創世記16章 悩むサライ/ハガルの逃亡と出産
文字数 2,558文字
アブラムの妻サライには、子供が生まれなかった。彼女には、ハガルというエジプト人の女奴隷がいた。サライはアブラムに言った。
「主はわたしに子供を授けてくださいません。どうぞ、わたしの女奴隷のところに入ってください。わたしは彼女によって、子供を与えられるかもしれません。」
創世記16章5節
サライはアブラムに言った。
「わたしが不当な目に遭ったのは、あなたのせいです。女奴隷をあなたのふところに与えたのはわたしなのに、彼女は自分が身ごもったのを知ると、わたしを軽んじるようになりました。主がわたしとあなたとの間を裁かれますように。」
主の御使いが荒れ野の泉のほとり、シェル街道に沿う泉のほとりで彼女と出会って、言った。
「サライの女奴隷ハガルよ。あなたはどこから来て、どこへ行こうとしているのか。」
「女主人サライのもとから逃げているところです」
と答えると、主の御使いは言った。
「女主人のもとに帰り、従順に仕えなさい。」
「おまえが現在このような苦境にあるのは、女主人にたいするおまえの思慮なき振舞いと無縁慮な仕打ちのせいなのだから、おまえがここで自分の気持ちを抑えるならば今よりももっと幸福な生涯を送ることはまちがいない。そして、おまえが神の命令にしたがわず、自分の思ったとおりのことをすれば、おまえは身を滅ぼすだろう。しかし、おまえがここで引き返せば、おまえはその土地を支配する子の母親となるだろう」
フラウィウス・ヨセフス『ユダヤ古代誌1』より
主の御使いは更に言った。
「わたしは、あなたの子孫を数えきれないほど多く増やす。」
創世記16章11節
主の御使いはまた言った。
「今、あなたは身ごもっている。
やがてあなたは男の子を生む。
その子をイシュマエルと名付けなさい。
主があなたの悩みをお聞きになられたから」