第11話 魔術使いのジーラ

文字数 1,733文字

第11話 魔術使いのジーラ

?『うんそれが良い』
?『剣士さんはどっちが良い?』
?『ずっと私を守ってくれる?』
あいつの声が聞こえる
あいつと会ったのは随分前になる
奴隷商人に攫われそうになっていた時だっけ?
俺の後ろに隠れたよな
思わず『良い判断だ』と言ったっけ?
今思い返すとお前もずっと過酷な人生を送っていたんだな…

俺の人生は、とても普通では無かった…
生まれた時から過酷だった
生まれてすぐ母が居なくなり、父親にはまともな育児なんてしてもらえなかった
全部姉貴が、俺を育ててくれたみたいなもんだった…
俺の生まれた場所はとても不衛生でそこら中にゴミや糞が散乱していた
月に一度奴隷商人が売り物として人を攫っていくまたは、買取に来る
俺の父親は、一言で言うと糞以下だった
母の代わりに育ててくれた、俺が風邪を引き死にそうになった時も側に居てくれた。
居てくれるだけで良かった幼い頃の俺には、それが一番安心したからだ
薬なんて買える金は無いその金なんてあいつが酒に使っている
だが働きもしない父親に何故酒を買える金があるのか
あいつは母を売っていた…
その事実を知った時の俺は、今まで耐えていた怒りと憎しみを抑えきれなくなっていた

そんな世界で俺の大切な人であった姉貴が次に父親によって奴隷商人に売られそうになった時には、幸いにもその時の俺は物心が付いていた
ついていたから姉貴を連れて逃げられた
俺は必死で強くなる方法を探した
そして気づいたんだ俺の持つ力を
俺の肩にある印を姉貴にもある
俺の持つ界門それは『英雄』だ

気づいてからだよな姉貴が急に居なくなったのは
まさか修行していたなんて気づくはずもない
あいつと一緒に居ると今まで無くしてきた別れてきた人に再会できる
そんな気がするいやしていた
これは確信できる
だから…
どうか無事で居てくれ
パメラ

遠くで大きな音が響いた
ラグスさんは、その音を発した者の存在を知っていた
ラグス『ここに住み憑いていると報告があったウルンズガードンと君の仲間の一人だ』
ラグス『かなりの激戦と見える』
ラグス『あの強さなら一瞬で終わるだろう』
レクサム『シェルピーお前は姉貴の後ろに居ろ』
レクサム『こいつは、俺がやる』
だがしかし妙だこいつには、これ程までの力は感じないはずだ
ほぼドラゴンと変わらない強さだしかも
レクサム『誰かが手中に収めたか…』
レクサム『一撃で仕留める剣法』
レクサム『クロスアーツ』
洞窟内に魔の存在の断末魔が響き渡る
十字状に切断され生き絶える魔の存在を見る間もなくこのダンジョンには、無数の魔力が漂っている私を探し出すのは至難の技だそうだ
レクサム『こん中だと、感知が全く機能しない勘に、任せるか』

ふとラグスは、何かの気配を感じ取っていたそこは洞窟の最奥だった
ラグス『いる…あそこだ』
ラグス『君は下がっていてくれ』
剣を抜くラグスの目の前で何者かがこちらに歩いて来る
それは黒いローブを着た女性だった
ラグス『魔術師ジーラか』
その女性が呟く
ジーラ『よくご存知でラグス閣下』
ラグス『魔法には人を操る類のものは、登録されない』
ラグス『魔法とは、正しい者こそが使える』
ラグス『お前のそれは間違えた教えだ』
ラグスは、女性の一瞬の隙をついて素早く駆け寄る私には見えなかった
その時女性は何処か怪しげな力を使う
ジーラ『悪魔の契約 下階(かかい)おいでヴィジェル』
ラグス『召喚術あれは悪魔か?』
ラグス『悪魔との契約…禁忌に値する愚行だ』
契約とは召喚した者が召喚した悪魔の力を使えることを指す
この力とは、稀に魔力を持つ者が持って生まれて来る力のことを言いそれは主に『特性』と呼ばれている種族の違いなどによって『可能性』だったり『魔性(ましょう)』と呼ばれることもある
契約が何故禁忌となっているのか?
それは、どちらか生き絶えると片方も生き絶えるからである
まさに諸刃の剣であり命を捨てるに値するので禁忌になっている
また悪魔の召喚は問答無用で魔術扱いになる
召喚術には、『◯階』と言う位がある
それは、上から『最上階・上階・中階・下階』の四段階で構成されており
最も位が高い最上階の、召喚される者には名前がありそれ以下の位には名前が無い
なので名前をつける者達もいる

魔法を使うラグスと魔術を使うジーラの戦闘が始まるのだった
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