第52話  染谷龍一視点  決意  4

文字数 2,803文字

まぁでも一応認めてやるよ。

さっすが山田一家の弟ってか? その辺の雑魚よりは格上だな。

そりゃどーも。

俺はいつもお前より強い怪物とやりあってるからな。大したことねぇけど

 再び雑談。そんな時に虎が叫んだ。
兄者っ!

 それだけだったが、その意味は分かっている。

 

 俺のリミット気にしてんだろ? まだ全然大丈夫だ。

 時計を見なくても長年のカンで分かるんだよ。

さぁそろそろ……てめーを沈めるか。

このあと龍姉の訓練があってな。サボるとお前以上にボコボコにされるんだよ

龍姉? あぁ~あのキャバクラ勤めしてるねーさんか?

で、たまに風呂屋で働いてるんだろ?


ありゃイケメンホストに夢中な顔してるわ。

ん? 龍姉は風呂屋で働いてるのか?
 この野郎……てめぇに龍子をそこまで言われるとは思わなかったぜ。
あの女はそのまま風呂屋に沈んでもらうとして、ピンクの可愛い子は俺のセフレだな。そんで楓蓮ちゃんは勿論……「
死ねよてめぇ!

 ブチ切れた俺はなりふり構わず竜王へと突っ込んでいた。蹴りを受けようが殴られようが前へ進み、憎たらしいその顔面に一撃に叩き込んだ。


 と同時にフックを顎辺りに食らい、双方が吹き飛んだ。

ひっひっひっひ。


心配しなくても俺がちゃ~んと喫茶店もろともぶっ潰してやるよ

 こんの外道がっ! ぶっ殺してやる!

 取っ組み合いの乱闘に発展すると、双方が殴る蹴るの応酬となった。タフさだけは自信がある俺だったが、それよりも……




 身体が鈍い。


 リミットが近い状態なのか、殴り合ってる最中でも本調子じゃあ無いのが分かる。


 一瞬の隙を突かれた俺は、竜王の蹴りを腹にまともに食らい、よろけた所に顔面を殴られてしまう。そして大技である回し蹴りの態勢に入った。

こいつっ!
 ガードはしたもののその威力は凄まじく、俺の身体は宙を舞い公園の外のアスファルトまで吹き飛ばされた。

残念だなチャラ男。どうやら強さも顔も……俺には勝てなかったな。

上には上がいる。それが現実。世の中舐めんじゃねーよ

 くそったれが! 

 リミットが近くなけりゃこんな青バエ野郎なんざ楽勝なのに。


 しかし俺が受けたダメージは相当なものだった。さっきの蹴りで一瞬意識が飛んじまった。


 竜王だって無傷ではないが、こっちが劣勢なのはきっと……こいつも分かってる。


 俺はゆらっと起き上がると、自然と竜王を睨みつけていた。その時視界から赤いものが見えたので、手で拭うと……

おいおい。なんだよその顔。チャラ男がランクダウンしてブサ男になっちまってんぞ
ふっ……ふははははっ!

 頭の中がブチっとキレちまった。

 そんな感覚を味わいながら勝手に笑いが出てきやがる。

お、血管切れちまった系?
いいねお前。こんなに殺してーやつ。ひっさしぶりだわ。こいよ竜王! 叩き潰してやる!

てめーがやられてんのに、俺に向かって「来いよ」っておかしくね?

まぁいい。そろそろ夢の中で楓蓮ちゃんに「よしよし」してもらえ。

 間合いを開けての蹴りなんざ見飽きたぜ。

 ちゃっかり俺の近接を警戒してんじゃねーか。


 それなら自慢の足蹴りを食らってやっから、お前の顔にも一発叩き込んでやる。

バカじゃね……
うごっ!

