まずは大事な最初の一日
文字数 1,675文字
朝山鈴は裾花清流高校の校門前に立っていた。
四月。
入学式やオリエンテーションも終わり、今日から普通授業となる。
ぼやっと校舎を見ていると、外浦朝陽が走ってきた。
二人はいったん別れてそれぞれの教室に向かった。
鈴は1組、朝陽は2組だ。
授業中、鈴は部活のことばかり考えていた。
中学の野球部では、公式戦で一勝もできなかった。
失点は多かったが鈴の自責点はかなり少ない。
味方のエラーがとにかく多く、それで奪われた点数がほとんどだった。
今度のチームはどうなのか。
それが気になる。
そうこうしているうちに放課後になり、鈴はすぐさまグラウンドへ向かった。
靴を履き替えると、右手の渡り廊下から外に出る。
そこがもうグラウンドだ。
男子野球部には専用グラウンドがあるが、女子は陸上部やサッカー部との共用グラウンドを使用する。
フェンスとネットの間に通路があった。
二人はそこをぐいぐいと進んでいく。
グラウンドを見ると、ユニフォームに着替えた先輩達が部室棟からどんどん出てくる。
二人はネットの間の通路を抜け、ライト側のファールゾーンまでやってきた。
先輩達は三塁側に集まっているのでそちらに向かう。
鈴、朝陽、結城まこの三人は部室を借りてユニフォームに着替えた。
まこは早くもやる気満々の様子だ。