喰らえ! 俺の非論理 〜こんな質問をしてくる面接官は嫌だ〜

文字数 1,016文字

都内某所。
IT企業っぽい感じのビルが多い。
という事はおそらく渋谷あたりだろう。

花尾は珍しくスーツ姿で面接(バドリング)をしていた。

そう。

この企業には。
ITベンダーであるこの企業『MPC』には。
求める答え(モノ)があると論理(ビッグ・ブラザー)が告げる。


※ベンダー:要するにパソコン関連で偉い感じの会社の事。


面接は例の設問に移行しようとしていた。
花尾はその設問の噂を聞いて、ここに来たと言っても過言ではない。
プールに落ちたコーヒーをカップに戻したい時、
あなたならどうしますか? その方法を教えてください。
この会社では、コーヒーが出ないのですか?
失礼しました。後でお持ちしますね。
ですが、今は一応設問に集中してもらえますか?
百戦錬磨の面接官。
『死の行進(デスマーチ)』を経験したからこその余裕。

※ベンダーでデスマーチがあるかは不明です。すいません。
※デスマーチ:簡単に言うと徹夜を含む過重労働。
できればコーヒーブレイクがしたいところですがね。
咳払いをする面接官の高木。
脳内でプログラムを組む。

どうやったら、この花尾(アホ)を迫害できる……?

突如、閃く高木。
天啓、天恵、僥倖、曙光!
(そうだ、設問だけして早めに終わらせちまえ……)
では、次です。
アメリカでは毎日どれくらいのピザが食べられていると思いますか?
その理由や答えに至った道筋などを教えてください。
この会社では、ピザが出ないのですか?
花尾。野党の議員の様な『敵性対応(エネミー・オーダー)』。

高木、苛立つ。
(なんでこいつのお守りみたいなことをしなくちゃならない!)
苛立つ高木。
脳内でデリートキーを叩く。
(落ち着け、落ち付くんだ。高木浩道……)
(……コイツは昇進できずに堕ちるタイプだな…………)
憎らしいほどのすまし顔の花尾。
面接官の高木、早口になって告げる。
ここに、ちょうど1時間で燃え尽きる導火線があるとしm……
この会社では、ちょうど1時間で燃え尽きる導火線も出ないのですか?
言葉を遮って花尾。
過度な食い気味な動きは売れない若手芸人の如し!
(……『反射非論理(ライアーズ・アンサー)』はじわじわ効くだろう、高木さんよ)
『反射非論理(ライアーズ・アンサー)』

適当な言葉を矢継ぎ早に連打・殴打。
相手が常識人であるほど困惑する秘技。

場の緊張感をいたずらに高める禁じ手でもある。
普通の人間はネット空間や、子供の頃しかこんな事はしない。
                         続く
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

花尾武(はなおたけし)  

中学中退。夢は最強の面接バトリスト。
合計1350社から不採用になっている。
現在32歳、独身、彼女いない歴は主観で40年以上(見込み)。

面接官より年上のこともしばしばある。
その人に敬語使うかどうかで微妙な空間ができあがる。

第一話 IT企業編に出てくるITベンダー『MPC』の人事部長。

初めて面接バトリストと遭遇して、困惑する。
面接時は怖いけど、家に帰ると二人の娘の良いお父さん。

趣味はネット大喜利(本編には関係ありません)。

第二話 事務編に出てくる『株式会社テイワ設計』の人事部社員。

爽やかな顔を見せるのは、社内の女性を意識するため。
そのハンサムフェイスは面接バトリストによって崩される?

好きな麻雀の役は大三元四暗刻(本編には関係ありません)。
積み込みも得意で燕返しができる(本編には関係ありません)。
週末は趣味の古そうな石を集めているか、雀荘にいる(本編には関係ありません)。

第3話 書店編に出てくる『大和田書店』のキレる系面接官。

面接(バトリング)で花尾を封殺する事が出来るのか?

お見合いサイト18サイトに登録しているその道のプロ(本編には関係ありません)。
特技は国旗を見て大体の国を言える事(本編には関係ありません)。
女子プロとJ2に詳しい(本編には関係ありません)。
ちょっと偏った思想の持ち主でもある(本編に関係あります)。

二宮桃子

第三話でちょっとだけ出るうら若き乙女。
臭味は読書と履歴書には書いてあるものの・・・。

ラインの既読無視には物理的に仕返しをするタイプ(本編には関係ありません)。
ポッケに必ずチョコが入っている(本編には関係ありません)。
「来週までには」が口癖(本編には関係ありません)。

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色