 咄嗟に顔をガードしようとした竜王のボディに俺の右拳がめりこんだ。

 蹲った態勢から、脳天を殴りつけ、畳みかけようとしたその時……

 

 しゃがみこんだ態勢からのハイキックをモロに受けてしまう。

こんの野郎……何だよ今の
てめぇ……やってくれんじゃねーか。

 竜王は腹を抑えて睨みつけてくる。あの一撃は効いたハズだ。

 

 対して俺はハイキックをモロに受けたとはいえ、態勢があまりにも悪かったからな。

 大したダメージではない。


 これでイーブンに持ち込んだハズだ。

 

 

 そして公園の中に入ろうとしたその時だった。


 予期せぬ方向から龍一という声が聞こえてくると、自然とその方向へ顔を向ける。


 すると――

うぉぉおおおおお~~~~!

 こちらに走ってくるのは、ゴリラもとい王二朗だった。

 ものすげースピードで迫ってくるのはいいが……

【警察官 巡査 26歳】

待てこらぁ~~~!

【警察官 巡査 33歳】

逃がすなっ!

 てめぇ。何処に行ってたのか知らねーが。余計な奴を連れてくんなよっ!

ぬっ。将哉?
あ? てめー何やって……
うぉ~~~! 死ねよこらぁ!

 王二朗は竜王を視界に入れた瞬間、公園の中に入って来やがった。


 当然ポリも公園内に入ってくると辺りは騒然となった。

【警察官 巡査 26歳】

おい。大人しくしろっ! もう逃げられないぞ

待てお前っ! ちょっ! 何でポリ連れてくんだよっ!
黙れこの野郎っ! ここでぶっ殺してやるっ!
ば、馬鹿かお前はっ! こんのバカゴリラぁ!

 竜王は王二朗の攻撃をかわしながら、背中を向けて逃げようとする。

 その時公園の外にパトカーが到着すると、中からポリがわんさか出てきやがった。

やっべっ! てめぇら覚えてろよっ!
おい! 待て! まだ終わってねーだろが!
 公園の塀をよじ登った竜王はさっさとトンズラすると、その後から王二朗も塀をよじ登る。
待てこらぁ! 勝負しろっつってんだろがぁ!

【警察官 巡査 33歳】

待ちなさいっ! まてっ!

 ポリまで塀をよじ登って消えてしまうと、その場にいた俺達は……とりあえず他人のフリをするのだった。


 ポリが無線やらで喋っているのをボケーっと見ながら俺は思った。



 王二朗。お前……やべーよマジで。


 ※  

  

いえいえ。全然関係ないっすよ

【警察官 巡査 33歳】

みんな怪我してるが大丈夫なのか?

ケンカしてたのか?

ちょっとそこの滑り台から顔面ダイブしちゃって

いえ、俺達はケンカに近い、ケンカごっこやってただけで。

全然仲良しですよ。

 何で俺が……ポリに対しこんないい訳してるのかイミフだ。

 結局ポリは俺達を疑う事無く、けたたましいサイレンを鳴らして消えてしまった。



 っつーか。王二朗。

 ポリに職質されると聞いたけど……マジだったのか。

 だとしたらあいつも……色々苦労してんだなと思った。


 おかげで……竜王とのタイマンが無効試合になっちまったじゃねーか。

お前ら。ひとまず退却だ。

そんなにボロボロじゃ護衛もできねーだろ。

しかし! そうなれば一体誰が姫の護衛を……

いいから帰れ。自宅待機。

あとは龍姉の指示に従え。いいな?

 ったく、ケチョンケチョンにやられやがって。

 こりゃメンバー全員、使い物にならん。


 そんなボロボロで護衛の役に立つとでも思ってんのかよ。

 それよりも、楓蓮さんが敗残兵と化したお前らを見たら……


 何するかわかんねぇだろ!

龍兄ぃ。どうするんだよ。
まずは一旦家に帰るぞ。

 メンバー達がいるので、そこまでの説明にしたが虎には分かっている。


 入れ替わってから龍子で……竜王を追撃し、ブチのめす!

 ここで逃がしてたまるかよ!

