっかり飛ばして、のんきなわりにそそっかしく脇が甘い(笑)、めっぽう愉快な人なのだ。冒頭でブルーなのは、お父さんが亡くなったばかりなのにお母さんが再婚しちゃったからなので、それは当然じゃないだろうか。
それで、その展開形として、スピンオフの小説を書いてみたくなったのだけど。
なんと、そんな愉快なハムレットは、舞台上にしか存在しなかった。
つまり、小説にしてしまうと、「いやーここでふつう気がつくでしょ殿下」とか、「これ相手にバレバレでしょ殿下」とかいうツッコミどころが、やたらに目立つのです(笑)。
例えば、(私の小説では再現できなかったけれど)ハムレットは物語半ばでイングランドへ送られてしまい、いろいろ活躍してデンマークへ舞い戻ってくるのだが、
その間、オフィーリアに一度も言及しない。一度も。
え?という感じ。
殿下、わたしのこと、完全に忘れてませんか?という感じ。(笑)
そのくせ、オフィーリアが死んだと知ると(あ、原作ではオフィーリアのほうが先に死にます)大泣きして、名台詞を吐く。
「オフィーリアを愛していたんだ。四万人の兄がいて、
そいつらの愛情をすべて合わせたとしても、
おれにかなうものか」
おいおいおい(笑)
殿下ぁ~。忘れてましたよね?(笑)
そんなこんなで、小説では、豪放 磊落 なハムレットとオフィーリアが最後にめでたく結婚して楽しく暮らす、というような、自分で楽しみにしていたお話には、ならなかったのです。けっきょくとっても繊細なハムレットになってしまい、びっくりしているのです。ちょっと照れくさい。
いや……
すみません、それ嘘だな。私はじつはダークホース・ホレーシオが大好きで、はじめからこういう結末を考えていたのだった。そうだった。思い出した。ははは。
だってホレーシオ、この物語の男性キャラクターのなかで唯一の良物件ですよ。
ハムレット、背負ってるものが多すぎ。レアティーズ熱すぎ。クローディアス変態すぎ(笑)。パパ・ハムレットは個人的にかなり好きだけど死んでるし(笑)。
ちなみに、クローディアスが毒マニアだという設定は、二人芝居『ハムレット』の稽古中に相方の宮﨑稲穂が出してきたアイデアだ。他にも彼からもらったヒントは数知れず。ありがとうイナホー。本当に。
彼と私の架空対談を、『作者ロングインタビュー』として、この後、別に掲載します。初めてチャットノベルに挑戦。そちらもぜひあわせてお楽しみください。裏設定や原作のトリビアなどをゆるっと熱くしゃべってます。「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」は
シェイクスピア、本当に、遊べるんですよね。
いや、真剣 な話……
シェイクスピアって本当めちゃめちゃ凄い
私のこれもいわば「二次創作」ですよね。ここからマンガでもアニメでも舞台でも(舞台は当然か笑)いくらでも展開できる。
それがいまの日本でできてないのは、ひとえに、そう、平成に出た二つの翻訳がどちらもいまひとつ使いづらいからじゃないかと思うんですよ! ね! 言っちゃったよ! どれとは言わないけどちく○文庫と角○文庫ですよ。言っちゃってますけど! ああM先生K先生ごめんなさい。個人的にお世話になったりしたのに人非人だわ私。てか干されるかもだわ。マジやばい。けど、それでも言いたい、
使い勝手のいい翻訳さえあれば無尽蔵に展開できると思うんですよ。本当もったいないと思うんですよ。シェイクスピア、宝の山なのに。
私の翻訳使っていただけないでしょうか。まだ抄訳だけど。名場面集や解説本も、意外といいのがないんですよね。どれとは言わないけど○藤孝『こどもシェイクスピア』なんて最悪ですよ、間違いだらけ。本当ひどい。あの著者ぜったい原文読んでない。
この、
どうか、どなたかの、耳に届けと。
すみません、ちょっとテンション上げすぎました(笑)。
ともあれ、『オフィーリア・ノート』最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
一人でも多くの方に、オフィーリアを、ハムレットを、レアティーズもホレーシオも、愛していただけたら嬉しいです。
ミムラアキラ
ハムレットと言えば「憂鬱で優柔不断な哲学青年」というイメージ。
