文字数 872文字

 白い。
 一切のくすみもなく、まさに純白そのものと形容できる色合いをしている。
 それが自分の眼前に広がっており、どこを見渡しても白一色の様相を呈していた。

 いったい、ここはどこだろう?

 そんな疑問を抱く。
 暑いのか寒いのか、何かに触れているのか否か、それすらもよく分からず、耳を澄ましてみても物音一つ聞こえてくることはない。試しに声を出してみようとするも、それが音にはなることはなかった。
 自分の体がおかしいのか、それともこの空間自体がそういうものなのか。
 どちらにしても今分かることは、視界の先がただただ真っ白だということぐらいだろうか。
 いや、もう一つある。
 自分は、この場所を、この世界を、この空間を知っている。
 いつどこで見たかまでは思い出せないが、自分はこの光景を確実に何度も目にしている。それだけは確かなことだった。

 自分はどうしてこんなところにいるのだろう?

 そんな新たな疑問を抱いた瞬間だった。
 突然、雷に打たれたかのようなとてつもなく強い電撃が全身を走る。そして同時に、堪えがたいほどの激しい痛みにも見舞われる。しかし苦痛の叫びは音にならず、かといって失神して楽になることすらも許されない。挙句、それらは一度たりとも収まることはなく、地獄の責苦に匹敵するほどの状態が永続的に身体を襲うのだった。
 なぜ自分がこんな目に。俺が一体何をしたというのか。とにもかくにも早く終わってくれ。
気が触れそうで触れてくれない意識の中、幾度となくそう憤る。だが、その答えが返ってくることは当然なく、ただただ身体をいたぶられ続ける。
 ある時、ふと気づく。全身の皮膚が重度の損傷を受けていることを。焼け爛れているのか、真っ黒こげになっているのか。今のこの状態では確認できないため、実際にどうなっているかまでは分からないが、最悪の状態であることは電撃の痛みと共に伝わってきていた。

 これじゃあまるで俺が、聖なる光に肌を焼かれる悪魔みたいじゃないか。

 その瞬間、なぜかそこで意識がプツリと切れたのだった。
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