第9話 (2)

文字数 3,642文字



 エルはどうしたらいいのかわからなかった。
 体は動いてくれず、また、この状況で声を掛けられるほど、まだ肝が据わっていない。立ち尽くす足で強張る体を支え、目の前の光景を見ていた。
 円形の闘技場、その中央でデットとレイグラントが対峙し、しばらく会話をしたあと、戦闘は突如始まった。
 魔法力の感じられないエルでもわかる周囲の大気の震えは、デットとレイグラントの剣が交錯したときに強い熱風となってエルを押し倒そうとした。その熱気がエルに触れようとする間際、近くにいたビルトランの部下である男性が瞬発的に割り込んで遮ってくれた。
 エルは熱風の余波によろけながらも目は二人を捉えようと、熱風の中心地へと顔を上げていた。
 エルはいつもと違うデットの放つ殺気に恐れていた。戦地に立ちながら微かに笑う男はこの状況を楽しんでいるように見えた。
 身近な人の殺気は、普段のその人を知るだけに、余計に心が慄く。いつ彼の持つ剣の刃がこちらに向けられるのかと、無意識的に恐れてしまう。デットがエルに刃を向けることはないと感情では分かっていても、この恐怖は殺気に触れた本能のものだ。体が勝手に萎縮する。
 二度目に強く打ち合った二人は、少し身が離れた時に互いにその場で静止した。一呼吸置くつもりか、それとも二人の持つ力が拮抗していて互いの動きを計り直そうとしているからなのか、二人の力量を見極める目を持たないエルにはわからなかった。
 闘技場内の空気は未だ張り詰めたまま、二人の魔法力に感応しているのか大気は時折震え、エルは浅い息を何度も押し出していた。
 動かぬデットとレイグラントの無言の対峙は長く続いている。
 エルはビルトランの部下の体で守られていたが、この緊迫感と二人の闘気に少しも動けると思えなかった。
 どれだけの時間が経ったのかわからないほどに二人がようやく動こうとしたそのとき。
「レイ!」
 強く発せられた少女の声がエルの背後から聞こえた。
 動き始めていた二人にもその少女の声は届く強さだった。それでも二人はすぐには動きは止めずに、また剣を打ち合わせるのかと思ったが、デットもレグラントも剣は互いに向けず、すれ違ったあとに少し離れた場所で動きを止めた。
 少し屈む姿勢のデットが大きく息を吐いた。レイグラントはすうっと剣の構えから自然な姿勢に戻り、闘技場の出入り口、少女の声がしたほうへと顔を向けた。
 二人の闘気は収まり、大気の震えは鎮まっていた。
 エルの視界の端、声がした背後から、人影が二人のいる闘技場中央へと向かっていくのが見えた。
 女性らしい綺麗な衣装を身に着けた、十代半ばほどの少女だった。普通の金の色よりは赤味がかった髪色、整えられている肩までの巻き髪を少し乱しながら、少女は必死に速く走ろうとしていたが、走る速度にはなっていない。少女の片足は不自然に着地し、健常な足運びではなかった。
「走るな」
 レイグラントが少女に声をかけた。
 少女はその声に構わずに不自由な足を動かし続け、いまや闘気のかけらも放っていないレイグラントの前に到着する間際、つまづき転んだ。
 剣を土の地に突き立てたレイグラントが素早く少女に走り寄り、身を起こそうとする少女に手を貸そうと地に片膝をついたとき。
「馬鹿者!」
 少女はレイグラントに向けて怒声を発し、自分の力だけで立ち上がると、片膝をついて身長差がなくなったレイグラントの胸に体当たりするように飛び込んだ。少女の両手は拳を形作り、レイグラントの胸を叩いたあと、必死に、しがみつくように、レイグラントの衣服の胸元を握り込んだ。少女の体は震えていた。
「なにをしている! おまえまで、死ぬつもりなのか⁉︎」
 エルはようやく自分の体が動けることに気づき、自分もデットのいるほうへと走り出した。
 緊張感がすっかりなくなった闘技場の空気と、いきなりの少女の登場に、エルはデットの前に立ち止まると困惑の視線を向けた。突然の状況の変化に頭がついていっていない。デットは自分が突き立てていた剣の鞘を拾い上げると剣を納め、いつもの瞳で笑い返し、エルの頭をポンと叩いた。
 デットが怪我を負った様子がないことにエルはようやく安堵の息をついた。やっと強張っていた体の緊張が抜けていった。
 レイグラントと少女のほうを見ると、少女はレイグラントの胸にしがみついたまま、何度か肩を上下させていた。翠色の瞳から大粒の涙をこぼして。
