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文字数 552文字

「とにかく、あたためてあげなくちゃ」
 もぐらは、その、たおれているだれかさんをだきかかえて、じぶんの家につれていこうとしました。地面の下にある、穴の家です。
 よいしょ、よいしょ。
 でも、だめです。入り口がせますぎて、つかえてしまうのです。
「こまったなあ。なんて長い尾羽なんだ」

 もぐらはがんばりました。土をほって、穴の入り口をひろげました。冬の土は、冷たくてかちかちで、もぐらの前足は、すっかりしびれてしまいました。
 やっと入り口がひろくなると、もぐらは、じんじんいたむ前足に、そのだれかさんをかかえて、家の中へはこびこみました。そして、ふかふかの落ち葉のベッドにねかせて、お湯をわかしはじめました。
 でも、お湯って、はやくわかないかな、と、おもうときほど、なかなかわかないものですよね。

「ああ、もう、じれったいなあ」
 待ちきれなくて、もぐらが、そのだれかさんを、胸にかかえてあたためはじめたときです。
「もぐらくーん、いるかい?」
 おもてで、はりねずみの、のんびりした声がしました。

「ごめんよ、はりねずみくん。ぼく、いま、ちょっと手がはなせないんだ」

 長い羽のたばをかきわけて、顔を出したはりねずみは、ちっちゃな目をぱちくり。
 だって、もぐらがあたためているのは――

 そう、くじゃくの王さまなんですから!
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