第4章 見知らぬ世界 – 交差点
文字数 866文字
交差点
ついさっきまでは確かに、見慣れた渋谷駅が見えていたのだ。なのに今は、知っている建物など1つも見当たらない。瞬にとってはまさに、非現実的な空間が広がっていた。
――ここは、渋谷じゃないのか!?
懸命に辺りに目を向け、彼は少しでも見覚えのある風景を探そうとする。
西麻布の交差点手前辺りから、六本木通りを渋谷に向かって走っていたのだ。途中骨董通りから246に入り、宮益坂を下って渋谷駅のガード下を抜ける。もう前方に、目黒方面へ向かう道玄坂が見えていたのに……、
――いったい、どうなっちゃったんだよ!?
まさに、驚くべき変わりようだった。ただ視線を下に向ければ、記憶にある道筋が大凡は残っている。井の頭通りは勿論、道玄坂の隣にはメイン通りだって見えていた。なのにその周りに広がる風景は、思い出せるものとはまったくの別物なのだ。
瞬が知っていた渋谷にも、東急百貨店ほか、幾つかのビルディングが建っていた。しかし今目を向けるどの方向にも、恐ろしいくらいに馬鹿でかい建物が連なっている。ニューヨークとラスベガスがゴッチャになったような景観のそれは、過去の記憶が吹き飛んでしまうくらい明るく煌びやかに瞬には映った。そして彼の目を一番釘付けにしたものとは、見事に、瞬の経験からは思いもつかない突飛なものだ。
――あれって……映画か?
瞬はあんぐり口を開け、顔を上げたまま目だけをキョロキョロと動かした。
建物だらけの空間至るところに、大きな看板や原色使いのロゴ文字が見える。そんな宣伝自体は珍しくなかったが、何せ一つ一つの大きさが普通じゃなかった。家一軒分はありそうな看板や光り輝くネオンが、ここぞとばかりにひしめき合っている。そしてその中の幾つかは、まるで映画のように人やものが動き回っているのだ。
更にそこからデカい音だって聞こえてきて、それはまさに衝撃的な光景だった。
きっと、かなり先の未来になら、こんな空間だって現れるのかもしれない。そんなふうに思ってすぐ、瞬はおかしなことに気が付いた。
ついさっきまでは確かに、見慣れた渋谷駅が見えていたのだ。なのに今は、知っている建物など1つも見当たらない。瞬にとってはまさに、非現実的な空間が広がっていた。
――ここは、渋谷じゃないのか!?
懸命に辺りに目を向け、彼は少しでも見覚えのある風景を探そうとする。
西麻布の交差点手前辺りから、六本木通りを渋谷に向かって走っていたのだ。途中骨董通りから246に入り、宮益坂を下って渋谷駅のガード下を抜ける。もう前方に、目黒方面へ向かう道玄坂が見えていたのに……、
――いったい、どうなっちゃったんだよ!?
まさに、驚くべき変わりようだった。ただ視線を下に向ければ、記憶にある道筋が大凡は残っている。井の頭通りは勿論、道玄坂の隣にはメイン通りだって見えていた。なのにその周りに広がる風景は、思い出せるものとはまったくの別物なのだ。
瞬が知っていた渋谷にも、東急百貨店ほか、幾つかのビルディングが建っていた。しかし今目を向けるどの方向にも、恐ろしいくらいに馬鹿でかい建物が連なっている。ニューヨークとラスベガスがゴッチャになったような景観のそれは、過去の記憶が吹き飛んでしまうくらい明るく煌びやかに瞬には映った。そして彼の目を一番釘付けにしたものとは、見事に、瞬の経験からは思いもつかない突飛なものだ。
――あれって……映画か?
瞬はあんぐり口を開け、顔を上げたまま目だけをキョロキョロと動かした。
建物だらけの空間至るところに、大きな看板や原色使いのロゴ文字が見える。そんな宣伝自体は珍しくなかったが、何せ一つ一つの大きさが普通じゃなかった。家一軒分はありそうな看板や光り輝くネオンが、ここぞとばかりにひしめき合っている。そしてその中の幾つかは、まるで映画のように人やものが動き回っているのだ。
更にそこからデカい音だって聞こえてきて、それはまさに衝撃的な光景だった。
きっと、かなり先の未来になら、こんな空間だって現れるのかもしれない。そんなふうに思ってすぐ、瞬はおかしなことに気が付いた。