「おまえは、いまはこの国の国王なのだぞ! 戦さでもないのに馬鹿なことをするでない! ビルトランはなにをしている! 側近たちは誰も止めなかったのか?!」
 涙をこぼしながら国王を叱りつける少女という構図は滅多に見られるものではない。レイグラントが言っていた、姉ミーサッハ以外に言葉に遠慮がないもう一人の人物とは、この少女のことだろうかとエルは思った。
「もう、誰にも死んで欲しくないし、傷ついて欲しくない。シリューズのように……」
 怒鳴りつけていたものよりも小さな声で言う少女の言葉にエルは驚く。
 この少女も兄の知り合いなのか。その声は死を悼むものだった。
「そうだな。誰も傷つけたくはないものだが」
「わかっているなら、初めからするんじゃない!」
 少女がレイグラントを睨みつけた。
「いや、一石二鳥のいい機会だったのでな」
 その言葉の意味がわからない様子の少女の衣服の汚れを払ってやったレイグラントは、少女を両腕で抱えて立ち上がると、デットのほうに顔を向けた。
「よい腕だ。このままこの国にいて欲しいものだ」
 殺気を放っていたときとは異なる笑顔を見せたレイグラントは、いまやどこにも交戦的なところがなかった。爽快な天空の瞳だが、やはり迫力がある人だとエルは思った。
「エル次第だ」
 デットはレイグラントにそう返答した。
「いろいろと話したいが、フレンジアには座るところが必要だ」
 レイグラントは少女を抱えたまま、デットとエルについてくるように促し、歩き始めた。
 エルはデットと共にレイグラントのあとを追った。
 闘技場を出てしばらく歩くと、美しい花々が植えられた大きな庭園に辿り着いた。幾種類もの草花を鑑賞するために細かく通路が張り巡らされた、広く美しい庭園だった。中央あたりに、石柱に支えらえた屋根がついただけの休息所があり、そこに据え付けられた石の腰掛けに少女を下ろし、レイグラントはあとをついてきていた従者に茶の用意を命じた。
 エルとデットも他の腰掛けに座らされ、レイグラントの出方を待った。
 やや曇り気味ではあったが、空からの光がときおり花々を色鮮やかに照らし出し、緩やかな風が花々や庭園にいる者たちの髪を揺らした。
 いつしか、レイグラントがエルに視線を合わせてきた。親しみやすいものではなかったが、初めて会ったときよりも身近に感じた。
 青の瞳の意思の力は強い。心に、強く、直接届いてくる。
「俺が、レイグラントだ」
 一人の人間として、あらためてエルに名乗ったその声は揺るぎない。
 兄と同じだった。
 迷いを見せぬ心には、汚れのない意思のみがある。
「シリューズは、己の信念を通した。それが選び抜いたものではなく、避けられぬ未来であったとしても」
 レイグラントはエルに視線を合わせたまま続けた。
「傭兵という人種が、なにを頼りに生きているか、知っているか?」
 エルは少し考え、いいえと返答した。
「己の意志だ。他の何事も、それを脅かすことはできない。たとえ、神の意志でもな」
 いまのエルには、神などいないと、言い切ることはできなくなった。
 どうして黒き者に、自分は守られているのかーーー
「神など、俺たち傭兵には、関わりのない存在だ。神が真実存在するのだとしても。俺とシリューズの意志は、同じところを向いていた。運命に惑わされぬ世界が欲しいと。五精王の守護を受けた俺とシリューズの、ささやかな意志だ」
 兄の、意志。
 兄とさまざまな言葉を交わしてきたが、兄の意志を聞いたことがあっただろうか。
 兄は自分のことを気にかけてくれていたのに、自分が兄のことを知ろうとしていなかったことにエルは愕然としたが、かろうじて態度には出さなかった。
「この国は、俺と、シリューズの意志によってつくられた。世に多くの国家が存在するが、俺たちが必要としている理想を実現させるには、既存するものでは用をなさぬ。実際に新たな国をつくるのは容易なことではないが、あのとき、それが可能となる状況であり、そうすべき理由があった」
 レイグラントが少女のほうを向いた。
「こちらのフレンジアは、このフォルッツェリオの前身、アスリロザの王女だ」
 泣き顔からすでに落ち着いていた少女は、表情のうかがえぬ目でエルを見ていた。
 エルは目を見張っていた。近代史で最も有名なフォルッツェリオ建国にまつわる史実には、アスリロザ国王直系の者はことごとく処刑されたと伝わっているからだ。
 亡国の王女。
 王家直系ただ一人の生き残り。
 ーーー悲劇の匂いがした。

