第26話
文字数 2,806文字
俺たちは無性に腹と腕の大きい爆弾男と交戦中だ。アスタロトも一緒にいたんだが、矢が聞きそうにねぇからシオンの加勢に向かわせた。どのみちミカロたちが敵と遭遇したらシオン1人で戦う戦法を取るだろうしな。
爆弾男は触れたものすべてを爆弾に変え数秒後には爆発を遂げる。おかげでまともに平らな場所は一か所もねぇ。とはいえおかげで敵の能力も知れたから五分五分か。
敵なのによくしゃべりやがる。互いに左右に分かれて敵が逃げるのを防ぐ動きに移る。敵は上空に飛び上がる。それと同時に俺たちも釣られるように空へ。ヤツの奇妙な笑みが視界全体に違和感として映る。
自信のある顔だ。それに免じて最初から全力で勝負してやんよ。右の拳を振り上げムチをしなるように勢いに任せ振り落とす!
炎が敵を包み、俺の目の前へと打ち上げる。完璧だな。俺が動ければ、の話だが。
いくら星状態とはいえ、3度も壁にたたきつけられるのは堪えるな。おかげで体中がバチバチ痛み出すじゃねぇか。そのお返し分だけはさせてもらうかんな。
敵と目が合う。壁から飛び出し両手を用意する。この一撃で。困ったことにこの後の結果が予想できねぇ。リーダーなのに参ったな。
ナクルスが炎の壁を作ったが、それは簡単に貫かれ拳は俺たちに襲いかかった。ネーミングじゃ負けてるはずなのに痛ぇし、おまけにまた爆発で壁とこんにちはだぜ。もういい加減分かれたいところだ。まったくな。
爆弾男は足を浮かせていた爆発を止めると、俺の目の前に姿を見せる。ナクルスはヤツの反対側で頭を押さえている。マズいな。
俺とナクルスの拳が重なり、同時に空へと解き放たれる。拳は炎を纏い奴の目を輝かせる。これが俺たちの一撃だ。
☆☆☆
ミカロの顔はとてもうれしそうで晴れやかに見えた。まったくあいつに見せてやりてぇもんだよ。できることなら代わってやりてぇ。
……なんてな。何夢物語考えてんだよ俺は。
☆☆☆
懐かしいな。こんなこともあったっけか。あいつらのためにもこの一撃、外せねぇな。
逃げようと爆発を足に起こすが、ナクルスが鎖で敵の動きを抑える。さすが仲間だ。俺のタイミングに息ぴったりだな。
両手を掲げ、俺の拳とナクルスの思いの拳を焦りの隠せねぇ敵の目に見せつける。炎は星の輝きと交わってオレンジ色の炎に変わる。これが俺たちの全力だっ!
俺は空を見上げて目を閉じる。どうしてだろうな。空を見上げてると、本当に平和だと思う。どうして俺たちは......
俺の直感が危機を知らせた。あいにく俺が立ち上がった背中には爆弾野郎がいた。
爆弾男の体にから氷が現れた。いや違う。彼の中に突き刺さったのか。俺は傷だらけの体にムチを打ち再度拳を振り上げる。
体はボルムの後ろにいるやつの目の前で止まった。どうなってやがる。その言葉を考えた瞬間、ナクルスが拳を振り上げ敵に襲い掛かる。俺たちの疲れの見える攻撃は簡単によけられた。
ナクルスはいとも簡単に宙へと飛び上がり、攻撃を開始する。瑞々しく光る双剣、いや槍、違う氷柱の武器、一撃も擦りもせず敵の攻撃だけがナクルスに届いた。
俺の足は上がらない。上がった。その瞬間さっきまでの俺と同じ姿のナクルスがいた。納得した。得意じゃないが相手の領域の中に従うほかねぇみたいだな。俺は陰から顔を出した眼鏡を見逃すことはなかった。