第69話 百年に一度花咲く月下美人

文字数 7,434文字

「それDTP? 何作ってるの?」
「いいえ陛下。DTP、デスク・トップ・パブリッシングじゃありません。これはコタツなのでKTP、コタツ・トップ・パブリッシングです。KTPで、ありす達に見せる降伏勧告のビラを作ってます」
 黒水晶が座っているのはコタツで、その上にパソコンを広げてビラを作っていた。地下とはいえ、冬だからね。黒水晶は、意外とコタツムリだった。
「あ、そ」
 そんなもん役に立つのか、と女王はいぶかしがる。
 地上をお菓子化したが、連中は降参しない。黒水晶は熱心に作っているけれど、もはや手がない証拠ではないか?

 朝に来るからアサヒ新聞
 毎日来るからマイニチ新聞
 読んで売るからヨミウリ新聞
 飛んで散るからヒサン新聞
 悲~惨~な~し~ん~ぶ~ん~じゃ~
 な~い~のだよぉおおおぉ~~~

     *

 自分が何者なのか結局のところ分からない。
 時夫さんにとって、自分とは何なのか。でも何のために生まれてきたのか、それだけは分かる。時夫さんの役に立ちたい。みんなの、この町に囚われた人たちの役に立ちたい。
 時夫さんに、東京へ行って欲しい。
 そう願ったけれど、時夫さんが本当に東京に行ってしまって、伊都川みさえさんと再会したら、みさえさんの陰みたいな存在だった自分なんてもう必要なくなる。分かっている。
 でも、それでも、時夫さんの役に立ちたい。役に立ちたい。
 今の自分に出来ること。それは、女王に会いに行くこと。だって女王は自分を狙っているから、そのために恋文町はお菓子の国になってしまったから。
 自分にしかできない。リスクはある。
 もし女王に食べられちゃったら、女王は地上に出てくる。
 でもそれでも、今の自分は科術師だ。どこまで女王の魔学に対抗出来るかは分からない。けれど、もう以前の自分とは違う。
 今の私は氷の女王・白井雪絵だ。私には砂糖の魔学は一切効かない。地下を、全て凍りつかせることだってできるんだから。
 ……寒いギャグで。

     *

「まさか。雪絵さんが一人で白彩へ行っちゃったって?」
 ありすが驚いて時夫を問い詰めた。
「何で止めてくれなかったのよッ!」
 ありすは歯軋りして時夫の胸倉を掴んだ。
「気づいたら、置手紙があったんだ」
「……いや、金時君を責めても仕方ないわね。これは私のせいね。私もずっと雪絵さんを見てた訳じゃない。こうなる可能性に、気づいてなかった訳じゃないのに。私が手をこまねいて、何もできなかったせいだ」
 雪絵の決心を、みんな何となく分かっていた。雪絵はこの状況を打破しようと思って、何とか自ら責任を取ろうとしているのだ。
 すでに雪絵はかつての砂糖人形などではなかった。長い戦いの末、科術師として覚醒した。この町の住人と自分達を霊界に閉じ込めた女王と対決し、脱出路を探るために。
 ありすもウーも、そして時夫も結局、雪絵がこうするであろうことに気づいていたのに、見放した。
 どこにも脱出路がないこの恋文町で、打開の道を知っているのは自分だけかもしれない、そう雪絵は感じていたのだ。
「いくら一流の科術師となった雪絵さんとはいえ、たった一人で行かせるべきではなかった。それならむしろ、私が一人で行けばよかった。もし雪絵さんが女王と格闘し、その結果、地下のものになったら、今度こそ女王を止める手立てはない。雪絵さんのパワーを手に入れたアイツは、地上へ這い出てくる」
 白彩本陣は、恋文町における女王の橋頭堡で、結界でありすは入れない。
 古城ありすの科術は解除され、魔学に対して無防備になる。白彩は出入り自在の地下帝国のエレベーターがある唯一の場所だ。
 そこから、誘拐された人たちが地下へ連れて行かれている。雪絵はおそらく、もう地下に到着している。
「何これ?」
 ありすは玄関先でビラを拾った。白彩の煙突から煙と共にビラが飛んでくる。黒水晶が書いたものだ。

