カースドレッサーは笑わない
文字数 1,609文字
露わとなる美しい脚。
淫らな視線がベージュのストッキングの下の飾り気のないショーツに注がれる。
隠そうとするも手首を掴まれ許されない。
屈辱と羞恥。頭に血が昇る。
だが、そのわずかな間に探り当てられた敏感な肉芽が、にちゅりと圧し潰され、その瞬間、恥悦の稲妻が下腹を撃ち抜く。
有希の太腿を伝う粘り気のある熱液。
化物が緩急をつけて裂け目をなぞると、どっと水量を増して奥から滴り出る。
そこに立っていたのは背の高い女だった。
黒のトップスに紫のインナーを合わせたコーディネイト。
タイトミニから伸びるスラリとした脚。
緩いウェーブのかかった長い髪をふわりとかき上げる仕草。
漂う大人の成熟。
と化物。
しかし、有希は思い出した。
世界的なスーパーモデル。
自立した理想の女性像として自分も憧れていた。
怒号と共に麗火の衣服が裂けるように消失。
替わりに、肌をわずかに覆う新たな装いが体内から現れる。
豊かな乳房を鷲掴みにする悪魔の爪の如き、美尻を舐める巨大な舌の如き、奇怪で妖艶な漆黒のコスチューム。
地獄の炎か亡者の血流を思わせる深紅の亀裂が全身に走り――
そう、それは明らかに化物となった上司と同じ、この世とは起源を違える禍々しい姿だった。
そして振りかざされたのは肉食竜のものかと見紛う凶悪で巨大な爪。
それは何本もの鋭利なブレードだった。
斬!
言い終えもさせずに一閃。
化物の首が軽々と飛び、噴血が雨と降った。
その様子に有希はようやくショックから覚め、おずおずと声を掛けた。
しかし、応じた麗火の眼光は冷たかった。
化物に対するのと同じ口調。
立ち上がる地獄の使者のような姿。
ブレードを伸ばす影法師が地に落ちる。