ジェヴォーダンの獣について

文字数 984文字

 実際の「ジェヴォーダンの獣」事件について。

 本編とは直接関係しませんので、予備知識の不要な方は第1話から御覧ください。



  ◇  ◇  ◇  ◇


 ジェヴォーダンの獣は、18世紀のフランス・ジェヴォーダン地方に出現した、牛ほどの大きさも有る狼に似た生物で、数年にかけてマルジェリド山地周辺で100人程の人間を襲い、殺したとされています。

 狼などの捕食動物は、通常喉などの柔らかく致命傷となる箇所を狙うのですが、この獣は頭部を好んで攻撃し、頭は砕かれるか食いちぎられていました。
 また、獣は牛を避ける事が多くあり、同じ場所にいる場合でも家畜ではなく人間を標的としています。
 さらに人間の中でも女性と子供が多く狙われており、男性の被害者は少なく、16歳以上の男性被害者に至っては1人も記録されていません。

 このことから、獣の正体は狼などの捕食動物ではなく、人間の殺人鬼、もしくは狼男のような怪物なのではないかと言う説も出ています。

 ジャック・ポルトフェと言う少年と、彼の友人ら6名が獣追い払ったとされる記録も有り、時のフランス国王ルイ15世は少年たちに褒賞金を与え、また、狼狩りの専門家にジェヴォーダンの獣を退治するように命じています。
 狼狩り専門家は巨大な灰色の狼を仕留め、ヴェルサイユで英雄として叙勲され、多額の褒賞金をもらいました。
 しかし、獣は再び現れ、2人の子供たちに瀕死の重傷を負わせ、その後も襲撃は続きます。
 死者の数は増え続けました。

 この頃には何度も大規模な狩猟団が組織されました。
 この狩猟団に参加していたのが、地元ではあまり評判の良くない猟師、ジャン・シャストルと言う男です。
 彼は山狩りを行う際に、家門の伝統として神に祈りを捧げていました。
 ある日、祈りの最中に獣が現れたのですが、シャストルが祈りを終えるまで静かに待っていたと言われています。
 祈りを終えたシャストルは静かに銃を構え、教会の祝福を受けた銀の銃弾によって獣を一撃のもとに倒しました。

 その後、獣の襲撃は止み、シャストルは銅像も建てられるほどの英雄となったそうです。

 未だにこの怪物の正体は謎とされ、野生生物説やUMA説、陰謀説など様々な憶測を呼び、オカルティストたちの興味を引き続けています。
(参考:wikipedia等)
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登場人物紹介

アンヌ・シャルトル

 フランス、ジェヴォーダン地方の小さな村に住む10歳の少女。

 母親譲りの輝くように美しい銀髪と、父親の血が色濃く残る力強い眼をしている。

 父親はインドでの戦争以降、家に寄り付かなくなり、街でゴロツキのような生活をしているが、小さな頃から聞かされた父の武勇伝を信じ、今でも父を慕っている。

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