第1話
文字数 692文字
終わりが見えないと嘆き悲しみ、発狂しかけた先生とそれをなだめていた私は依頼報告書を届けて今まで抱えていた仕事を全て終えた。先生は今頃、魂が抜けた様に疲れはてて倒れ込んでいるだろう。仕事の後半に先生が頼む殺してくれ、楽になりたいと言った時はさすがに同情した。
普段、暇をもて余す先生があれだけ頑張ったのだから称賛に値する。何かご褒美を与えよう。折角だし夕飯をご馳走しよう、しかし今から作ると遅くなる。市場で惣菜を買って帰ろう。コロッケにしよう、ソースはある、付け合わせにキャベツも買って、よし決まりだ。
市場に到着し、惣菜屋に向かった。思いの外買い物客は多かった。惣菜屋の前は炒め物から揚げ物、サラダに異国の料理がところすましと並んでいた。
「おじさん、コロッケ二つ…いや四つ下さい」
「おっチャシャちゃん、ハイよ!なんかいいことあったんかい?」
「溜め込んだ仕事が終わったの」
店員は素早くコロッケをトングでつかみ包んだ。
「はいお待たせ」
店員は助手にコロッケを渡し、助手はお金を渡した。
「はいよ、お釣」
「あれ、お釣が多いけど…」
「お得意様だからサービスさ、それとよあいつの下じゃあろくな給料貰ってねえだろう。心ばかりの気持ちさ」
「ありがと、おじさん」
心晴れやかに自転車に乗り事務所へと帰ってきた。
「先生ただいま帰りました。今日は私が夕御飯をご馳走しますね」
しかしそこには先生の姿はなくテーブルに一枚の紙切れに何か書かれている。
探さないで