第20話 2月7日 諧謔

文字数 1,244文字

朝。

「…あぁ~、さみ…」

軽い宿酔の中、夢の国からの帰還。

ってお前酒残ってんのかよぉお!?
平日だぞお前!
何飲み過ぎてんだよ!

まあまあ、許容範囲許容範囲。

しかし、厭な夢を見た。

先述した7年連れ添った女性とその子供たちが出てきたのだ。

彼女は私と離別してすぐに再婚。
生活も問題ないとのことだった。

ご丁寧なことに、
その夢の中に再婚相手であろう男も出演。
(顔も何も、年齢も誰かも知らないのでここは俺の妄想だろう)
とまあ、ここまでは良い。興味が無い。

問題は子供たちだ。

私が離れた時、長男は中学3年生、長女は中学2年生だったのだが、
現れた姿かたちは初めて逢った小学生のそれであった。

やはり思い出とは残酷なものだ。

込み上げる再会の歓喜と共に、

「大事なかったか?大事なかったか?」

と、物凄い勢いでもって、私は二人へ声をかけていた。

しかしその刹那、
ドロリとした、まるで汚泥が胸に広がってゆくような、
そんな暗澹たる思いに私は沈んでいったのだ。
…時は戻らない。

そして目が覚めた。

人間の脳は思いのほかいい加減に出来ているらしく、
それが現実で起こったことなのか、
脳内の妄想なのか、どうにも上手く判断が出来ないらしい。

故に、夜見る夢というものは、
実に諧謔的な映像作品ということになる。


うぉおおおおおおおおおおおおおおおい!!!!
…ったく朝っぱらから辛気くせぇーんだよおっさん!
お前が選んだことなんだから背負ってけぇ莫迦!
そもそも野良猫の雄は親にはならねぇから安心しろ!

…ああ、そっか。だね♪

ふぅ、
時計も置かず、アラームもセットしない私は、
きっちり7時から8時の間には目が覚める。
(朝まで飲んだ時はゴメンね! てへっ♪)

時間の確認は、給湯器におまけのように付いている時計だ。
それに目をやればまだ7時過ぎ。

「あぁあ、…だりぃ。」

よく「朝のルーティーン」とか抜かして
私生活を曝け出している自己顕示欲にまみれた
立派な方々を見受けるが、
きっと私のそれを見たら、全米は涙するだろう。

ダルそうに空いた酒やら食い散らかした肴をダラダラと片付け、
洗い物をしながら換気扇の下で一服する中年野良猫38歳独身。

ああ、素敵ぃいいいいいいいいいいいい!!!!
って、自分自身何とも思っていないのだが。

…ゴメン嘘!やっぱ侘しいし虚しいよぉおおおおお!!!

で、片付けに洗い物、洗濯して、弁当作って、
髭剃って筋トレして、
全部終わっても出勤時間までまだある!

いやぁ~心地が良い!!!

見ていた悪夢のことなんてどこへやら!

さぁてと、今日も一日がんばるぞい!
…でもほんっと金ねぇなぁ。

応援、ご心配ありがとうございます!
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命だけはあるので大丈夫です!

さあ、みなさん、金曜日ですよ!
無理せずに今日も一日頑張ってくださいね!!!
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