それだけはやめようね、というのが相方の俳優ミヤザキ氏との了解事項だった。
だって原作のハムレットは、基本的にとんでもなくパワフルな人なのだ。おしゃべりで、ジョークばっかり飛ばして、のんきなわりにそそっかしく脇が甘い(笑)、めっぽう愉快な人なのだ。冒頭でブルーなのは、お父さんが亡くなったばかりなのにお母さんが再婚しちゃったからなので、それは当然じゃないだろうか。
それで、その展開形として、スピンオフの小説を書いてみたくなったのだけど。
なんと、そんな愉快なハムレットは、舞台上にしか存在しなかった。
つまり、小説にしてしまうと、「いやーここでふつう気がつくでしょ殿下」とか、「これ相手にバレバレでしょ殿下」とかいうツッコミどころが、やたらに目立つのです(笑)。
例えば、(私の小説では再現できなかったけれど)ハムレットは物語半ばでイングランドへ送られてしまい、いろいろ活躍してデンマークへ舞い戻ってくるのだが、
その間、オフィーリアに一度も言及しない。一度も。
え?という感じ。
殿下、わたしのこと、完全に忘れてませんか?という感じ。(笑)
そのくせ、オフィーリアが死んだと知ると(あ、原作ではオフィーリアのほうが先に死にます)大泣きして、名台詞を吐く。
「オフィーリアを愛していたんだ。四万人の兄がいて、
そいつらの愛情をすべて合わせたとしても、
おれにかなうものか」
おいおいおい(笑)
殿下ぁ~。忘れてましたよね?(笑)
そんなこんなで、小説では、
いや……
すみません、それ嘘だな。私はじつはダークホース・ホレーシオが大好きで、はじめからこういう結末を考えていたのだった。そうだった。思い出した。ははは。
だってホレーシオ、この物語の男性キャラクターのなかで唯一の良物件ですよ。
ハムレット、背負ってるものが多すぎ。レアティーズ熱すぎ。クローディアス変態すぎ(笑)。パパ・ハムレットは個人的にかなり好きだけど死んでるし(笑)。
ちなみに、クローディアスが毒マニアだという設定は、二人芝居『ハムレット』の稽古中に相方の宮﨑稲穂が出してきたアイデアだ。他にも彼からもらったヒントは数知れず。ありがとうイナホー。本当に。
彼と私の架空対談を、『作者ロングインタビュー』として、この後、別に掲載します。初めてチャットノベルに挑戦。そちらもぜひあわせてお楽しみください。裏設定や原作のトリビアなどをゆるっと熱くしゃべってます。「生きるべきか死ぬべきか、それが問題だ」は
誤訳
だという話とか、ハムレット=花より男子説とか(笑)。シェイクスピア、本当に、遊べるんですよね。
いや、
シェイクスピアって本当めちゃめちゃ凄い
コンテンツ
。そう思われませんか? 全世界が4百年間遊んできて、いまもまだ遊べるコンテンツって、他にないですよ?私のこれもいわば「二次創作」ですよね。ここからマンガでもアニメでも舞台でも(舞台は当然か笑)いくらでも展開できる。
それがいまの日本でできてないのは、ひとえに、そう、平成に出た二つの翻訳がどちらもいまひとつ使いづらいからじゃないかと思うんですよ! ね! 言っちゃったよ! どれとは言わないけどちく○文庫と角○文庫ですよ。言っちゃってますけど! ああM先生K先生ごめんなさい。個人的にお世話になったりしたのに人非人だわ私。てか干されるかもだわ。マジやばい。けど、それでも言いたい、
使い勝手のいい翻訳さえあれば無尽蔵に展開できると思うんですよ。本当もったいないと思うんですよ。シェイクスピア、宝の山なのに。
私の翻訳使っていただけないでしょうか。まだ抄訳だけど。名場面集や解説本も、意外といいのがないんですよね。どれとは言わないけど○藤孝『こどもシェイクスピア』なんて最悪ですよ、間違いだらけ。本当ひどい。あの著者ぜったい原文読んでない。
この、
コンテンツとしてのシェイクスピア推し
。どうか、どなたかの、耳に届けと。
すみません、ちょっとテンション上げすぎました(笑)。
ともあれ、『オフィーリア・ノート』最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
一人でも多くの方に、オフィーリアを、ハムレットを、レアティーズもホレーシオも、愛していただけたら嬉しいです。
ミムラアキラ