10頁
文字数 854文字
そんな、ある日。
「ああ〜、飽きたなぁこの仕事」
俺は隣の車で弁当売って、金勘定をしている龍二に言った。
姿は見えないが声はお互い聞こえる。すると、
「そうかい」
の一言。俺は販売カウンターから身を乗り出すと、隣りの龍二に、
「ねぇ、日本から出ない?この生活じゃ、
ずーっとずーっと弁当屋とサンドイッチ屋よ」
と言うと。
「出てどうする?指名手配の俺達が、まともに生きて行ける場所などそうそう無いよ」
俺はバタンと椅子に仰け反ると。
「リストラされた気分・・・」
と言えば。
「お前、何に成りたかったんだい?」
「知ってるだろ。ロケット技師」
すると、意外な事を龍二は言った。
「お前にゃ無理だよ。頭悪いから」
カチン!俺はこれでも一応その成績は・・・、あれ?どの辺だったっけ?
「悪かったな。でも今や、世界で1基も宇宙へ
ロケット飛んでないんだろ。終わってるよねぇ」
「あはは、飛んでるよ。通信衛星や気象衛星を打ち上げる為にな。それもそう必要じゃないからな」
と言った。俺は急に思い出し、
「ショックだよなぁ。あのカリスマ技師の斉藤さんが、20年も前に死んでたなんて。しかも85歳で、俺が読んでた雑誌のあの記事、何年前のだったんだよ」
「えっ?」
と龍二。
「俺が読んでた、月刊技術工学。今でも生きてるみたいに書いてあったよ」
「そうやって、子供の夢を壊さず。
技術者に憧れる人を沢山作ろうとしたのさ。
世界の科学技術は退行している。
新しいものは無く、古い技術を継承するのにも四苦八苦しているらしいぜ」
「道理でこの車、やたらと止まると思った。
冷房の効きも悪いし。ああ〜、世界はどうなんるだろ」
「知るかよ」
龍二は、お金を手提げ金庫にしまうと。
「俺、夕方の分仕入れてくるから。チョウさんの店に行くわ」
と言った。流石に弁当のおかずは、ワゴン車では作れない。ホカホカの飯を入れるのが精一杯だった。
「分かった。俺はハンバーガー売ってる。
暇だから、昼寝でもしてるわ」
「ハイよ」
と龍二は、車の幌を畳んでチョウさんの店へと走り出して行った。
俺はそのまま寝てしまった。
「ああ〜、飽きたなぁこの仕事」
俺は隣の車で弁当売って、金勘定をしている龍二に言った。
姿は見えないが声はお互い聞こえる。すると、
「そうかい」
の一言。俺は販売カウンターから身を乗り出すと、隣りの龍二に、
「ねぇ、日本から出ない?この生活じゃ、
ずーっとずーっと弁当屋とサンドイッチ屋よ」
と言うと。
「出てどうする?指名手配の俺達が、まともに生きて行ける場所などそうそう無いよ」
俺はバタンと椅子に仰け反ると。
「リストラされた気分・・・」
と言えば。
「お前、何に成りたかったんだい?」
「知ってるだろ。ロケット技師」
すると、意外な事を龍二は言った。
「お前にゃ無理だよ。頭悪いから」
カチン!俺はこれでも一応その成績は・・・、あれ?どの辺だったっけ?
「悪かったな。でも今や、世界で1基も宇宙へ
ロケット飛んでないんだろ。終わってるよねぇ」
「あはは、飛んでるよ。通信衛星や気象衛星を打ち上げる為にな。それもそう必要じゃないからな」
と言った。俺は急に思い出し、
「ショックだよなぁ。あのカリスマ技師の斉藤さんが、20年も前に死んでたなんて。しかも85歳で、俺が読んでた雑誌のあの記事、何年前のだったんだよ」
「えっ?」
と龍二。
「俺が読んでた、月刊技術工学。今でも生きてるみたいに書いてあったよ」
「そうやって、子供の夢を壊さず。
技術者に憧れる人を沢山作ろうとしたのさ。
世界の科学技術は退行している。
新しいものは無く、古い技術を継承するのにも四苦八苦しているらしいぜ」
「道理でこの車、やたらと止まると思った。
冷房の効きも悪いし。ああ〜、世界はどうなんるだろ」
「知るかよ」
龍二は、お金を手提げ金庫にしまうと。
「俺、夕方の分仕入れてくるから。チョウさんの店に行くわ」
と言った。流石に弁当のおかずは、ワゴン車では作れない。ホカホカの飯を入れるのが精一杯だった。
「分かった。俺はハンバーガー売ってる。
暇だから、昼寝でもしてるわ」
「ハイよ」
と龍二は、車の幌を畳んでチョウさんの店へと走り出して行った。
俺はそのまま寝てしまった。