14.お手伝いさんの態度

文字数 1,109文字

 食事を済ましたあと、一行は寮に戻ってきていた。
部屋に入るとベットはメイキングされており、部屋の小物は整頓されている。
中にはお手伝いさんのリヴィアが居た。

 怜央達が帰ってくると、軽い会釈をしてそそくさと出ていくリヴィア。
その様はまるで、誰かを避けているようだった。

「……なあ、俺ってリヴィアさんに嫌われてるのかな」

 怜央は初対面の時の反応を鑑みて、客観的な意見を周囲に求めた。

「え? そんなことねぇと思うけど……なんで?」
「そりゃあからさまに怜央だけ避けられてるからじゃないのかしら? だって私達と接する時と、怜央がいる時じゃ態度違うもの」

 テミスの一言は怜央に突き刺さる。

「うっ……やっぱりそうだったのか……。でも俺避けられるようなことした覚えないぞ……」
「自分の仕出かしたことも覚えてないようじゃ嫌われるのも当然ね」
「そんな気になるなら直接聞いてみりゃいいじゃねえか。――なんだったら俺が聞いてやろうか?」
「いややめてくれ! それはなんか恥ずかしい(はずい)!」
「そんなどうでもいいことで悩めるのってアンタぐらいよ。――そういえば話は変わるけど、明日って何時だっけ?」
「――うん? 明日って何かあるのか?」
「おいおい、怜央。貰った学園のすゝめ(冊子)読んでないのかよ」
「明日は9時20分からオリエンテーションよ。授業の説明会ってやつね」

 怜央は布団に倒れ込んだ。

「ああ~。そういやそうだったな……。異世界(こっち)来てから学校らしからぬことばっかしてたからうっかり忘れてたよ」
「はぁー……。学校なんて行きたくねえなぁ。ずっと依頼やってる方がよっぽど楽しいぜ」
「コバートみたいなおバカさんは学問の大切さを知らないものね。そういう人程学校は要らないとか、何で勉強しなきゃいけないの、だとか言い出すものよ。ありがたみがわかってないんだから無理もないけど」
「まあ……勉強しなきゃ勉強の必要性には……気づけない……からな」

 今日は疲れたのか、怜央は寝転んだだけでもう、眠気に襲われていた。

「ふーん。そんなもんかね――って怜央もう寝てるし」
「怜央はこっちに慣れてないから無理もないわよ。私も今日は疲れたからさっさと休ませてもらうわ」
「慣れてないのは私もよ! 皆寝るなら私も寝るわ。……()()()()ね」
「おいおい、こっからが楽しいところだろうによ! まったく、しゃーねーなぁ」

その日は心地よい疲労感と達成感に包まれて、皆の寝付きは良かったようだ。

そう、()()()()()は。
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