第79話 悩みを無くす魔法の言葉

文字数 1,657文字

パソコン教室は続いている。
いろいろな人が来て、楽しい毎日を過ごしている。
知っている事を知らない人に教えるのだから、こんなたいした努力は要らない。
1日が過ぎるのが早い。月から土までは瞬く間に過ぎてしまう。
1週間が経つのが早い。だから日曜日がやってくるのが早い。

日曜日の暇つぶしは自分で考えなければならない。
今朝は朝5時に起きた。静かな朝だ。べランダに出ると雀の声が聞こえる。
今日は予定がない。何も思いつく事がない。平凡な幸せを感じる。

肥満が気になるが体の調子は悪くない。これといった悩みはない。
本当に今日は何もすることがない。
この頃は悩む事がない。何か刺激が欲しい。
私は何か目標がないと堕落してしまう人間のような気がする。
平凡なぼんやりとした日曜日が合わない人間だと思う。

今日は妻と一緒に買物でもいこうかなとも思う。
教室に行って明日の準備をしたほうがいいかとも思う。
やっぱり教室に行こう。

朝6時、あたりが薄明るくなってきた。
いびきをかいて寝ている妻に「教室に行きます」と書置きを残して教室に向かう。
妻は私が出かけるときには寝ている。夜10頃帰っても寝ている。
私にはこの動物は1日中寝ているように思えてしまう。
それは慣れたからもういいとしょう。
縁あって一緒になったのだから、このままそっとしておこう。

近くのコンビニで缶ビールとつまみを買って教室へ行く。
教室に着いてガラス戸を開ける。私の好きな教室の匂いがする。
ふっとこの時間が一番力が抜ける。誰の束縛のない自由な空間だ。
パソコンで趣味人倶楽部の日記や投稿した作品をぼんやりと見る。
それから日記の続きを始める。思い出の日記を書いている時は時間が過ぎるのが早い。

ネットで麻雀をする。映画を見たり、ニュースを見たり、お笑いを見たりして過ごす。
その繰り返しがしばらく続く。また麻雀をしたりして時間をつぶす。
気が向けば思い出の日記を書いたり、気になっていることを調べたりする。
これで半日潰れる。

そろそろ新しい小説でも書いてみるかなと考えている。
まだ学生時代や、会社時代の事は手つかずになっている。
あの頃はひどかったな、自殺した人や殺された人、行方不明になった人が身近にいた。
なかなか思い出したくない過去もある。書けない事実もある。
やはり楽しいものがいい。最後には「ああ面白かった」になるものがいい。
時々、投稿サイトの他人の作品や日記を読んで刺激を受ける。
よし今日から始めてみようと決心するが、いいや明日からにするかと思ってしまう。

書き始めたら止まらなくなる。思い出し始めると次から次に頭に浮かんでくる。
毎日書き続ける事は確かに大変だ。ただ、書いた後の充実感が自分を満たしてくれる。
コメントがあるとお金を貰った以上に嬉しい。私は異常なナルシストかもしれない。

日曜日は気持ちが解放される。時々窓の外の往来を見る。色々な車が通る。
犬に引かれながら散歩しているおじいちゃん。自転車で買い物帰りのおばさん。
それぞれがみんな主人公で人生を送っている。それぞれの一生の一部を垣間見る。
ぼんやりしているうちに教室で居眠りをしてしまった。

気がついたら夜の10時近くになっていた。
深夜の桶川の町を歩いて自宅まで帰ってきた。
家に着くと、テーブルの上に「先に寝ます」と妻のメモが置いてあった。
妻は特に心配していなかったようだ。よかったぁ、怒られなかった。

平凡な日々が続いている。毎日が面白いから時間が過ぎるのが早い。
熱しやすく覚めやすい性格が災いして、この頃は怠惰な生活が続いている。
こんな生活でいいのかと思う。幸せは実感していないが、究極の幸せだと思う。
悩みといえば、ままにならないな妻くらいだと思う。「まあいっか」

今日は何も書くことがなくて、やっとここまで書いた日記だ。
内容はないがとにかく書いておく。
「継続は力なり」「数打てば当たる」「参加することに意義がある」
凡人なりの言い訳がストレスを無くしてくれる。
「まあいっか」
あまり悩まない。くよくよ考えない。

人生あともう少し。まあこんなもんでいっか。


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