 オマエの負けだ、負け犬ありす
 どこにも逃げ場はありゃしない
 何をやっても勝機はない
 棒アイスも当たらない
 自販機ジュースも当らない
 グリコのおまけも当らない
 チョコエッグも当らない
 お祭り射的も当らない
 春のパン祭りも当らない
 スクラッチも当らない
 トレーディングカードも当らない
 おみくじせんべいも当たらない
 当りくじなんかありゃしない
 オマエの負けだ 落伍者ありす
 さっさとサリー女王の下に投降しろ
                   草々

 ありすをディスった内容である。
「草々じゃねえわ! 黒水晶のヤロォー……! 棒アイスなら当ったことくらいあるワ! 自販機ジュースだって二度か三度は! くそくそくそっ」
 ありすはビラをビリビリに引き裂くと、何度も何度も踏みつけた。だが、その後一枚、また一枚と、曇天の空からビラが落ちてきた。
「一枚残らずのしつけて送り返してやる!」
 ありすは、宙にあるビラをバシッと右手で掴んだ。

和菓子バカ一代

 俺の名は佐藤実。人呼んで菓子細工の鬼。
 俺の造る菓子には命が宿る。本物だから命が宿るのであり、他の偽モノとは一緒にしてもらいたくない。
 餓鬼の頃はいつも空腹で、甘いモノなんか食べさせてもらった記憶はなかった。俺はひょっとして「捨て子ザウルス」だったんじゃないかって、子供の頃は思っていた。なんてな。友達が食べている駄菓子でさえ、食べる機会はなかった。唯一の甘味は給食で出るデザート類だ。
 そういうことで、甘味は俺にとって憧れであり、大人になったら絶対和菓子屋になるという夢に迷いはなかった。
 高校時代は野球に明け暮れながらも、夜は和菓子屋でアルバイトをして、ためた金で和洋問わずに甘いモノを食べ歩いていた。
 高校を卒業すると、すぐに地元の和菓子屋に弟子入りした。そこの店長はとても厳しくて、店長自身も一日十四時間働きっぱなしだった。口答えをしようものならすぐ鉄拳が飛んできた。
 そうして俺は五年間修行したが、俺にとってその店の水準ではすでに物足りなくなっていた。
 俺は店をやめると、自分の納得のいく甘味を求めて全国の菓子を食べ歩きした。もちろん各地の一流店は、流れ者の俺なんかに教えてはくれない。
 俺は原材料を調べるために張り込みをして、業者のトラックがどこへ行くのか、バイクで後を着けたりした。
 その間にはいろいろあった。食えなくて、ストリート・鍋つかみボクサーや、流しの賭け温泉卓球なんかをやりながら食いつないだ。
 つまりオレは師を持たない。しいて言えば、和菓子は「わが師」だ。
 それにも飽きたらず、本草学を始めとし、世界中の文献や古文書を解読し、海外渡航まで視野に入れて、ありとあらゆる甘味、糖分の研究に没頭した。そうしてたどり着いたのが、土と水と光の研究だった。
 ある種の茸との出会いは、俺の人生に劇的な変化をもたらした。それは発光茸の一種だが、ここ恋文町のセントラルパークの土壌でしか生えない。
 緯度経度、レイライン、いわゆる風水でいう龍脈、伝説のカタカムナ文献でいうイヤシロチ。それが恋文町のちょうどあの公園が最高だった。これはウチの門外不出の秘密だ。
 たまたま訪れたこの町に店を構えることになったのは、そういう理由があったからだ。以後、俺は恋文セントラルパークに夜な夜な通い、せっせと茸の育成と研究に励んだ。土と水、それに月光によって、なぜここだけ茸がよく生えるのか。俺は遂にこの町の地下に、とんでもない秘密があることを掴んだ。
