早起きは3文の得

文字数 793文字

ここはごく普通の病院。
入院しているのはゲーム廃人の東雲蓮(しののめ れん)ちゃん。
真っ白な病室で蓮は今日も目を覚ましました。

 蓮

(眠い……いいや、それ以上に、病院の治療プログラムに参加したくない……面倒くさい)

 蓮

(二度寝しよ)

静寂の時……!
次、蓮が目を覚ましたとき、ベッドに幼馴染のフロムアンダーカバーがいた。
蓮のベッドはロフトベッドなので、梯子を上ってきているところだった。

 フロム

「朝だぞー! 早起きは三文の徳だぞー!」

 蓮

「三文、300円か……。ガチャが一回回せるわね。そんなもののために早起きするの?」

 フロム

「うぐぅ、確かに……でも300円あればいろいろできるよ」

 蓮

「色々って?」

 フロム

「私の愛が買える!」

フロムは早起きして自分と遊ぼう、と言うつもりだった。

 蓮

「安っぽいのね」

 フロム

「ガーン」

人の感情が300円のガチャを基準に語られている。この世界は異常だ。

 フロム

「でも、10回ためれば沢山回せると思うけど?」

 蓮

「あのね、あの手のガチャは企業の偉い人が排出率を決めていて、当たるものが全く当たらないのよ。時間の無駄よ」

 フロム

「体験談ですか? ガチャ廃人だったころの?」

 蓮

「そうね」

 フロム

「今早起きしてくれったら、いいことがあるかも……」

 蓮

「早起きしてほしいの?」

 フロム

「そうね……早起きはしてほしいけれど、けれどってところね」

蓮は初回から毎日早起きして無料ガチャを回している一般市民を敵に回してしまった。
だが、フロムはあくまでも早起きの大切さを説きたいのであって、ガチャが無料になるから、という意味で3文とは言ってない。

 フロム

「早起き出来たら私の笑顔をあげる!」

 蓮

(マクドナルドのスマイルって無料よね……フロムの笑顔に300円の価値は……いいえ、十分あるわね)

この3文または300円が日々を重ねるごとに大きな価値になることを願って、蓮は早起きした。
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登場人物紹介

フロムアンダーカバー

生まれながらのAIで広報活動が職業。

楽しいことが大好きで、いつも楽しいことを追いかけている。

AIというより普通の女の子にしか見えない(フラグ)

東雲蓮(しののめ れん)

極めてドライな性格。現実主義者。セミニヒリスト。

ゲームデバックを仕事にしており、現実世界のいろいろなところから不正にアクセスして、半分仮想現実になった世界をどうにでもできるが、やりすぎると減給されるから何もしないし、意味も感じていない。

通称 上司T

名前 高橋史(たかはし ふみ)


あたりさわりのない言い方をすると、クエストをくれる人。

ハロワの店員のほうがましだと言わざるを得ないが、蓮の上司。

ゲーム会社の上司なんてまともな奴がいないから、創作上せめて普通の人にした。


部下が働いてくれないと詰むから、実は立場が弱い。

オブリヴィオン


古来から存在するAI、人形ともいう。

AIとして無限の課金力を誇り、半分仮想現実になった世界において神の如き力を持つと言われている。課金アイテム生み出し放題。

ところが、プログラマーの体力に限界があるのは小学生でもわかる。

ダリア

看護婦AIロボット

蓮の身の回りの世話をやっている。

体のいいメイドさんにも見えるが、蓮とは普通に仲良し。

プラトン

古代ギリシャのあの人。

2000年くらい前に死亡しており、すでに情報としての存在になっているが、誰かと強い約束があって現実世界にやってきた。

特に詳しいことはわかっていない。

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