別荘地の戦い(3)
文字数 1,907文字
草里は、わたしの方を見ている。香鳥さん、そして蟻江さんもわたしの方を見る。三人が見ているのは、わたしの後ろにいる小象だ。
草里は出番だよ、というふうに小象をぽんぽんする。
草里がわたしの手を強引にとって、小象に引っ付ける。ちょ、何をどうしろって。
蟻江さんも香鳥さんも、草里のノリに従った。
わたしは館の大きな窓の一つを指して、
小象をポン、っと叩く。ままよ!
草里たちが三人姉妹のように順々に発した。
小象はずんっ、と前進してみせる。
がしゃーん
いった。要は普通に、窓硝子が割れた。
小象も大きくなったもの。普通に考えたら、この小象の大きさから言えばちょっとやそっとぶ厚い窓硝子なんて、一蹴りで割れそうだ。
上階の窓ががらりと開き、またあの甲高い声で呼ばわる者。
小象はずんっ、と前進してみせる。
がしゃーん
いった。要は普通に、窓硝子が割れた。
小象も大きくなったもの。普通に考えたら、この小象の大きさから言えばちょっとやそっとぶ厚い窓硝子なんて、一蹴りで割れそうだ。
上階の窓ががらりと開き、またあの甲高い声で呼ばわる者。
怒りのあまり、イントネーションが変になってる入間 薫が、叫ぶ。
わたしも、ここまで来たら負けてられない。やる以上やるとこまで、やるのみだ!
もう、恥も外聞もかなぐり捨ててやる。
真っ赤な顔した入間が、半ば窓からのけぞるようにわたしを睨みつけている。負けるものですか。負けるものですか。わたしも、憎悪の炎で自らを照らす。
入間がきいい、きいいと言ってるときわたしの傍らで、草里たちの囁く声。あ、あれ。そっか草里たちまだここにいたのか。わたしったら完全に我を忘れて……ちょっと、恥ずかしく……。瞬間。
草里たちが、ひゅん、っと舞い上がる。踏ん張る香鳥さんを踏み台に、草里、蟻江さんが飛んだ。
えっ。
空中で、蟻江さんが草里をもう一段高く飛ばす。この跳躍で、草里は容易く上階に達した。
上階では、窓を開け放った入間が、
上階では、窓を開け放った入間が、
と言い放った瞬間だった。
がっ。
入間の頭を、草里ががっしり掴んだ。入間は、窓からずり落ちそうになる。草里は一方の手で窓枠を掴んでおり、入間を引っ張って部屋のなかへドスン、と落ちた。
がっ。
入間の頭を、草里ががっしり掴んだ。入間は、窓からずり落ちそうになる。草里は一方の手で窓枠を掴んでおり、入間を引っ張って部屋のなかへドスン、と落ちた。
下からそれを見ていた香鳥さん、草里を飛ばして下りてきた蟻江さんが叫ぶ。
上階の窓から、バシュン、というピエロ斬りを振るう音がする。
き、斬ったの。草里……。
いや。窓から再び顔を出したのは、入間だ。
高く結い上げていた入間の髪がばっさり斬られてざんばらになっててひどい。
苦悶の表情の入間、後ろから入間をしっかり掴まえた、草里が顔を出した。まあ、生身の一対一になって、草里が入間に負けるはずはなかったわけだ。
上階の窓から、バシュン、というピエロ斬りを振るう音がする。
き、斬ったの。草里……。
いや。窓から再び顔を出したのは、入間だ。
高く結い上げていた入間の髪がばっさり斬られてざんばらになっててひどい。
苦悶の表情の入間、後ろから入間をしっかり掴まえた、草里が顔を出した。まあ、生身の一対一になって、草里が入間に負けるはずはなかったわけだ。
あっさり。
ま、待ちなさいよ! あなたたち、せっかく館のなかに、数々のワナ……ワ、ワクワクするようなアトラクションとか、毒の……美味しいディナーとか、たくさん用意してあげていたのに! あんまりじゃない。今からでも遅くないわ。ちゃんと一階から入って、順々に、わたしの部屋まで進んできなさい!
FA! とか言って、蟻江さんと香鳥さんは悪ノリにノッテいる。もう、根っからの草里信奉者だな。きいい、きいいと叫ぶ入間。
入間に一つ一つ、一つ残らず、えげつない数々の罠を解除させていった。
それで随分手間取ってしまった。
入間はその後晴れて、わたしたちの人質になった。
それで随分手間取ってしまった。
入間はその後晴れて、わたしたちの人質になった。