さっきはクソリミットのおかげで本調子ではなかったが……

体力満タンの龍子でトドメを刺してやるぜ。

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登場人物紹介


 ★登場人物でも若干のネタバレを含みます。第一部からお読みいただきますようよろしくです。

 ★逆に第二部の登場人物を先に読んでから、第一部をお読み頂きますと、別の意味で楽しめます。

 

 ★読者視点は神視点。登場人物の心の声も聞こえます。(フキダシの色がこの色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年

 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 自分自身の事よりも、仲間の為ならば凄まじく有能になる。

 ★ 白峰楓蓮 しらみね かれん


 蓮の女性の姿。類稀なる美少女だが本人にはあまり自覚がない。


 外部には黒澤家の親戚(蓮の姉)となっている。

 楓蓮では世間との関わりあいを最小限にしてきたが、徐々に一人の女性として目覚め始める。

 

 自分を理解してくれる人間が増えるたびに楓蓮は飛躍的に成長してゆく。  

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生

 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。

 

 二部中盤で凛オンリーの章があります

★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは黒澤家の秘密を知るものだけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。

★ 黒澤 玲斗 くろさわ れいと

★ 白峰 麗華 しらみね れいか


蓮や凛のお父さん。ただいま遠方で仕事中。

麻莉奈や平八。ティナとは大親友。


後半から再び登場します

★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。

 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。


 高校当初から蓮と関わりを持ち、お互いに影響されてゆく。無二の親友?

 記憶喪失だったが、徐々に昔の事を思い出してゆく。


 二人目の主人公。

★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲

 おっぱい職人。ツイッタのフォロワーは10万以上の有名人。

 作中でも最強だと言われるが……

★ 白竹 美優 しらたけ みゆう

 

 男女入れ替わり体質

 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。とても内気で、語尾が変になる。

 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は魔優と入れ替わっている

 歌が上手く、全国でも有名な絵師でもある。(エロ同人が本業)

 

 三人目の主人公。 

★白竹 美樹 しらたけ みき


 白竹美優の男性の姿。

 外部では白竹魔樹と名乗っているので、彼を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で厨房担当したり、サイクルの都合上、学校でも魔樹として振舞う。

 男の子の身体で遊ぶのが大好き

★白竹 魔優 しらたけ まゆう


 男女入れ替わり体質。

 外部では白竹美優と名乗っているので、彼女を知るのは家族と秘密を共有する人のみ。

 主に喫茶店で接客担当。サイクルの都合上、学校でも美優として振舞う。

 心の中は女の子なので、こちらが真の姿となる。

 四人目の主人公

★白竹 魔樹 しらたけ まき


 魔優の男の姿。外部に知られているのは魔樹である。

 蓮の隣のクラスで、常にクール。成績も良く、空手や合気道を習得。

 学校内では魔樹王子と呼ばれるほどモテる。


 自分の家の喫茶店で働いている事になっているが、実は美優と入れ替わっている

 乙女ゲー大好きのツンデレ。

★白竹 麻莉奈 しらたけ まりな


美優。魔優の母。入れ替わり体質。


とてもピアノが上手く、蓮はプロの犯行だと断定。

双子の母だけあり、とても美人だが色々とヤバい人。

男の姿は、でかい上にマッチョらしい。


★ じいじ


 白竹家のおじいさん。喫茶店のオーナー。

 小太りでツルっぱげ。チョビ髭が可愛い。

 厨房担当で楽しい事があると、その場でクルクル回りだす。

★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 男女入れ替わり体質。

 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的で、クラスでも人気がある。

 楓蓮に一目惚れし、ずっと彼女を追い求める。

 オムライサーでありポニテマニア。

 

 五人目の主人公

★山田 龍子 やまだ りゅうこ


 龍一の女性の姿。

 楓蓮を追って同じ喫茶店で働く事になる。全国でも有名な山田組の人間。

 ケンカが強く、蓮も認めるほど。

 楓蓮に近づく男を排除しようとする俺っ子。

★山田 虎子 やまだ とらこ


男女入れ替わり体質。龍一の弟(妹)

全国統一を夢見る女の子。既にチームを結成しており、チームヴァルハラと名づける。

口調はキツいが、兄弟には頭が上がらない。

デコトラならぬデコチャリで街中を暴走する。

★染谷 翔一 そめや しょういち 


男女入れ替わり体質。龍一の兄(姉)

龍一が恐れる唯一の兄貴。百人でかかっても勝てないらしい。

ただいま、新婚生活真っ最中。

★染谷 桜 (そめや さくら)


