序章

文字数 234文字


 始まりは金曜日の深夜に見た夢がこの旅のスタートだったと、新東名高速道路の静岡SAで淹れたてのコーヒー販売機から流れてくる音楽を聴きながら、久川光樹は不意に思い出していた。

 月曜深夜1時の高速道路SAにはトラックが駐車場を占拠するかのようにところせましと駐車していて、低いエンジン音が静かなサウンドのように流れ溢れている。タンゴのように流れる販売機のミュージックが一種の不協和音のように混ざり、その違和感が夢の始まりの音に似ていたから思い出しへと繋がったのだろうか。

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