斉の威王
文字数 1,000文字
このような逸話が残っています。
ある時、斉の国のうち
威王は即墨の大夫を召還しました。そして言いました。
「君が即墨を治めるようになってから、君を誹謗中傷する言葉が毎日届いている。これはどういうことだ」
突然呼び出された即墨の大夫は青ざめました。威王の権限は絶対です。どう申し開きしようか、戸惑っている大夫に、威王は続けました。
「安心したまえ」
威王の口調が
「そういう言葉、誹謗中傷の言葉は確かに届いている。しかし、私は人を使わして即墨を視察させたよ。田野は青々と
そして、即墨の大夫に万を数える
次に威王は阿の街の大夫を召還しました。
即墨の大夫が封じられたという噂を聞いた阿の大夫は、内心に期待を秘め現れました。
威王は彼に告げました。
「君が阿を守ってから、褒め言葉が毎日私の耳に届くようになった」
阿の大夫の目が輝きました。今こそ昇進の時か、阿の大夫は次の言葉を待ちました。しかし、その結末は
「私は人を派遣して阿を視た。田野は闢けていない、人民は貧しく、
阿の大夫はすくみ上りました。
「それだけではない、以前、趙が
威王は怒りを抑えきれないようでした。
「これはだ」威王は大夫をにらみつけました。「君が厚く私の側近に賄賂を贈り、そして褒美をもらおうとしているに違いない」
こののち、阿の大夫は威王の怒りに触れ、阿の大夫を推薦し
ともかく、威王は冷静かつ現実的とでもいうような、鋭い頭脳を持った人物でした。そして権力を持っていました。
この事件ののち斉の国は大いに治まるようになり、偽りは横行せず、臣下各々がその真心を尽くして威王に仕えるようになりました。斉の国は大いに国力を伸ばしたと伝えられています。
斉の威王と、魏の恵王とは、対照的な君主だったのです。