 翔一の奥さん。普通の人間。

 とても清楚で大人しそうな美人だが染谷三兄弟は彼女に対し頭が上がらない。

 翔一を女らしくする為、日々調教中。

★百済 紫苑 くだら しおん


 高校二年。軽音部。実家はソッチ系統の百済組。

 楓蓮達と一緒に喫茶店でバイトを始める。関西弁ちっくな喋り方だが、とても優しく後輩想い。

 蓮の同じクラスである、米山まゆこと、坂田沙織は小学校からの付き合い。

 マイブームはマジョリーナちゃん(ミニチュアダックス)を可愛がる事。

★坂田 沙織  さかた さおり


 高校一年。蓮と同じクラス。

 いつもニコニコ。おっとりとした口調でマイペース。

 紫苑と同じ軽音部。ベース担当。

 親が犬のブリーダーで楓蓮に二匹のダックスを譲る。

★ 西部

 蓮と同じクラス。

 事あるごとに蓮に絡んでくるが、その目的は聖奈や美優と接点が持ちたいが為である。

 ツイッター名では「モントゴメリー」。おっぱい職人を神と崇める。

★真鍋

 蓮と同じクラス。西部の友達。

 頭は良く、テストでも上位だが、彼もおっぱい職人を神と崇める。

 ツイッター名は「穴バースト」

★米山 まゆこ (だんじりバージョン)


 蓮と同じクラス。坂田とは昔からの親友で、紫苑は先輩に当たる。

 魔樹王子にベタ惚れてしまい、蓮に紹介してもらえるよう頼んだ。

 バスケ部所属。一年なのに相当の実力を持っている。

★ 三輪 加奈子 みわ かなこ

 

 蓮と同じクラス。坂田沙織の友達で幼稚園からの付き合い。

 男の子同士がホニャララするのが好き。

★ 清原 愛美 きよはら まなみ


 魔樹と同じクラス。米山まゆこと中学時代からの付き合い。

 ちなみに魔樹王子と呼び出したのはこの子。

★ 梶谷


 蓮と同じクラス。西部の友達で小学生からの付き合い。

 バスケ部所属。一年でレギュラー筆頭。

★高坂


蓮と同じクラス。梶谷の友達。

ギャルゲーのアイドルプリンセスをこよなく愛する男の子。

★ 鼻


楓蓮が命名。

その昔、蓮にケンカ売ってきたり、美優をナンパしたり、ろくでなし男であったが楓蓮や龍子にボコられる。だが楓蓮に鼻を治してもらったと勘違いしている。

楓蓮に殴られてから、とんでもなく優秀な男へ変貌する(だがケンカは弱い)

★ヴァルハラメンバー 


 只今メンバーは八人。

 虎子率いるチームヴァルハラメンバー。俗に言う不良だが、楓蓮。龍子。虎子には従順。

 実は全員イケメンレベルだが、とにかく頭も弱く、ケンカも弱い。

 NO表示されており、変なヤツが混じってます。 

 竜王 冴子 りゅうおう さえこ


 高校一年。西部曰く、彼女と美神聖奈。白竹美優を三大美女認定している。

 いつも笑顔。とても愛想が良い彼女だが……

 王二朗曰く、超危険人物。鞄にスタンガンを隠し持ち、女の子を襲うらしい

★ 播磨 王二朗 (はりま おうじろう)


 高校一年。竜王冴子と共に登場。190センチの巨漢であり極道顔。

 とてもじゃないが高校生には見えない容姿に、シルエット姿となっている。

 警官とエンカウントすると、ほぼ職務質問されてしまう。

 ゴリラのモノマネが神がかっている。

★竜王 将哉 りゅうおう しょうや


 萌ゴリと共に現れた男性。とてもイケメンだが萌にナンパーマンであると暴露されてしまう。萌は恋人だと告げるが……楓蓮は最初から将哉を警戒する。 

★稲坂 萌 いなさか もえ


 楓蓮が早朝マラソンに出かけた際に知り合った女性。

 巨漢で筋肉質なので、楓蓮は男だと勘違いするほど。

 とても気さくでしゃべりやすい印象を受けた萌ゴリ。ちなみにラッキースケベ体質。

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