第4話 ずっと後悔してる事ってありますか?
文字数 1,353文字
【帰りたくないです】
少女の言葉が頭をよぎる。
ってそんな訳にいかないか。
迷うくらいなら行動する、困っている人がいたら声をかける。
それが俺のポリシーだ。
自分の今の気持ちをしっかりと持った上で、俺は玄関から外に出た。
そう笑顔で語りかけると、少女は無言のまま小さく頭を下げる。
少女はそう言って再度空に目を向けたため、俺もそれに倣い空を見上げる。
並んで同じ空を見ているのに、別のどこかを見ているようで、少女の存在はとても儚い。
少女は頭の中で言葉の意味を考えているようで、表情には今までに無い真剣みが感じられた。
少女はそう呟くと、目を瞑って黙り込んだ。
辛抱するにしても、この細い体で持つものなのか。
不安に駆られ、胸を締め付けられる。
遠慮せずにもう少し他人を頼ってくれれば、状況が変わる可能性もあるのだが。
少女はぺこりと頭を下げると、ゆっくりとした足取りで離れていく。
弓月は再度ぺこりと頭を下げると、駅前方面へと消えて行った。
【名取 愛花】と言うのは、ただの夢?
それに、彼女は一体何を抱えているのだろう。
【あなたは、ずっと後悔している事ってありますか?】
それは何を込めて発した言葉なのか。
とりあえず俺にできる事はやったので、後は彼女次第。
弓月が去って行った方向を少しの間眺めて、家の中へと戻った。