第5話 キウイは飛べない鳥なのです
文字数 1,466文字
オチョロハンガのユースに向けてヒッチで出ることにした。昨日、二度とヒッチはしないよ、と心に誓ったばかりではあるのだが、嫌でも車の方から止まってくれてしまうのだから仕方がない。
よおし! こうなったらとことんヒッチハイクをしてしまおうではないですか!
と新たに心に誓うことにしたのである。
ところが、今日はなかなか止まってくれない。車の数も少ないのだが、ぼくはもうそうとうな距離を歩いてしまっていて、引き返すわけにも行かなくなっていた。でもまぁなんとかなるさ、と歩いていたら、ずっと前に追い越していった車が戻ってきて乗せてくれた。本当にみんな人が良いのだ。
オチョロハンガに着いてインフォメーションセンターに行ったら、ユースには五時以降に行けと言われたので、近くにある「キウイハウス」に行ってみることにした。キウイハウスというのはいわゆるバードパークで、そこには珍鳥キウイバードが飼育されているのだ。
キウイバードというのは、日本でもすでにおなじみであるとは思うのだが、夜行性のずんぐりむっくりした飛べない鳥で、あの、かつて世界最大の飛べない鳥と呼ばれていた「モア」の系統を継ぐ、いや、実は何年も前にDNA鑑定でキウイとモアは何の関係もないということがはっきりしてしまったのだが、ま、とにかくニュージーランドの国鳥、由緒正しき飛べない鳥だ。
ぼくはつい最近まで、キウイというこの鳥の名前の由来は「キウーイ」と鳴くからだと思っていた。実際「ギューイギューイ」と鳴くので、聞きようによっては「キウーイ」と聞こえないこともないからだ。ニュージーランドには「ケァー」と鳴くから「ケア」という名前の付いたオウムの一種もいることだし、間違いはないと思っていた。が、キウイというのはニュージーランドの先住民族であるマオリ族の言葉で、「飛べない鳥」という意味なのだという人もいて、どちらが正しいのかぼくにはよく分からない。どっちも正しいのかな?
キウイフルーツというのも、見た目がこの鳥に似ていることからそう呼ばれるようになったのであり、元々は中国原産のアケビ系のフルーツなのだが、よほど気候がマッチしたらしく、現在ではニュージーランドが世界一の産出国だ。この当時、一キロのキウイフルーツが、スーパーでたったの十五セント(十二円弱)で売っていたりした。
また、ニュージーランド人自身も自らをキウイという愛称で呼び(白人に限る)、キウイバードはその生息地、生息数ともに年々減少してきているとはいえ、やはりこの国でもっとも親しまれている鳥と呼ぶことが出来よう。
キウイは夜行性のため、キウイハウスの中は真っ暗だった。照明で昼と夜とを逆にしているのである。でも結局見あたらないので、しばらくじーっと木や草を眺めていたら、飼育係のおばさんがキウイを抱きかかえて目の前まで持ってきてくれた。キウイはヒゲダンスを踊っているような、なかなかユーモラスな歩き方をする面白い鳥だった。
おばさんが、
「今日はどこに泊まるの?」
と聞くので、
「ユースホステル」
と言うと、車でユースの前まで送ってくれた。
ユースに着くとワーデン(管理人)のおばあさんが出てきたのだが、それはさっきの街のインフォメーションで、ぼくにユースは五時以降にいけ、と言ったそのおばあさん本人だった。おばあさんは挨拶もなしにいきなり
「英語は話せるか?」
と言った。理解に三秒ほどかかってしまったので、ぼくが答える前に、
「NO!」
と結論を出されてしまった。確かにその通りだが、せっかちなばばあだ。
よおし! こうなったらとことんヒッチハイクをしてしまおうではないですか!
と新たに心に誓うことにしたのである。
ところが、今日はなかなか止まってくれない。車の数も少ないのだが、ぼくはもうそうとうな距離を歩いてしまっていて、引き返すわけにも行かなくなっていた。でもまぁなんとかなるさ、と歩いていたら、ずっと前に追い越していった車が戻ってきて乗せてくれた。本当にみんな人が良いのだ。
オチョロハンガに着いてインフォメーションセンターに行ったら、ユースには五時以降に行けと言われたので、近くにある「キウイハウス」に行ってみることにした。キウイハウスというのはいわゆるバードパークで、そこには珍鳥キウイバードが飼育されているのだ。
キウイバードというのは、日本でもすでにおなじみであるとは思うのだが、夜行性のずんぐりむっくりした飛べない鳥で、あの、かつて世界最大の飛べない鳥と呼ばれていた「モア」の系統を継ぐ、いや、実は何年も前にDNA鑑定でキウイとモアは何の関係もないということがはっきりしてしまったのだが、ま、とにかくニュージーランドの国鳥、由緒正しき飛べない鳥だ。
ぼくはつい最近まで、キウイというこの鳥の名前の由来は「キウーイ」と鳴くからだと思っていた。実際「ギューイギューイ」と鳴くので、聞きようによっては「キウーイ」と聞こえないこともないからだ。ニュージーランドには「ケァー」と鳴くから「ケア」という名前の付いたオウムの一種もいることだし、間違いはないと思っていた。が、キウイというのはニュージーランドの先住民族であるマオリ族の言葉で、「飛べない鳥」という意味なのだという人もいて、どちらが正しいのかぼくにはよく分からない。どっちも正しいのかな?
キウイフルーツというのも、見た目がこの鳥に似ていることからそう呼ばれるようになったのであり、元々は中国原産のアケビ系のフルーツなのだが、よほど気候がマッチしたらしく、現在ではニュージーランドが世界一の産出国だ。この当時、一キロのキウイフルーツが、スーパーでたったの十五セント(十二円弱)で売っていたりした。
また、ニュージーランド人自身も自らをキウイという愛称で呼び(白人に限る)、キウイバードはその生息地、生息数ともに年々減少してきているとはいえ、やはりこの国でもっとも親しまれている鳥と呼ぶことが出来よう。
キウイは夜行性のため、キウイハウスの中は真っ暗だった。照明で昼と夜とを逆にしているのである。でも結局見あたらないので、しばらくじーっと木や草を眺めていたら、飼育係のおばさんがキウイを抱きかかえて目の前まで持ってきてくれた。キウイはヒゲダンスを踊っているような、なかなかユーモラスな歩き方をする面白い鳥だった。
おばさんが、
「今日はどこに泊まるの?」
と聞くので、
「ユースホステル」
と言うと、車でユースの前まで送ってくれた。
ユースに着くとワーデン(管理人)のおばあさんが出てきたのだが、それはさっきの街のインフォメーションで、ぼくにユースは五時以降にいけ、と言ったそのおばあさん本人だった。おばあさんは挨拶もなしにいきなり
「英語は話せるか?」
と言った。理解に三秒ほどかかってしまったので、ぼくが答える前に、
「NO!」
と結論を出されてしまった。確かにその通りだが、せっかちなばばあだ。