第45話 1週間(1) One Week

文字数 1,018文字

 ザ・ゲームまでの1週間、アイゼンは起きている間、ずっとキャッチ・ザ・マウスにおける戦略と戦術を練り続けた。
 結果、戦略は何百通りも立てられた。
ーーこれで、ザ・ゲームが始まってからも、臨機応変に対応出来るだろう。
 戦術は、他チームの大きさや強さを想定して、鈴や尻尾を奪る方法を徹底的にみんなで考察した。相手には外国人もいる。大きな人対策には、ミハエルにも手伝ってもらった。
 それぞれの個人技と、アイゼンが考えた10のコンビネーション。さすがに普段から成功をするために努力をしている者同士だ。誰一人、少しでも精度を高めるための努力を怠らなかった。
 もっと情報をもらえると思っていたフタバが、不正を防ぐために会えなくなったのは想定外だったが、ミハエルからも修行の手伝いをしてもらえて、当初、アイゼンが思っていた以上に修行は捗った。
 また、共に修行することで、自分を含めた3人の長所と短所がわかってきた。
 自分は頭が良く、事前予測や身の躱しに長けている。一方、ミハエルレベルの強い大男と1対1になってしまうと、全く歯が立たない。つまり、狭い場所で真正面からぶつかると、一発でやられてしまう可能性がある。
 ギンジロウは、素早く、力もあり、技術もある。だが、全体を見渡す力が弱い。1対1なら誰を相手にしても勝てる可能性はあるが、2人を同時に相手すると、途端にもろさが出る。
 サオリは素早く、逃げる技術も高く、とにかく捕まえられない。が、一度捕まってしまうと、力の差がありすぎて何もできなくなる。また、攻撃力もない。
ーー3人の長所と短所を混ぜ合わせて、最高の戦略を練る。そして、試合に圧勝し、ラーガ・ラージャの名を裏社会にも広めてみせる。いずれは藤原家を世界最高権力13血流に加え、14血流として世界に認めさせる。藤原家の再興。政治家としての成功。それが私の夢。これはそのための第一歩だ。
 名前を売るチャンスを逃すつもりは毛頭なかった。アイゼンの頭脳は今まで以上に活発に働き、世界を手に入れられるような絶対的な万能感を、その脳髄の中に感じた。
 アイゼンはイメージトレーニングの力が、一般人より格段に優れている。頭の中には、自分が優勝して、表彰台の上で手を挙げている姿がはっきりと浮かんでいた。
 試合までの準備は万全だ。
ーーあとは悩みが1つだけ……。師匠との兼ね合いか……。
 アイゼンは迎えを待つ間、自分の部屋のベットの上で、座禅を組んで目を瞑った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み