詩小説『ホテル ピーチデイズ』3分で裏側を。訳アリな人へ。〜第3話〜

エピソード文字数 1,027文字

ホテル ピーチデイズ〜第3話〜

「なんじゃこりゃ?」
「なんでしょね?」
「ドレスがびりっびりに引きちぎられてる」
「派手にやったもんね」
「さっきの別々に出てった客か。女の子泣いてたもんな」
「涙の数だけ強くなれるよって、あれ嘘ね」
「えっ?」
「だってあの娘、きっと何度も何度も泣いてきてるわよ。賢く生きれずに。それなのに強くなってないもの」
「確かに。アスファルトに咲く花だったら枯れてますね、あれじゃあ」
「やっぱり嘘よ。私、最強になってるはずだもの」
「えっ?」

『ゴトン』

こじんまりした『関係者以外立ち入り禁止』のモニター室。
「案外清掃すんなり終わりましたね」
「散らかってなかったもん。あの娘、上品だわ。トイレットペーパーも三つ折り。バスタオルも綺麗に畳んで。ちゃんとしてるわ」
「それなのに、男にだけはだらしないんですね」
「それでも女の子でいたいのよ」
「なんなんですかね。女の子って」
「この世で一番汚くて、この世で一番綺麗な生き物」
「なんだそりゃ」
「アンタの彼女もよ」
「汚なかないですけど」
「そもそもなんでアンタこの仕事してんのよ?」
「えっーと。特にたいした理由ないですよ。時給が良かったのと、後は興味本位で。やりたいこともなかったから」
「ほんとに?」
「えっ?」
「ほんとにやりたいことないの?」
「笑わないでくださいよ?」
「えっ?」
「俺、小説家になりたくて。でも彼女とのことも大切にしたくて。原稿書きながら、時給高いバイトして金貯めてんです」
「お前」
「はい?」
「見直したよ」
「今まで俺のことどう思ってたんですか?」
「ゆとり世代の闇」
「失礼だな、まったく」
「ほら、アンタ好みの可愛い娘が、男に連れられて廊下歩いてるわよ。3カメ」
「確かに、可愛いなぁ」
「さっきの言葉撤回」
「可愛いと好きは別ですから」
「じゃあ、あの娘は? 2カメの」
「あの娘は遊びなら喜んで。マジな彼女ってなると、遠慮するかな」
「あぁ、分からんでもないわ」
「可愛いのは認めます」
「そうね、そんな感じ」
「じゃあ、あの娘は、今廊下歩いてる」
「えっーと」
「アンタ好みでしょ?」
「……。」
「あの娘、あの娘」
「……。」
「今、部屋に入ってった。チャラ男と」
「……。」
「どうしたの? 聞いてんの?」
「……。」
「何、黙ってんのよ?」
「……。」
「ちょっと、聞いてんの? えっ?」
「あれ、俺の彼女です」
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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