 そうして恋文町に張り巡らされた防空壕の地下へのルートを探っているうち、とうとう地下帝国の女王陛下に出会ったんだ。あんな、地下で何十年過ごしてきたような奴が普通の人間な訳はない。
 真灯蛾サリー女王。人間なのかバケモノなのか。とんでもない相手には違いなかったが、俺達はお互いの利益のために協力し合うことになった。優れた甘味を求める俺にはその時、迷いはなかったのだ。
 その後、茸を使った砂糖を使って、俺はとんとん拍子に成功した。
 そして遂に俺はこの世に存在する和菓子の最高峰、「乙女の恥じらい」を開発した。乙女の気持ちを込めて作った、洋の東西を問わぬ史上最高の菓子だ。ウフ♪
 内閣総理大臣賞、農林水産大臣賞、そして、四年に一度のお菓子のオリンピック、全国菓子大博覧会での受賞-----。「乙女の恥じらい」は最高の栄誉に浴した。
 俺はちょくちょくテレビに出るようになり、『TVオリンピック』で、毎度のように俺のゴッドハンドで作った菓子細工で優勝した。
 別に、そうなりたかったわけではなかったが、店にいるときのいつも通りの態度でテレビに出ていたら、逆にプロデューサーたちには新鮮だったらしいな。
 テレビ出演に忙しくなって、この小さな田舎町に客が殺到した。店も繁盛し、大きな工場を作って、より本格的な研究にいそしむことができるようになった。ま、ついでに開発した「乙女のくねり腰」の方は、売り上げはイマイチだったが。やっぱ、「熟女のくねり腰」の方がよかったかな。
 実験に次ぐ実験、研究に次ぐ研究。
 人にマッドな和菓子屋といわれようが、あるいはマッド・サイエンティストといわれようが関係ない。そして仕事前の乾布摩擦は欠かせない。だがその頃には俺はもう、この町のヤバい秘密と無縁ではなくなっていた。
 俺は恐るべきサリー女王陛下の手下となり、女王とその眷属どもによる地上への侵略に手を貸す約束をした。そうせざるを得なかった。
 この町の何パーセントかの電柱は、女王に逆らった者たちの成れの果てだ。
 言っておくが、地下の女王陛下にとって、インフラの操作など、インフラか、エビフライか、名古屋人のいうインフリャ~かという程度の誤差の範囲でしかない。
 全く恐ろしい、俺だって電柱にされたくなんかない! 女王はこの町の人間を次から次へとかっさらい、砂糖にして地下で喰っている。俺はそれに手を貸すしかなかった。
 白彩の繁盛を保証され、これからもセントラルパークの茸を独占できる代わりに、地下の連中の誘拐に手を貸さざるを得ないのだ。だが、日に日に、地下の要求は増す一方だ。それでもやらなければ俺と白彩に生きる道はない!
 近年は、女王に弓引く古城ありすという宿敵の存在に頭を悩まされている。コイツは商売の敵でもある。
 古城ありすとつるんでいる金沢時夫という小僧に、白井雪絵を奪われた。
 偶然の産物だったとはいえ、白井雪絵は俺の最高傑作だった。もしこれ以上コイツらに邪魔をされたら、女王陛下の所望するカシラを作ることはできない。
 さらなる最高の菓子細工、カシラを早く完成させるために、誰にも俺の邪魔はさせん!
 そんな折、とんでもないことが起こった。
 白井雪絵が自らの足で白彩に戻ってきたのだ。命を宿した黒水晶の話によると、東西南北脱走を試みた連中は、結局脱出できなくてこの町に戻ってきたらしいが、黒水晶は彼らを捕らえることができなかった。
 俺は黒水晶と共に、恋文町をお菓子化する作戦を実行した。
 白井雪絵を失ったことは何よりの損失だったが、その白井雪絵がこのタイミングで白彩に現れたのだ。やっぱりお菓子化作戦は、奴らへの兵糧攻めとして成功したらしい。全く、この町で俺ほどツイている男はいない。勝利はもう間もなく、わが手のモノに。