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登場人物紹介

エル


(ネタバレ注意、第2話あたり。)


砂漠地の憩いの町ナカタカに暮らす少年。主人公の一人。

身重の姉(兄の嫁さん)と暮らしていたが、兄の敵討ちと兄の子の成長を見守ることの選択に思い悩む。

幼き頃より働いていたため礼儀作法が身についていて、誰に対しても丁寧に接するが、無礼な者に対しては冷ややかに対応できる。外見は縦に伸びていて大人びて見えるが、まだ十一歳。陰を負った美少年。構いたい周囲の大人たちだが、少年の心情を気遣い、そっと見守っている。自分が人目を引いているとは思ってもいない天然素直で馬鹿正直な子。

明るい金に近い薄茶の髪、薄く透き通った翠の瞳。

(アイコン画像はイメージ通りではないけど、これが近いかな。もうちょい美少年にしたい。)

デット


(ネタバレ注意)


エルを助けた青年。自称魔法士としているが、剣の腕も持っている。主人公の一人。

砂漠地の憩いの町ナカタカで観光がてら休暇をとっていたときにエルと出逢う。いろいろな表情を見せるし誰とでも親しくなれるが、人の心情を読むことにも長けているため無難な人付き合いにあえてしている。


(デットからの目線で書いていることが多いので、外見はまだ話の中で表記していないが)

無造作に伸びた赤銅色の髪に、薄い琥珀の瞳。体格のよい他の戦士たちよりもさらに長身で、ほどほどの筋力を持ち、しなやかな動きをする。そんな外見でも人に溶け込んで目立たぬようにすることもできる。外見は二十代後半ほど。(どのあたりの話で彼の外見について組み込もうか…)


(アイコン画像は、本当にイメージに合うものがなくて、強いてあげるならって程度です。髪色と瞳色は脳内補正してください。服装は地味です。本人は目立ちたくないので)

ミーサッハ


(ネタバレ注意。第2話から)


エルの兄シリューズの妻。傭兵にして風精を持つ弓使いのカドル。シリューズの子を身篭っており、いまは身を潜めて出産を待っている。年齢不詳な雰囲気の美女。実年齢は三十を超えている。

濃茶の長髪、深い蒼の瞳。女の身で傭兵であるのは並大抵のことではなく、厳しい修行と壮絶な過去を経てのものであり、まだ経験不足のエルでさえそれを察することができている。


(このアイコン画像はだいぶイメージに近い。色味はいつも通り脳内補正を)

“穴熊”の主人


(ネタバレ注意)


砂漠地の憩いの町ナカタカにある食事処の主人。もういい年齢であるが、かつて戦士であった体躯はいまだ維持し続けている。全盛期よりは筋量は落ちたが、そこらの並の戦士は片手でちょいくらいはできる。

いまは白髪だが、若い頃は黒髪に茶の瞳。昔から寡黙で当時は高嶺の花的に女たちから密かに思われていたが自身はモテていたとは気付いていないくらいに朴念仁、それが歳を経ても変わらないのでいまも若い女性からも熱視線を浴びているが、自身にはいまも無頓着なイケオジ。奥さんには先立たれている。

