第19話 大変な一日

文字数 968文字

 電話が鳴った。祖母がそれを取った。
「はい、藤原ですけど…、あら、サトミ」
「…」
「うん、うん。あなた、シュンちゃんが着いたのは昨日よ」
「…」
「わかったわよ、相変わらずね。あ、サトミ、あなたアケミにシュンちゃんが来ること伝えたの?」
「…」
「え?あらそう…。ううん、何でもないの。今ね、アケミんとこのシュウトとアンリが来てるのよ、泊まってくって」
「…」
「そうよ。あ、シュンちゃんに替わろうか、シュンちゃん」
 シュンは電話を取った。
「シュン、元気でやってる?」
「うん、楽しいよ」
「おじいちゃんおばあちゃんに迷惑かけないようにね」
「うん」
「少しはたくましくなってくんのよ」
「うん、おじいちゃんに替わるね。はい、おじいちゃん」
 祖父に電話を渡した。
「シュンちゃん、お風呂入んなさい」
「ほうや、疲れたやろ、風呂入り。もしもし」
「はい」
 祖母に言われて、シュンはお風呂場に向かった。かけ湯をして、湯船に入った。そして、もう一度事故のことを考え始めた。
 マドカたちのことは祖父母には話さないことに決めた。そして、明日はマドカたちにどういうことなのか、二人がいったい何者なのかを教えてもらおうと思った。
 お風呂から上がり、居間に戻ると、祖父母が話をしていた。
「サトミ、シュンちゃんが来ること、アケミに話してないって」
「そりゃ、お前がアケミに話したんやないか」
「そうだったかしらねえ。あらシュンちゃん、早いわね。お風呂どうだった?」
「気持ちよかったです」
「もう寝る?」
「部屋でテレビを見ます」
「そう、夜更かしもほどほどにね」
「おやすみなさい」
「はい、おやすみ」
 挨拶して障子を閉め、二階の部屋に向かった。そして部屋に戻ると、テレビをつけずに少し考え事をした。
「家の守り神とか、座敷童とかかなあ。座敷童は女の子二人組って話を聞いたことがあるし。あ、でもカドマ君は男の子か…。いや、実は女の子かもしれないぞ。何にしても、人間じゃあないよなあ、絶対。まあいいか、明日になれば、今日の謎も解けるんだよな」
 シュンはテレビのリモコンを手にした。チャンネルを回したが、面白そうな番組はなかった。テレビを消し、机の上に置いてあったライトノベルを手にした。開いてみたが、字が頭の中に入ってこない。本を閉じ、元に戻した。仕方がないので寝ることにした。布団に入って目を閉じた。
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