     *

「久しぶりだなぁ、雪絵」
「……はい」
「前に比べて、顔色がいいじゃないか? うん? 外の世界はどうだ? 面白かったか。ずいぶん人間化が進んだみたいだな。しかしな、お前は人間じゃない。どうやら、金沢時夫のことを気に入ってるみたいだが、どんなに人間のフリをしても、お前は俺が作った菓子細工だ。分かったな。何処までいっても、人間になれる訳じゃないんだからな」
「店長、それは違います。この世界が意味論で出来ているなら、私が人間になることだって、意味論のはずです」
「意味論ンンー? ほおぅ。そんな言葉も覚えてきたか。まぁいい。とにかく、戻ってきたんだ。正直に歓迎する」
「……」
「お前がここに何しに来たのか知らんが、女王に会ってもらうことに異論はないんだな?」
 佐藤店長は鋭く雪絵をにらみつけた。
 雪絵はうつむいて、
「そのつもりです」
 ときっぱりと答えた後、
「テケリ・リ……、テケリ・リ……」
 と鳴いた。
 雪絵は、店長に続いて工場内の地下エレベーターに乗り込んだ。

「陛下、ご機嫌うるわしゅう。本日もきれいな御髪(おぐし)で」
「お前もな。……んで、何かいいことでもあったの?」
 といいつつ、サリー女王の声のトーンにはそれほど期待感が篭っていない。
 これまでの経験から、黒水晶のやることには散々、肩透かしを食らわされがっかりすることが多かったからだ。
 黒い水晶は終始ニヤニヤと、笑い続いている。
「御意。ご覧下さい。今夜はほら、月下美人が咲いたんです!」
 百年に一度しか咲かないという伝説の花は、黒水晶の両手に支えられた植木鉢の中で白く輝いている。
「へぇ~ふぅ~ん」
「陛下、それだけではありません」
「まだ何かあるの?」
「何を隠そう、んふふふ、白井雪絵を連れて参りました! まさに、パーフェクツ!」
 黒水晶は不敵に笑った。そこに雪絵が立っていた。
「な、何だってー!!」
 真灯蛾サリーはMMR(マガジンミステリー調査班)のように、えびぞりした。
「なんと、なんという吉日でしょう」
 黒水晶は遂に勝ったのだ。あのビラが役に立ったのかもしれない。
 地上の町をお菓子に変えたことで、追い詰められた雪絵は自ら白彩に出向いてきた。それを白彩店長から聞いた瞬間、黒水晶は笑いが止まらなかった。
 消えたキラーミンには感謝しよう。偉大な犠牲に敬礼しよう。そして自分の幸運にも感謝しよう。
 月下美人が咲いた百年に一度のその吉日に、黒水晶は白井雪絵を捕まえた。運命の巡り合わせにも、感謝しよう。
「ひゃっほぅ-----------!!」
 黒水晶はその辺を飛び回った。
「髪の毛サラサラ~~ッ♪♪」
 サリーは黒水晶の髪を触りまくる。
「やぁん♪」
 サリーと黒水晶は雪絵を放ったらかして、子供ビールでビールかけに興じた。
「ホラホラホラ陛下ァ~!」
「いやぁん! 止めてェ」
 ずぶ濡れになりながら、二人は勝利のダンスを狂喜乱舞する。
 サリーの方から、雪絵に近づいていった。
「ようやく会えたわね。随分てこずらせてくれたじゃない? でもま、いいわ、結局あたしのモノになったんだから。美味しソーな雪絵ちゃん♪」
 サリー女王は雪絵の顎に手を当てて、舌なめずりを一回転した。
「以前と随分違うわねェ。白井雪絵。時夫さんの愛をたっぷりと注がれたみたい。時間を置いて熟成されたようね。でもお前はもう、私のものよ。そしていずれ、時夫さんもね。……私を倒しに来たのかしら? でもね、私はお前たちが考えているような人間じゃない。私はこの地下帝国で長いこと、女王蜂として、滅びゆく種族を次の世代へと繋ごうとしてきた。そして、新しい生命を作り、かつ私自身が地上で人間になろうとした。私は女王として、いつの間にか気がつかない内に蜂人に操られていながら、蜂人の種の保存について同情もしていた。今では彼らを救うことも、大切な仕事だと思っているの。そのために、お前が必要なのよ。このかわいそうな蜂人のためにね」
 女王は周囲の蜂人たちを見やった。無表情の蜂人たちから、彼らの心を想像することはできない。
「女王、あなたが本当に欲しかったのは、これのはずよ」
 白井雪絵は懐から、何かを取り出した。サリーと黒水晶は、白い手に載るその石を見てギョッとした。白く輝くそれは、ムーンストーンだった。なぜ雪絵がこれを?
「皆を解放しなさい。あなたの目的に、町のみんなは必要ないはず。そうしたら、私を自由にすればいい。でもこれを渡すのは、それが絶対の条件です」
「なんてこと……お前、ムーストーンを持っていたの?」
 雪絵の右手に握られた白く輝く丸い石を、女王は大きな釣り目で眺めていた。雪絵は女王をじっと睨みながら黙った。
「か、鴨がネギを背負って来た……」
「もしや、オマエ自身がムーンストーンなのか?」
 黒水晶は、自身がブラックオニキスの擬人化であることを顧みた。ムーンストーンを持った白井雪絵は、彼女自身が白くボウっと輝いていた。