奥さんと一緒にこのナカタカで食事処を開店、初めは戦士の斡旋所なんかしていなかったが、彼を慕う戦士が増え、彼らに短期の寝床や居場所を提供していたら自然と人脈が増え続け、現在にいたる。町の元締め(たち)の知り合い、というよりは彼も町の秩序の一端にある。


(アイコン画像は、まあまあイメージに近いんでは。この話では名前は出ませんが、この人が主人公のスピンオフあり。奥さんとの馴れ初め話。この作者で珍しい恋愛モノ。どこかで書こうと思ってます。いまの主人公たちより設定が多い…)

イグニシアス


(ネタバレ注意。第4話から)


ナカタカ“穴熊”店主の実の孫。肩まで伸びた真っ直ぐな黒髪、薄く透き通った金の瞳。

20歳前の女性に見える、中身も名も雄々しいべらんめえ口調の美男子。22歳。

ナカタカで一番といわれるほどの実力の術者。術者=五精霊すべての守護を受けているということ。

生まれながら全盲。代わりに精霊の力を借りているので健常者と変わらないくらいに行動できている。

これから先ずっとエルやデットのそばにいてくれる頼もしい味方。準主役。


(ちょっといいアイコンがないので、女の子アイコンから無理やり持ってきてみた。まあ、いいでしょう。シリーズ内登場人物上の最高の美少女、の顔を持っている人。そしてあの中身。だからこそ魅力的な人物。当初より出番が増えた一人。)

シリューズ


(ネタバレ注意)


傭兵として活躍していた戦士。故人。孤児だったエルを引き取り育ててくれた人。

物語中、一番中身が男前で、一番いろんな人に慕われ、一番その死を惜しまれ、この話では登場しないのに一番存在感がある。それほどの人物だった。エルの大切な誇れる兄。

愛しき妻より歳下。ミーサッハは姉さん女房。正式に夫婦となるまで、シリューズは一途にミーサッハを想い続けた。


(容姿はこの話では出てこないのでシルエットのみ。たぶんアイコンに合うものはない、どうしよう。この人を主人公として一本の話が書けるくらい波乱万丈な人生を送った。)





ネタバレ追記


終盤10話にようやく容姿判明。

銀の短髪、青の瞳。レイグラントよりは少し低いが長身の部類。しなやかな筋力を持つ俊敏な傭兵だった。本当に体格だけならデットと似ている。男前っていうよりイケメーンなイイ男。もちろんモテモテだったけど少年時代から一途な人だったんで、たくさんの人を誠実な態度で袖にしてきた。

“地雷”のビルトラン


(ネタバレ注意)


現フォルッツェリオ国家兵団長。レイグラントの側近の一人。貴族私兵・国王近衛部隊含む、フォルッツェリオ国軍務トップ。大半を戦場で過ごしてきた百戦錬磨の元傭兵。傭兵の鑑とうたわれる傭兵組合重鎮。各国が最も欲した戦士の一人。

刈り込まれた黒髪、沈みゆく陽に灼かれた大地の色の瞳。四十代、独身。頰に古傷あり。若い頃には相棒がいたが、戦場で失う。以降真に息の合う者とは出会えず、一人で多数の傷を負いながら戦い抜いてきた。

実直、堅実、誠意の人。部下や仲間に大変慕われている。女性には強くは出られないが、仲間は別で戦士の一人として厳しくできる。

ナカタカ“穴熊”主人とは昔馴染み。師と慕っている。

シリューズを失ったミーサッハを自ら探し迎えにくる。エルの存在は知らなかった。



(アイコンは、イメージに近いものがなく、強いて使うならってとこ。もっとガチムチな速さも持つ大柄な戦士。色味は脳内補完を。弱点はニースの顔。好みドンピシャ。お堅い戦士も、イグニシアスの悪戯の前では哀れただの男。)

レイグラント


(ネタバレ注意)


エルが兄の敵だと思っている人物。新興国フォルッツェリオ国の英雄王。数年前までは“傭兵”にしてカドル “迅風”のレイグラントとして名を馳せていた。歴代“傭兵”の中でも最高クラスの戦士の一人。

肩に届くほどの自然な量感の濃金髪。澄み切った空のような青の瞳。長身で鍛え上げられた体躯の屈強な戦士で、誰が見ても整った容貌の精悍な男前。まだ二十代。

己の信念に反する者には冷酷だが、根本は天然なところもある。公言はしていないが、現代の“風精王” (風の神)の守護を受けているといわれている。


(アイコンは全く合うものがないのでシルエットのみ。シルエットさえも合うものがない… 世界中のイケメン俳優さんのいいとこ取りな超絶イケメンと思ってくだされば!)

