カースドレッサーは笑わない

文字数 1,609文字

嫌ぁあぁぁあぁっ!!

露わとなる美しい脚。


淫らな視線がベージュのストッキングの下の飾り気のないショーツに注がれる。


隠そうとするも手首を掴まれ許されない。

あーたまんねえ! 想像通りだ。地味な下着ってそそるぜ! マン汁でぐちゃぐちゃにしてやりたくなる。入社して来たときから思ってたんだよぉ!
化物の節くれだった指がショーツにねじ込まれ恥毛をかきわけていく。
あ……あ……っ
ケケッ、ヌルつかせてんじゃねえか
嘘……そっ、そんなはず……!

屈辱と羞恥。頭に血が昇る。


だが、そのわずかな間に探り当てられた敏感な肉芽が、にちゅりと圧し潰され、その瞬間、恥悦の稲妻が下腹を撃ち抜く。

くはあぅっ……そこ駄目ぇ……!
コリコリしてビチョビチョだ。お前、もう剥けてるじゃねーか。見かけによらず、とんだ淫乱だったみてえだな!

有希の太腿を伝う粘り気のある熱液。


化物が緩急をつけて裂け目をなぞると、どっと水量を増して奥から滴り出る。

ふあっ……くふぅっ……んんっ、んんんっ
ヒキキッ、凄ぇオツユだぜ。ビラビラを拡げるともっと出て来るぞお~
ちがっ……違いますっ! そんなのじゃ! 私、違っ……ひあぅ!
(違うのに。拒みたいのに……それなのにどうして! どうして、もっとそうして欲しいという気持ちが……!)
ああぅっ、うう、ああああっ!
その口からついに甘い喘ぎが漏れたそのとき――路地の入口で低い呟き声がした。
ここをどこだと思っているの?

そこに立っていたのは背の高い女だった。


黒のトップスに紫のインナーを合わせたコーディネイト。

タイトミニから伸びるスラリとした脚。


緩いウェーブのかかった長い髪をふわりとかき上げる仕草。

漂う大人の成熟。

(この人、どこかで見たとこが……)
そのエレガントな佇まい、気品とカリスマ性を有希は知っている気がした。
……全滅させたと思っていたのに、お前たち淫魔はゴキブリと同じね
なんだ、テメエ!?
麗火よ
はあ? レイカだぁ……

と化物。


しかし、有希は思い出した。

(Reika……そうだ、あのモデルの!)

世界的なスーパーモデル。


自立した理想の女性像として自分も憧れていた。

(でも確か、何年か前に突如として失踪して……それがどうしてこんな場所に?)
(それに、体形も違う。スタイルが良いのは変わらないけど……)
はち切れんばかりの胸、ぐっと張りだしたヒップ。
(Reikaはこんなにグラマラスじゃなかったはず……)
……と、それ以上の変化が起こった。
お……おおおおおおおおおおっ!

怒号と共に麗火の衣服が裂けるように消失。


替わりに、肌をわずかに覆う新たな装いが体内から現れる。


豊かな乳房を鷲掴みにする悪魔の爪の如き、美尻を舐める巨大な舌の如き、奇怪で妖艶な漆黒のコスチューム。


地獄の炎か亡者の血流を思わせる深紅の亀裂が全身に走り――


そう、それは明らかに化物となった上司と同じ、この世とは起源を違える禍々しい姿だった。


そして振りかざされたのは肉食竜のものかと見紛う凶悪で巨大な爪。


それは何本もの鋭利なブレードだった。

もう一度言うわ。ここをどこだと思っている? 私の目の前よ……お前たちが生きていていい場所じゃない!
思いもしない異形への変身と、凄みある冷酷な表情に一瞬怯みかけた化物だが、それはすぐに敵意へと変わった。
ナメんな、テメエから犯してや……

斬!



言い終えもさせずに一閃。


化物の首が軽々と飛び、噴血が雨と降った。

……
傷ひとつ負うことなく化物を瞬殺した麗火だったが、不意によろめくと、切なく顔を歪めてうずくまった。
くっ……疼く……
あ……あの、大丈夫……ですか?

その様子に有希はようやくショックから覚め、おずおずと声を掛けた。


しかし、応じた麗火の眼光は冷たかった。

……次は貴女の番よ

化物に対するのと同じ口調。


立ち上がる地獄の使者のような姿。


ブレードを伸ばす影法師が地に落ちる。

(嘘。助けてくれたんじゃないの?)
乳房を貫く刃の感触と共に、有希は意識を失った。
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登場人物紹介

麗火(れいか)

淫魔に襲われ調教された過去を持つ謎の美女。

超人的戦闘力を持つ禍々しいバトルコスチュームに変身して戦う。

淫魔を憎み、倒すことに一切のためらいを持たない。

有希(ゆき)

中小企業に勤めるOL。

世間知らずな面があるが、明るく優しい素直な性格。

ひょんなことから麗火と知り合い、慕うようになる。

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