夏の日差しは容赦ない

文字数 865文字

 それから、下級生は代わる代わる酔いつぶれた上級生の見張りをし、そうしている内に朝になった。夏の朝は早く、クーラーの無い合宿場の部屋は蒸している。特に、宿泊する為の部屋ではない食事場には容赦なく朝日が差し込み、それによって寝落ちした上級生は太陽光に炙られて目覚めた。目覚めた上級生は、それまでに居た場所を確認した後、ふらつきながら本来の寝場所へ向かった。全ての上級生が目を覚まして、それぞれ割り振られた部屋に戻った後、見張りをしていた下級生もそれぞれ割り振られた部屋に向かう。
 夏故に日の出は早かった為、朝食の時間まで見張りをしていた下級生も数時間は眠れた。そうして、サークルメンバー達は、それぞれに睡眠を取り、朝食の時に集合する。



 しかし、朝食の準備が済んでも席に着かないサークルメンバーが居た。しかし、それを気にとめる者は居らず、皆が朝食を食べ終える頃になってようやく「不在者は誰か」が問題になった。
 サークル代表は、参加者名簿を元に点呼を取った。それから、この場に居ないサークルメンバーを特定し、同室に割り振られた者達に起こしに行くよう指示した。他のサークルメンバー達と言えば、食べ終えた者は食器を片付けるなどして、各々フリータイムを味わっている。

 起きてこないサークルメンバーを起こしにいった者達は、直ぐに戻ってくることはなかった。この為、サークル代表は様子を見る為に、問題のメンバーの居る部屋へ向かった。すると、そこには混乱したサークルメンバー達が居り、二段ベッドの上段を覗くサークルメンバーも居た。
 この為、サークル代表は混乱しているサークルメンバーに話を聞いた。しかし、誰一人として話にはならず、サークル代表は使われているベッドを覗く為に開いた梯子を登る。すると、横たわったまま動かない体が、サークル代表の視界に入った。サークル代表は、それを見るなり梯子を降り、震える手が落ち着くのも待たずにスマホの画面を光らせた。
 サークル代表は、緊急通報ボタンを力強く押し、電話が通じると同時に合宿場で起きたことを一気に伝えた。
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