フレンジア


(ネタバレ注意。第10話から)


フォルッツェリオ国王レイグラントが拠点にしている政務府最上階に住う少女。彼女がそこに住んでいると知っているのは政務府に出入りする者の中でも国家の重要人物のみ。普段その姿を表に現すことは少ないが、職務とあらばところ構わず外へと飛び出していく。

こののちの次章の主役の一人。旧アスリロザ最後の王女。

(彼女の設定はてんこ盛りに長い。これでも割愛したほう。)

侍女として王城内に勤めていた母が国王に手をつけられて生まれた庶子。母は彼女を出産前に国王の愛妾の一人として末席に迎えられたが、彼女を産んでしばらくして死去した。当時のアスリロザ王城内は絶対王政による王家史上主義の妄執に蝕まれ陰謀渦巻く巣窟となっており、王妃もしくは筆頭愛妾の思惑で隠されたと噂されている。彼女自身も生まれてからずっとそういった害意の中で過ごしており、身分は王女の一人とされているが、母の身分の低さが理由で王族のみならず貴族たちからも王女とは認められておらず、アスリロザ国内には彼女の居場所はなかった。幼少のころに異母兄の一人に片足の踵を剣で斬られており、いまもその影響で正常に走ることはできない。当時に丁寧な治療を施されていれば完治もしたはずだが、魔法士を呼ばれることなく外科的処置もないままほとんど放置状態で外傷の治療だけ侍女の手でされたのみだった。のちにシリューズとレイグラント二人にその境遇から救い出される。

赤みがかった金色の髪に碧色の瞳。容姿はとくに優れて美少女というほどではなく一見普通の女の子だが、不幸な生い立ちにもかかわらず前向きな性格で、シリューズレイグラントに救われてから感情豊かになったことで、人間味あふれる魅力が表情に現れて可愛らしい印象になる。エルと対面しときは十代半ば。


(アイコンは雰囲気が一番近いものから。政務府から外に出るときはすっぴんポニーテールの少年の格好になる。表向きアスリロザ国王直系子は血統を断つため処刑されているので、いまのフレンジアは亡国王女ではなく、レイグラントの一客人として政務府内で暮らしているが、待遇は完全にお姫様。)

ユッカンティシアナン


(ネタバレ注意。第11話から)


フォルッツェリオ国家兵団参謀長という地位にいる、レイグラントの側近の一人。冷静沈着・慇懃無礼とは彼の代名詞。

世界で五本の指に入るだろう実力の術者としての顔のほうが名高い。知識が豊富で、その頭脳によりフォルッツェリオ国では軍務において参謀役や、外務においての諜報役を担っている。時代背景や人格が違っていれば一国の宰相もできただろう本人は、淡々と、飄々と、胡散臭く世を渡っていたいので、めんどくさい役職には就きたくなかったが、他に適度な人材もいないの仕方なくいまの役職を拝命した。

柔らかい髪質の茶髪、同じような色合いの茶眼。中肉中背で一見優男風だが、本人は気質を抑えてはいないので、普通の容姿なのに個性の強い内面が表に出ているので、異様さがかえって目立つ。長ったらしい名前ですぐに覚えてもらえないため、いろんな名で呼ばれているので、多様な顔を持っているような印象がある。それを生かして対話し人間観察することで情報収集を行なう。

遅まきながら本編終盤に登場。本人は地味に行動しているようでも、どんな場面でもいいところを掻っ攫っていくタイプ。次章フォルッツェリオ建国編では活躍というか暗躍する人。

この章では登場させる気はなかったが、話の展開上と、引き締めの部分で、出したほうがいいと判断、書き直し時に登場させました。


(アイコンはモブタイプでも合いそうなものがないので無理矢理。まあいいか。)

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