     *

「まもにゃく~幻想寺、幻想寺~」
 ビラに挑発された訳でもなかったが、ありす達は、またしても幻想寺のあるハコヤナギの路地へと到着した。
 ありすの記憶では、この寺はこの町に存在しなかったはずなのだ。明らかに、西部から戻ってきた後に出現したというのである。
 ありすは、どーしても綺羅宮神太郎をとっ捕まえるのだと主張した。白彩に行けないのだから、他に方法がない。なぜ幻想寺の住職が綺羅宮なのか、ありすの鼻以外に根拠はない。 
 ウーといえば相変わらずマズル探しに奔走中で、こっちも「必ず役に立つから!」と力説し、必死に探し廻っている。
 時夫はまた、科術師パン屋・レート・ハリーハウゼンに協力してもらおうと主張したのだが、「年末」の人出でますます忙殺され、前回の比ではなかった。
 年末中はパンを求める人々の行列で、店には近づくことすら出来ない。これでもしまたレートを連れ回したら、今度こそ奥さんがカム着火インフェルノォォォオウで、エクスカリカリバーブロートで殴りかかってくるだろう。
 そして、「年末」は終わらない。にしても、レートの科術パンを食べるという選択肢がまだあった訳だ、このお菓子な町・恋文町において。
「……にょ?」
 幻想寺が巨大化していた。そのせいでウーが猫語になっていた。
 その大きさは、すでに奈良の東大寺並だった。門の寝猿像だけは相変わらず、とぼけた顔でありす達を小馬鹿にしたように見下ろしている。
「にょにょ!?」
 しかも、近所の住宅地をも巻き込んで寺院化しながら、目下巨大化中と思われた。
「何だァこれは!?」
 時夫は二人のような猫語ではなく、辛うじて日本語で唸った。
「……匂いが違う。ここだけお菓子化が止まっている。まさかこの寺、お菓子な国現象に対抗しているのか!?」
 ありすは自身の嗅覚が感じ取るままに言った。
「で、寺院化が進んでいるだって……」
「寺フォーミングだよ」
「にょ------!!」
 時夫もまた猫語で叫んだ。一体、どういうことなんだろう。今度は、幻想寺で何が起こっているんだ?
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